Witch さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「戯言遣い」の「ぼく」が魅せる「西尾節」の真骨頂
【レビューNo.51】(初回登録:2023/4/19)
小説原作のOVAで2016-2017年作品。全8話(最終話のみ45分)
「物語シリーズ」を観て「西尾維新」の作品を読みたいと思ったが、今更「物語シリーズ」
を読む気にもなれなかったので、本作品の原作を選択。読み終えて
「これアニメ化されてたらいいなあ」
って思ってたら、既にアニメ化されてたんだなあ~これが(笑)
ちなみに本作が「西尾維新」のデビュー作らしく、後続の作品と合わせ「戯言シリーズ」と
呼ばれてるようです。
(ストーリー)
大学生である「ぼく」は、友人「玖渚友」の付き添いとして、日本海に浮かぶ孤島「鴉の濡
れ羽島」を訪れる。そこには、画家・料理人・占い師といった各界の天才やその関係者が招
かれていた。
やがて1件目の密室殺人が起こる。事態を収拾しようと「ぼく」は1つ提案をするも、2人目の
被害者を出してしまう。犯人を探すため「ぼく」は本格的に動き出す。
(評 価)
・「西尾維新」×「シャフト」の安定のクオリティだが・・・
・西尾維新といえば「言葉遊びの暴力」ともいうべき、独特の言い回し・無駄に(笑)湾曲さ
れた表現で、含蓄に富んでいるようでそうでもないような口上をひたすら展開いくという
スタイルですが、本作も例に漏れずで、冒頭3分程ですが「イントロダクション」ともいう
べき部分で早くも「西尾節」がさく裂します。
・またキャラクター紹介も兼ねて序盤は「ぼく」と(玖渚友を除く)「4人の天才たち」と会話
を交わすことになりますが、彼女たちがまた個性的で個々の価値観や天才の定義について等
「西尾節」が始まります。
これらの冗長的な会話劇を、シャフトお得意の「あの演出」で魅せるという・・・
・ただ難しいのは「化物語」では「怪異」がテーマであったため、この魅せ方がドンピシャだ
ったこと、また「怪異の解説」という必要情報でなので「西尾節」にも意義があったのだが、
「それってあなたの感想ですよね」 byひろ〇き
ってことで、本作の「西尾節」は、ある意味世界観の演出以外あまり重要な意義があるわけ
じゃないんだよな。だからその点で評価は分かれると思います。シャフトの演出が「化物語」
より劣ると評されるのもその辺りが原因でしょうね。
個人的には「西尾維新」の世界は嫌いじゃないし、
「『西尾節』をシャフト以外の演出でどう魅せるのか」
は難しい命題だと思いますので、そこは評価していいのかなっと思います。
まあ原作読んで改めてアニメを観ると、「元々映像化の難しい作品」という評判はあながち
間違いではないように感じますね。
・ただの謎解きミステリーだけじゃない
・ストーリーとしては「孤島」「クビキリ連続殺人」「密室」とまさに本格的なミステリーと
しての舞台が整えられており、「ぼく」が探偵役となり殺人事件を解決していく流れとなり
ます。「本格的な推理モノ」という見方をすれば、率直にいえば面白いが粗が目立つって感
じですかね。
{netabare}(ぶっちゃけ荒唐無稽って感じが強いですがw){/netabare}
でもクライマックス等シャフトの演出を含め、見せ場はしっかり用意されています。
それにこの作品はこれで終わらない!
・{netabare}「哀川潤(人類最強の請負人)」が最終話に登場することで、これまでの景色は一変します。
(「鴉の濡れ羽島」に招待されていた天才の1人だが、合流が遅れ事件解決には間に合わず){/netabare}
この最後のピースが埋まることにより、
「ムムム西尾維新、デビュー作でこれとは・・・やはり只者ではない!」
という満足感が得られるって作品ですかね。
・物語には、上述「ぼく」「玖渚友と5人の天才」の他に「館の主とメイドたち」等10人強の
キャラが登場しますが、皆しっかりキャラ立ちしており各キャラ同士の絡みは面白いです。
また西尾維新自身いろいろと伏線を張りまくるのが好きな方なので、「推理モノ」以外の
仕掛けも楽しめる構成になっています。
・「戯言遣い」の「ぼく」が魅せる「西尾節」の真骨頂
彼自身も「ER3システム」(世界中の頭脳という頭脳が集結し、『学術のさい果て』と呼ばれる
機関)に在籍していた経歴もあり凡人ではないはずですが、自己評価が低いというか・・・
「玖渚友」を始め周りの天才たちが規格外すぎるのと、その「玖渚友」の付き添い人と立場で
参加しているので、いろいろと難しいところはあるんですよね。
「ぼく」もいろいろと「西尾節」を語るのですが、最後に「それは『戯言』」で片づけてしま
う習慣が身についているようで、その辺はちょっとイラっと感じるところはありますね。
しかしラストで「ぼく」が語る「渾身の『戯言』」はまさに本作の真骨頂とも言えるでしょう。
上述した通り、本作の「西尾節」は「化物語」のそれとは意味合いが異なり、本当に「戯言」
でしかないんですよ。それを「作品の味」として楽しめるか否かというところでしょうか。
「西尾維新」×「シャフト」というと、どうしても「物語シリーズ」を期待しハードルが上がり
気味になりますが、「美少年探偵団」という例もありますので、「西尾節」や「シャフト演出」
に嫌悪感がなければ、同氏のデビュー作として気軽に楽しんでもらえたらと思います。
個人的には結構OPも好きだったな。「三月のパンタシア」の唄う綺麗なサビから「クビキリ」
をイメージするような上下分割スライドで、順次キャラを紹介いく印象的な演出がピッタリで。
(追 記)
他の「戯言シリーズ」にも興味があるのですが、本作もP562あり他もそんな感じや上下があった
りで、しかも「西尾維新」作品となると結構覚悟がいるので、尻込みしてる状態ですね(笑)
(図書館のラノベコーナでも、ここだけ(分厚さの)存在感がハンパないんだよなw)