魂心家 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
まどマギ+エヴァ+その他etc...もう立派なオリジナル作品でいいじゃないの
通称・ゆゆゆです!
2017年には第2期『結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-/-勇者の章-』、2021年には第3期『結城友奈は勇者である -大満開の章-』も作られて大団円で完結(?)した作品群ですね。
企画・原案には『アカメが斬る!』などで知られるシナリオライターのタカヒロさんが入っておられます。
この作品は、少女が変身して敵と戦う王道の魔法少女アニメっぽい作り。なんですが、後半はいわゆる鬱展開(?)になるので・・・
あれ、なんか『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年)と似てる?!
と思いながら観てました。
実際、ぼく以外にも同じような印象を持った方はたくさんいるみたいですね。
とはいえ、作画もきれいで、キャラクターも可愛いので、『まどマギ』のような作風のアニメが好きな人には絶対おすすめです!序盤は『まどマギ』よりもしっかり「日常パート」が描かれているので、より一層、「日常が崩れていく悲壮感」を味わえたりもします・・・笑
何より単純に面白い!
「世界の成り立ち」や「敵の正体」など、考察ポイントもたくさんあるので、「観れば観るほど好きになるかも?!」という作品です。ドはまりした人もたくさんいるので、とりあえず、避けて通るのはもったいない作品ですよ!
あらすじはあにこれの兄貴のを参照してください<(_ _)>
○あれ?この感じ知ってる(既視感)
{netabare}
神世紀300年を舞台に、「勇者部」に所属する結城友奈ら4人が戦う物語。第1話から結構わくわくする王道魔法少女アニメが展開します!(魔法少女じゃなくて勇者だけど)
初めの登場人物は主人公の結城友奈(ゆうき ゆうな)、その親友で足が不自由な東郷美森(とうごう みもり)、部長でサバサバとした性格の犬吠埼風(いぬぼうざき ふう)、その妹で引っ込み思案な犬吠埼樹(- いつき)となっています。
まどマギに似てるとは思ったんですけど、友奈とまどかは全然性格が違いましたね。友奈は変身する前でもすごく勇気があるし、体育会系でアグレッシブでした。個人的には友奈ちゃんの方が主人公として好みですね。
勇者部で人の役に立つための活動(ボランティア?)を行っていた友奈たちは、ある日突然、勇者に選ばれ、12体存在する人類の天敵・バーテックスと戦うことになります。
バーテックスは、人類を支える神樹の破壊を目的として次々と襲来するのですが、ダメージを負わせても再生するため、本体から「御魂(みたま)」と呼ばれる逆四角錐型の心臓部を引きずり出し、破壊する必要があるようです。
この無機質なデザインの敵がこっちに向かって淡々と攻めてくる感じ。選ばれた少年・少女が戦う感じ。コアを破壊する感じ。なんか、ものすごい既視感があるような・・・もしかして、これは使徒か?使徒なのか?15年ぶり?(こっちでは2年ぶりらしいです)
この時点でめちゃくちゃにエヴァ的な雰囲気を感じていたのですが、第3話では新キャラ・三好 夏凜(みよし かりん)が登場。勇者部の4人の前にいきなり現れ、たった一人で使徒バーテックスを倒してしまうと、さらに、高圧的な態度でこんなことを言っていました。
「私は三好 夏凜。大赦(たいしゃ)から派遣された正真正銘正式な勇者!つまりあなたたちは用済み。ほい、お疲れ様でしたー」
おいおい、この登場の感じは完全に・・・
惣流(式波)・アスカ・ラングレーでは?!
とまあ、アスカさながらのつんつんした感じで登場する夏凜さんですが、ちゃんと魅力的だし、ちゃんと可愛いです。
特に、徐々に勇者部の4人に懐柔されていく感じ。この流れは鉄板ですが、良かったです。ぶっちゃけ、ぼくが『結城友奈は勇者である』で一番好きキャラクターは、夏凜かもしれないです!
{/netabare}
○鬱展開?『まどマギ』かな?
{netabare}
友奈たちはバーテックスを全滅させることに成功するも、その際に使用した勇者の力を開放する能力「満開」の後遺症で身体の一部の機能を失ってしまいます。先代勇者の乃木 園子(のぎ そのこ)ちゃん曰く、これは「散華」と呼ばれるもので、「満開」で力を解放する代償に、自らの身体機能を供物として神樹に捧げた結果であり、一生治らないと知ることになります。
第6話から突如始まる鬱展開・・・
おい供物ってなんだよ!ふざけんなよ!
なんやこれ!!!
やめて差し上げろ!!!
ちなみに先代勇者の乃木 園子ちゃん、身体機能捧げまくって、包帯グルグル巻きでもう動けません。いやーキツイって。
魔法少女的ストーリーからの急なシリアス・鬱展開と言えばですが、『まどマギ』のキュゥべえのトラウマが秒で蘇ってきましたよ。ほんと。
あ、でも、『結城友奈は勇者である』は最終回で奇跡のスーパー・ウルトラ・エクストリーム・ハッピーエンド(笑)を迎えることになるので、鬱エンドが嫌いな人も安心して観られる作品です!
{/netabare}
○パクリ、オマージュ論争について思うこと
ぼくは「既視感のある展開=つまらない」というのは違うと思っています。むしろ、既存のもの同士の掛け合わせが新しい名作を生むことの方が多い気がします。
大ヒットした『鬼滅の刃』とか、もろにそうですよね。「鬼は太陽に弱い」とか「呼吸法」とか「柱」とか。『ジョジョの奇妙な冒険』を連想した人も多いと思います。そのほかにも様々な要素の組み合わせで、『鬼滅の刃』は社会現象にまでなった訳ですけど。そういう意味で『結城友奈は勇者である』はそんな鬼滅の刃よりも前に「名作のかけ合わせ」に挑戦したチャレンジングな作品だったと思います。
それに既視感を感じるかどうかは受け手の引き出し次第ですからね。鬼滅を観てジョジョは観ていない人がザラにいるようにもしかしたら、まどマギを観ずに深夜アニメ観てるような方もいるかもしれない。いや絶対いるでしょう。
そういう人にわざわざ「まどマギ観てからこっち観て」なんて変な指示出すほどあっちに入れ込んでいるわけでもありませんし、好きな方を観ればよかろうなのだ、と思います。
{netabare}
ほかの作品にはない名場面もたくさんありますよ!特に、第9話の犬吠埼 樹の夢に関するエピソードとかすごい良いですよ!妹のために怒った、姉・犬吠埼 風の叫びは感動します。
大赦は私たちを騙してた。
満開の後遺症は治らない──
大赦は初めから後遺症のことを知ってた。なのに何も知らせないで、私たちを生贄にしたんだ。犠牲になった勇者が居たんだ。勇者は私たち以前にもいた。何度も満開してボロボロになった勇者が。そして今度は、私たちが犠牲にされた・・・
なんでこんな目に合わなきゃいけない
なんで樹(いつき)が声を失わないといけない。
夢をあきらめないといけない。
世界を救った代償がこれかぁぁああ!!
{/netabare}
〇主題歌
『結城友奈は勇者である』は主題歌も良いです!特に、OPの「ホシトハナ」は、『黒執事』のキャラソンや『Wake Up, Girls!』のEDなども担当されている岡部啓一さんが制作されているのですが、めちゃくちゃ好き!
この曲は、歌詞の内容が物語ときちんとリンクしていて切ないですよね。
{netabare}
ああ 真実ほど人を魅了するものはないけど
ああ 真実ほど人に残酷なものもないのだろう
咲き誇れ 想いのままに
この瞬間 全てを賭けて
無限の星すらも霞むように
勇気 心に溢れ いかなる時も生きて
{/netabare}
咲き誇っちゃだめええええぇぇぇぇっ!!
EDの「Aurora Days」は話数によって勇者部の合唱になったり、東郷のソロになったり、友奈のソロになったりするのですが、それもエピソードに沿っていていい感じです。
「祈りの歌」は第9話で流れる特殊ED曲です。先ほどの、樹のために姉の風がキレるエピソードです。このEDで号泣させられた人も多そうです。
〇声優
基本は勇者部の5人しかいないので、出演者はかなり少ないですが、皆さん有名な方ばかりです!バーテックスはしゃべらないもんねぇ・・・
中でも犬吠埼 風役の内山夕実さんが素晴らしかったですね。
何度も書いていますが第9話のお姉ちゃんブチ切れシーンの演技がすごい迫力でした。内山夕実さん、個人的には『Re:ゼロから始める異世界生活』のパック役が大好きです。
〇総評
☆4に少し色を付けて4.2で。
既視感があるとか、パクリ(?)とか、いろいろ書きましたが、『結城友奈は勇者である』はとても面白かったです!!
東郷さんの過去についてとか、東郷さんを「わっしー」と呼ぶ乃木 園子のこととか、色々な伏線が回収されないまま、奇跡のスーパー・ウルトラ・エクストリーム・ハッピーエンドを迎えることになる第1期ですが、伏線はちゃんと第2期『結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-/-勇者の章-』で回収されていくので、気になった人はそちらも要チェックですよ!