「さよならの朝に約束の花をかざろう(アニメ映画)」

総合得点
89.1
感想・評価
675
棚に入れた
3553
ランキング
92
★★★★★ 4.2 (675)
物語
4.2
作画
4.5
声優
4.2
音楽
4.1
キャラ
4.1

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ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

長命少女と人間息子の母子感動ドラマ。素晴らしい作品だけど、若干共感しづらい

岡田麿里作品のファンタジー映画。
※作品データベース様より転載

【良い点】
P.A.WORKS制作による良作画。ファンタジーで人々が息づく世界を美しく描いている。
特に目新しい世界観ではないが、丁寧な描写で映像的に引き込まれる。
音楽や声優陣も申し分ない高クオリティー。

寿命の差を活かした種族間のドラマ。ラブコメはよく見るが、これを母子関係に置き換えた着眼点の良さ。
本作の特徴は長い時(マキアにとっては短期間、人間にとっては一生分)を俯瞰して一代記を見るような視点。
これは珍しい作風と言え、他作品ならば短命な人間(の視聴者)視点や時間間隔から濃密に葛藤が描かれるケースが多いのに対し、本作はマキアの時間間隔で時がアッという間に流れていく渦中で、主に人間(の愚かな男達)が引き起こした動乱を生き抜く過程で、普遍的なメッセージを込める事に成功している。
(短命な人間視点では)いつまでも少女のままな女性が、人間の男どもが動乱する中でも普遍の在り方をピュアに見せてくれる、これぞ現実には出来ないファンタジーの特権であろう。

その動乱部分も普通に面白い。
身勝手な人間の王国やら、怨念に憑かれた長命種の男など、男達も頑張って生きているのだ…

もう一人の長命種の少女レイリアが、マキアに対するアンチテーゼ的な役回り、血の繋がった親子でも心が通ってなければダメという分かり易いキャラクターとして必要だった。
なのでレイリアが解き放たれて子供ほっぽって去ってしまうのは妥当。

【悪い点】
俯瞰し過ぎていて個別ドラマとしては分かり難い。
マキアの成長やエリアルの葛藤は十分描かれてはいるが、短い尺で一代記が流れていく為か、感情移入の暇があまりない。
マキアの成長は良いのだが、エリアル側の心情の変化や成長が一瞬で流れていって年老いてラスト。
二人の互いに対する想いは俯瞰して見れば尊いのは確実だが、あざとく強烈に互いを思い合っている積み重ねは足りてない。
よってラスト、あんまり泣けなかった。

徹底して女性的な母性重視、対応する男は戦乱ばかりやる愚か者という視点。
長命種の男クリムの描かれ方や末路を見てもそう感じる。
人間ヒロインがエリアルの子出産に、マキアが立ち会うシーンも名場面ではあるが、ここに父親であるエリアルの存在感は無い。
…これは必ずしも悪い点ではないかも知れないが、この視点は男性視聴者的には共感が難しい。

【総合評価】7~6点
大変独創的で普遍性の高い優れた作品…であろう事は(理屈では)分かる。
分かるが、共感できたかと言われれば正直微妙なところ。
岡田麿里氏という優れた女性脚本家が徹底的に女性視点で描いた、男には難しい内容。
評価はとても良いのかも知れないけれど、よく分からん故に「良い」
アニメーションや物語としては素晴らしいので、共感が難しいのを差し引いても良い作品だなぁとは思った。

投稿 : 2023/04/28
閲覧 : 138
サンキュー:

4

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