てとてと さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
前半は面白いが後半ダメで勿体無い
格闘ゲームのTVアニメ版。全29話。ダブル主人公がヒロイン連れて世界中武者修行、途中で悪の組織と対決していく。
※作品データベース様より転載
【良い点】
ダブル主人公のリュウとケンの良好な関係。終始、気の置けない最高の親友同士だった。さりげないやりとりから信頼が伝わる。
メインヒロインの春麗も可愛らしく、三人の良好な関係からの世界を巡る展開で飽きさせない。
ケンが大富豪の息子なのを活かし、ゴージャスな旅行記な側面も楽しかった。香港→タイ→インド→スペインと異国情緒ある。
ストーリーも格闘家目指す親友同士が再開、調子に乗ってたらもっと強い軍人のガイルに思い知らされ、武者修行の旅と分かり易い。
悪の組織の怪しい影を追っていく形で極自然に進行、ゲストキャラとの出会いや交流で精神的にも成長していく良い流れ。
必殺技の波動拳習得の情報を得ながら旅を続けるのもRPGイベントめいていて分かり易い。
また、各話のサブタイが分かり易いのも地味に良い。
序盤〜ケン対バルログ戦の17話辺りまでに限れば非常に面白かった。
香港映画めいた九龍城での大立ち回りや、冤罪で囚われたリュウとサガットの友情劇、ボランティアの高潔な女医とケンの交流、
インドの高僧ダルシムの教えと精神的試練などなど、どのエピソードも魅力的。
バトルはケン対バルログがベストバウトだった。流血が痛そうだけど。決着時にケンの高潔な優しさが分かるのも良い。
幻影に惑わされたとはいえ、リュウ対ケンの死闘も手に汗握った。
後半もフェイロン対キャミィはまずまず。
キャラクターはリュウも悪くはないんだけど、ケンの魅力が高い。
大富豪の御曹司で財力にあかせる気障な美少年な側面と、野性味溢れる根っからの格闘家、常に友リュウや春麗を想う義に熱い男。
羽賀研二氏の好演も相まって、嫌み感じさせないナイスガイだった。
作画も格闘描写が凝っていて見応え十分。実戦的なケンカ殺法の技巧的な攻防が丁寧に描写されていた。
流血描写がガチ寄り、この時代のゴールデン帯アニメの方が、最近の深夜アニメよりも遥かにしっかり描いている。
キャラデザも男子は精悍なイケメン、春麗は申し分なく可愛い。ゲストのインド人少女ちゃんとか、1話のリンコちゃんとかも可愛い。
リュウの辻谷耕史氏、バルログの塩沢兼人氏など今は亡き声優陣の熱演。
ケンの羽賀研二氏は本職声優ではないが、まさにベストキャストだった。
主題歌は前半(19話まで)の「風吹いている」が良曲。
【悪い点】
ラスボスのベガ登場以降の後半(18話から)が著しくテンポ悪化で面白さ激減。
囚われたケンが延々苦しめられたり、ベガに歯向かう春麗も延々イジめられたり、フラストレーション溜まるばかり。
引き伸ばしが酷く、話が一向に進展しない。
延々無駄尺費やしつつ、エドモンド本田、ブランカ、サンダー・ホーク、ディージェイなどの名キャラクターは登場させず。
ザンギエフとバイソンの扱いも雑。
再登場のガイルの活躍は良かったものの、ケンたちと別口で進行。リュウと春麗は終盤まで洗脳状態でキャラとしては退場同然。
ガイルにしてもソニックブームなどの必殺技出せていなかったり、終始洗脳春麗に苦戦してたり、あまり良いところが無い。
後半は全体的にキャラクターを活かせていない。
ラストの余韻も乏しい、せめて1話のリンコちゃんちょっとでいいから顔見せてほしかった。
【総合評価】5点
前半凄く面白かったが、後半で大きく評価を落とした。
評価は17話前後までに限ればとても良い、以降はとても悪い。全体評価は「普通」になってしまう。
視聴率不振で中途半端に話数削られながら何とか完結に漕ぎつけたものの、凡作になってしまった勿体無い。