てとてと さんの感想・評価
3.5
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
野崎まどサイコサスペンス。途中まではかなり面白いがラスト悪趣味で好みが割れる(否定派)
「正解するカド」「HELLO WORLD」の野崎まど氏の小説が原作のサイコサスペンス。
デスノートめいた異能持ちの邪悪女に主人公が立ち向かう?
※作品データベース様より転載
【良い点】
デスノート的な超常能力に終始翻弄される、先が読めないショッキングな展開の連続で飽きさせない。
アトラクション的姿勢の作品。(自分はこういうの結構好き)
正義感の強い主人公が大真面目に立ち向かうも、申し訳ないがシュールな可笑しさが先に立ち、悪趣味な愉しみ方が出来てしまう。
…決して良い点ではないかもだけど、メタ的に、早い段階から(あ、これ真面目に見ちゃいけないタイプだな)と分かるのも良い。
例えば8話で一気に世界首脳の話に風呂敷広げた展開を見て(あ〜、こりゃ畳む気がハナから無いんだろうな)と理解しつつもワクワクした。
ただし原作者の過去作「正解するカド」も踏まえてのメタ視点なので、それが無いと長所にはなり得ないけれど。
扱うテーマ「自殺の是非」や「善とは?悪とは?」といった哲学的な問題提起、これをハッタリの効いた展開で問いかける。
本作を見た視聴者たちが各々考えるきっかけになれば、本作の趣旨としては成功だろう。
原作者の前作「正解するカド」と同じ路線、カド同様、「途中経過だけは」かなり面白かった。
主人公の正崎よりも、8話以降のアメリカ大統領のモノローグの方が断然面白かった。
大統領が魅力的で面白いキャラ、大統領と正崎との交流も良かった。
各国首脳のやり取りは「沈黙の艦隊」っぽかった。
大統領の答え「考え続ける事」は、沈黙の艦隊の四党首の回答の大滝淳に近いか。(自分的に、四党首で一番ダメだと思うが)
【悪い点】
真面目に見ちゃいられないトンデモさは、別に欠点とは思わない。ハナからそういう作品なのは分かっているから。
ヒロイン惨殺の凄惨さが不快ではあるが、そこもまあショッキングさ重視ということで許容範囲。
風呂敷広げまくって畳めない(ハナから畳む気すらない?)のも、まあいいだろう。(いや、よくはないんだけど)
許容しかねるのは、ラストのバットエンド。後味が悪すぎるし、今までの話は何だったのかと空しくなる。
そこそこエキサイティングな政治や哲学に話を振っておきながら、ラストで全部台無しにするのは流石に酷い。
答え出せるとは期待してなかったにせよ、強引な御都合でいいから、もっとマシなラストに出来なかったものか。
8話以降のG7首脳の会談が、時代遅れ。沈黙の艦隊的な80年代の感覚を、2010年代に持ってくるのは古臭い。
哲学論議も今更感があり、正解するカドに比べて陳腐だった。
【総合評価】2~3点
超劣化版デスノート。またはショッキングさを増したがダメになった「正解するカド」。
アトラクション的姿勢の作品と割り切って結構楽しませてくれたので、嫌いではない。
(水島監督&岡田真理脚本の「迷家」と似た感じの好意的感想)
しかし残念ながら、終わり悪ければ全て悪し。ラストがマシでさえあれば、ネタアニメとして好意的評価が出来たのだが…
評価は直前までは良い、ラスト急転直下で「悪い」
真面目に評価すればとても悪い以下が妥当だとは思う、悪いはかなり贔屓目に見ている。
本レビュー投稿後に他の方々のレビュー(作品データベース様の)を見て、悪趣味さを許容したうえで楽しむべき作品という好意的な見方も成程その通りだなと納得したので、酷評は妥当ではないかも?と迷ったけれど、やはりどうにも許容しかねるのが本音、評価は変更せず。
好みに合わないだけで、稀有な作品かのは確か。