薄雪草 さんの感想・評価
4.4
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
三毒
衝撃的な印象を脳裏に刻んだ第1話。
原作は未読です。今後の展開がすごく気になります。
前評判は伊達ではなかったということでしょうか。
推しの子ならぬ、恐ろしい子。
そんな訝しさに心が騒めいています。
タイトルの三毒とは仏教用語で、貪瞋痴(とん・じん・ち)。
人の煩悩、悪の根源、三不善根とも言われます。
~ ~ ~ ~
転生ものの視点なら "なろう系" が鉄板。
その道すじが紆余曲折であればあるほど、物語は視聴者を慰撫してくれます。
ところが、この転生ものは、極楽から奈落へと失墜し、嘘八百の偶像世界のなかに真実を一途に暴き出そうとする復讐劇的な危うさを予感させます。
そのエナジーは、三毒のうちの瞋(瞋恚・しんに)ではなかろうか。
即ち、怒り、憎しみに塗(まみ)れた "なろう系" では。
~ ~ ~ ~
推しものの視点なら、何をおいても"応援する!" が鉄則。
金・時間・労力を偶像に尽くす本質は、自己承認とは程遠い自己満足への利得欲得への執着に起因しています。
しかも、この推しものは、推し(アイドル&母)が目の前で殺されたことで愛着形成が吹き飛び、犯人の自死によって理不尽さが強烈に残るという複雑さ。
それを埋め合わせるのは、三毒のうちの貪(貪欲・どんよく)。
「道徳外の価値観」を "推し" てきそうな不穏さです。
~ ~ ~ ~
では、残された痴とは何を意味するのでしょう。
痴とは(愚痴)のことですが、これは "ブツブツぐずぐず" の手合いやレベルではなくて "ものごとに的確な判断が下せずに迷い惑う" ほうの意味合いかと。
キャラクターの動機、行動、影響がこの物語を突き動かしていくでしょう。
その動かしように、視聴する側はどう振り回されるのでしょう。
~ ~ ~ ~
三毒とは、自分を毒するのではなく、他者を毒するが正しい解釈です。
【推しの子】。
すごい作品が登場しました。
世相を透かせ、世情を切り刻み、時世を変えていくのかもしれません。
じっくり見通し、見定め、見切りたい。
そう腹を決めているところです。
●観終わりました。
取り敢えず、ここまでは序章と言った塩梅。
本作に限って、あにこれ以外のレビューサイトも閲覧しています。
原作の未読者も、既読の方も、今後の展開に気をもんでいるご様子。
それだけハイクオリティーで、期待が爆上がりしているということなのでしょうね。
まったく同じ昂揚感と、だんまりを決め込んで2期を待ちたいと思います。
だって、身の周りの友人・知人は、原作推し(押し)の一手に舞い上がっているはずですから。