waon.n さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
エンタメというカーテンに差し込む光はなんぞ?
【First】
面白い!! え?! 面白いんですけど!? 1~2話での想像よりも、濃厚でした。ストーリーがキャラの肉付きを良くしていて、ただのキャラものじゃなかったっていうね!
しかし、リアルタイムでは2話以降見るのを止めていた作品ですた(反省)。
理由はなんというかこういうの好きでしょ? って作られていて記号的なキャラに見えちゃったからっていうのと、好きだよチクショーってなもんでハードルを馬鹿みたいに上げていたことと、忙しい時期でして他の作品だって倍速で観て問題なさそうな1~2作品位を流し見するくらいだったので、一見してみると猫じゃらしを振ったようなキャラものでその上SFなんですよ。可愛いを愛でる余裕はあっても頭使う余裕がなくって…と言い訳しておきます。
本当に3話目…良かったんですよね。リアルタイムであそこまで見ていたらその時完走していたと思いますね。
Twitterで『メタルギア』の小島監督がリコリス推していてやっぱり観ないととか思ってもいたんですが…ちょっと忘れてましてね。キャッチしている人たちのレビューが上がっていたんで読む前に見ようってんで今回最後まで観ましたよ。
リコリスによって放たれた物語のリコイルで私はやられました。
【Staff】
原案 アサウラ
監督/シリーズ構成 足立慎吾
キャラクターデザイン いみぎむる
リコリス制服原案 尾内貴美香
声優 安済知佳
原案は『ベン・トー』を書いたアサウラさん。
監督には、足立慎吾さんで作画畑の方で『WORKING!!』『SAO』『映画大好きポンポさん』などでキャラクターデザインや総作監を担当していました。今作は何と言っても女の子のキャラがきゃわいいので、監督の力量が出ていますね。今作のキャラクターデザインはやってはいるけれど、実質原案を作った感じなんじゃないっすかね? 結構修正入ってるんだろうなって勝手に思っています。いみぎむるさんの作りそうなキャラ造形だけど、設定起せる…かな? (個人の感想です)。とはいえ絵の魅力は画力だけじゃないので、生み出してくれたことに感謝です。
また、制服原案が尾内さん、こちらは乃木坂46のアイドル衣装を手掛けたかたらしいです(wiki参照)。今作の魅力の1つが彼女たちの衣装でざいんですね。私服はいみぎむるさんっぽいっすね。イラストレーターっぽい可愛いデザインでメッチャ好きです。
シリーズ構成も監督がやっていますね。まぁ良くある事ではありますが作画畑の割りにというと失礼に聞こえますが…以外に厚みのある物語だったように思えますし、最初落として徐々にビルドアップしていく展開は12話で世界観から見せるにはいい方法だったように思えますね。
声優さんからは千束役を担当した安済知佳さん。こんなに普通な演技ができていたっけ? ってな位です。それが逆に不自然に聞こえちゃうっていう人もいそうな感じですね。
この場合普通っていうのは自然な感じと言い換える事も出来ますがニアリーイコールで、普通にいそうって意味です。もちろん作られたキャラなので、型になっているセリフなので、普通はないような会話でも普通に聞こえるっていう意味で今回は本当にハマっていますね。この子なしにはこの作品はここまで多くの人が惹きつけられる作品にはならなかったかもと思っちゃいます。
【Review】
今作はSFでポリティカルフィクションでもあります。
ってもあんまり政治の話は主題にはなっていないので、あくまでも舞台装置としてのものですね。
どこがって話ですが、彼女らの所属するD.A(direct attack)ってのが日本政府ができるよりも以前からあって、国民の平和を守る為ならば、犯罪をしても良いというのが秘匿されながらも脈々と続いているという舞台です。
近いものに『虐殺器官』自国テロから守る為ならば、他国での内戦してもらった方が良いという考え。これにより、私たちはAmazonで映画やアニメを見ながら、ウーバーイーツでマックを頼むっていう平和を享受することができる。平和の為ならば、殺人だって厭わない。
これは作中の敵である真島が指摘したマキャベリズムって思想。
また、他のレビューでチラホラ観たのですが、『PSYCHO-PASS』のシビュラシステムのような監視社会っていう…確かにと思うけれど、むしろ私には『マイノリティーリポート』だ。事前に犯罪を予知することができるシステム。シビュラシステムは犯罪する可能性のある人を片っ端から捕えたり殺したりするので、人道的にかなりヤバい。そしてこれもマキャベリズムって思想の果てだろう。
これは今作のD.A本部にあるAIの【ラジアータ】がまさにそれではないかという事でしょう。厳密にいえば、シビュラシステムとこれは今のところ若干の違いがある。
シビュラシステムの発想の何が怖いのか…いや気持ち悪いと直感するのかって問題を考えた時にそれは一つの嘘によるもの。
つまり、機会の合理的判断だと考えられていたものが、実は潜在犯による集合知の随意によるものだったからだろうと思います(本当にこれ悪魔的でメッチャ好き)。
で、凄いのは【ラジアータ】の精度だろう。事前に事件が分かるし外れないし、証拠を押さえる前に殺しているように見える。
ここがねーそんな雑な運用して良いんか? ってなっちゃう部分ですよね。テロ行為したらその場で処刑も止む無しって公表された方がテロ減るんじゃ…とかややもすれば、そう考えちゃいますね。さてはてリアリティラインはどこでしょうか。
いやいや、それよりもキャラを見ましょう。そして肉付けされたストーリーを見ましょう。
とはいえ、この舞台装置があるから真島ってキャラがいて、吉松がいる。
敵は悪か問題。
敵は悪じゃない、別の正義だ。使われまくってもはやこれを軸に敵キャラを配置する傾向にありますね。
{netabare}
千束「本当の悪はやっぱ映画の中だけ」
真島「だから映画は面白いんだろう?」
{/netabare}
真島ってキャラはこのリコリス達に対する反動(リコイル)として配置させられた記号的な存在だと思われます。
アランは才能のある【人間の生き方を決める】機関で、それは世の中の為にっていう免罪符が付いています。じゃあその為ならば、人を殺す才能がある人に人殺しをさせるのは良いのかって話。
この呪縛(リコイル)にかかるのが図らずも吉松さん…。
実は作中で一番悲しい人かもしれないと思っています。死んだ…と思われるのも唯一かなって。見落としていて、実は生きてたりしない?
彼については、このサイトでレビューを書いている【素塔】さんが演出意図を指摘していて、なるほどと感嘆してしまったので、ご一読を是非に。
なんとなくはアラン機関を敵視してしまう流れになっているのは何故だろう。
吉松(アラン機関)は最初千束の才能が【人を殺す才能】が目的で心臓を捧げた。そういう意味では生みの親といえるかもしれないですね。しかし
実際にはそうはならなかった。なぜなら、吉松自身が救世主を名乗り、皮肉なことに助けられた事で千束が同じく救世主になろうとし、人を殺す銃を救うための銃として受け取ってしまったからですね。そして、育ての親であるミカは千束自身に使命を決めさせたから…。
大人は簡単に行く道を変えられない。千束を本当の娘のように思ったのであれば、その命を救う事を願うはず。
憶測ですが、きっと千束が人を殺せるという事を証明できないと、千束を殺さなければいけなかったのではないでしょうか。図らずも露呈してしまったのが暗殺者ジンを殺さなかった場面ですね。
アラン機関から千束疑われて、確認する目的もあったのではないかと思います。
殺せないと知ってからの吉松の葛藤は演出にはありますが、抑えられている印象。見せすぎない、語らせすぎない事によりその意志がより強く見えるからなのかもしれないですね。
真島は千束に殺されるために吉松が用意した駒で、それも殺さないってなったら最終的に自分を殺すように言う。
【愛する千束、私を殺してくれ】自分の眉間に千束の持つ銃を押し付けた時はこんな言葉を言いたかったのかもしれない。
さらに、自分が殺されなかった場合、愛するミカに自分を殺させるっていう選択をしなければならなかった。
ミカは吉松の望みも考えている事も分かっていた。だから…。
こんなん泣くわ。
分かりますかね。たきなの空気感。
あれ? この子物語の中に居ない…。
その代わりかなり重要な役回りを担っています。それは時間稼ぎですね。起承転結ってあるかと思いますが、起承までは基本彼女の成長物語風に話が進行していきます。どちらかといえば、カップリング成立までかもしれませんが(笑)
監督は当初から暗い話にはしたくなかったみたいな事をインタビューで語っているそうです。なので、千束は明るいキャラでそれに付き合う対照的なキャラが必要だったと。要するにここで記号的なキャラが主役なのかと勘違いし当初キャラものと切り捨てちゃった自分としての読み違いが発生してしまった訳ですね。
リコリスは皆、孤児で英才教育という名の洗脳により、人殺しをする事を何とも思わないっていうのがまずある。
これも【人間の生き方を決める】D.Aという組織でそこから離れ、千束という自由な生き方をしている人に出会って放たれた。その反動により百合に目覚めるのであった。いや、ふざけてるわけではなくてですな。
この後つまり3話目から彼女の行動原理はD.Aに戻りたいってものよりも千束の命を救いたい。その為ならば…。っていう動機までもっていくんです。これを自然に受け入れるに至るわけです。
まぁもしかしたら、マンガやら小説やらも発売されているようなので、新情報などもあるかもしれないですが、読むかどうかはまだ決めかねていますね。これで結構満足した感じなので。
さて、作画です!
正直言って良いですよね。
だけど、正確に言えば、ガンアクションがカッコいいってこと。動きが崩れていないとかレイアウトが良いとかっていうのもありますが、ここら辺は安心して見れるレベルの良さだと思います。
スゴイと感嘆できる点はガンアクションとしゃべりの作画ですね。バストアップ以上の作画ではほぼ乱れもなく口パクのみで止めとかほとんどなくて、姿勢や顔の向きなどが動くんですよね。
だからキャラがイキイキとしていてそれぞれ魅力的に映るんですね。大変だったと思いますがナイスなお仕事です。
ガンアクションはなんていうか、そうやって動くのか! っていう斬新さと納得感があって良いです。
弾丸を交わすってマトリックスじゃないんだからって
レイアウトは良かったですね。変なところがあると気になってストーリーに集中できないこともあるので、安心してというか集中して観ることができました。
とはいえ、直しきれなかったんだろうなぁっていう小さいキャラとかもあったりはしましたし、もっといい作画のアニメもあるので、最高だったとはあえて言いません。
しっかし、キャラ可愛いっすよね。
【 .】
今更って感じでしたが見てみて本当に良かったです。
これもキャッチさせてもらっている方々のレビューのおかけです。
Febriってサイトで制作関係者のインタビュー記事が載っていますので、もしよければ深堀してみてはいかかでしょうか。
私もまだ全部読んだわけではないのでこれから読もうと思います。
レビューするなら記事位全部読んでからにしやがれと怒られそうです。なので、もしインタビュー記事読んで更新したくなったら更新するかもしれんです。
ビジュアル的にたきなにloveなので、今回のレビューはちょっと書いていて自傷した部分もありつつって感じですw
レビューには特筆していませんでしたが、音楽を担当した睦月周平さんはスパイ・ファミリーも担当していたそうです。
あれ?製作期間被っていないか? と思いつつもしかしたらこの作品製作期間結構長かったのかななんて思っちゃいますね。
んで、この方の作品の中で『灰と幻想のグリムガル』のEDの作曲/編曲をしているって(wiki参照)。
『灰と幻想のグリムガル』2期待ってます!
リコリコは第2シーズンが決定しているらしいので、円盤売れるのは正義らしい。
まさかまだ観てない人はいないと思いますが、もしいたらご視聴をおススメします。
追記~
書き忘れていたことがあったので追記になります~。
まぁネタの1つでして別にだからと言ってこの作品の理解度が増すみたいなことは無いと思うんですが、各話数のタイトルが曲名になっているように思えます。気づいたのは『timi will tell』宇多田ヒカルさんのなかで一番好きな曲なので、ん? と思って各話数検索してみたら色々とヒットしましたね。最近同じく曲名を話数のタイトルにしている作品の『Buddy Daddies』でも『Nothing seek, nothing find』ってタイトル使われているんですよね。
しかし、一部はヒットしなかったりで、さてはてタイトルに何か仕掛けがあるのかしらなんて思ってもそういったパズルゲーム的な推理は全然得意としている所ではないので、知っている人いたら教えてもらえると大変うれしんぼです。
では、よしなに。