てとてと さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
生産・商人系の転生無双で和やかスローライフ。非常に地味ながら嫌味の少ない佳作
なろう系の異世界転生物。ショタ主人公がスライム使役して無双、スローライフ特化。
※作品データベース様より転載、2期まで見た時点のレビュー。
【良い点】
主人公のチート能力がスライム使役で、戦闘よりも生活や生産系?の面白味がある。
スライムの特性や成長に従って出来る事が増えていく過程は楽しくはある。
多少の戦闘はあるが基本的にスローライフ、なごみ系の良好な雰囲気を維持、終始安心してお気楽に見れる。
キャラ配置も話の展開も極めて分かり易く、ストレスフリーの優しい世界を貫徹している。
この点は同期で近いタイプの「くま クマ 熊 ベアー」に若干の毒があるのに比べて、良くも悪くも純粋。
山無し谷無しの平坦な内容ながら、1クールそこそこ楽しめただけの良さはあった。
キャラデザに癖が少なく、リョウマのショタやエリアリアお嬢様など絵的な可愛さは申し分ない。
お嬢様はゴブリンスレイヤーの神官ちゃんに似ている。
また楽曲が良く、主題歌の歌詞が主題に則している。(優しい世界〜♪)
主題歌とテーマのシンクロ率が高いのは、制作スタッフの原作への理解度の高さが伺える。
なろうのテンプレ気味ではあるが、主人公を取り巻くキャラクターの雰囲気が良い。
主人公は終始礼儀正しくイキる嫌味が無い、周囲の善意を一身に受け、周囲ごと優しい世界を邁進する。見ていて悪い気はしない。
サブキャラも一応のキャラ立ちはしていたり、大人にも一応の見せ場が用意されている。
主人公をヨイショしつつ、彼らも主人公を上回る有能さ見せる塩梅は良かった。
エリアリアお嬢様が可愛い。
リョウマを純真無垢に慕い、自分も健気にがんばる美少女。
出会いから終始和やかな雰囲気で微笑ましい交流を重ねていき、最終話の幼いラブコメの波動に至るのは中々萌える。
1期最終話は結構しんみりと余韻があり、この優しい世界の続きが見たいと思わせる。
【悪い点】
ストーリーがとことん平坦で外連味に欠ける。とはいえそこは持ち味でもある。
ギミックやコメディーのキレなど、作品としての外連味で同期のクマにかなり見劣りする。
2期は2期で安定はしているが、あまり記憶に残らなかった。
典型的ななろう系主人公ヨイショの構図があからさま過ぎる。
主人公が何かやるたびに周囲の大勢が流れるように「さすがリョウマさん」「大したもんだぜ」これが単調に繰り返され辟易。
別にヨイショが悪いとは思わない、他作品でもさすおにとか別に気にならない。ただ本作はテンプレを雑に繰り返し単調。
ヨイショ以外でも、全般的に会話劇が紋切り型で面白味に欠ける。
主人公の前世がブラック企業に虐げられるオッサンで悲惨な上に、ショタに転生後も度々回想してゲンナリする。
主人公が優しい世界に触れて感激するのは良いが、その度に悲惨な前世と対比させてくるのは切なくなる。
作品全体から、現実がク〇だから理想郷に逃避したい願望がダダ漏れ。
それ自体は決して悪い事ではないけれど、あまりに露骨で芸が無い。
逃避するなら、無粋な前世は忘れて異世界で楽しくやればいいのに。
あと、う〇こスライムをお嬢様にプレゼントするのはちょっと…
2期はエリアリアお嬢様が空気。
【総合評価】5点
和やかなスローライフ系ファンタジーとして、真摯に丁寧に作られた佳作。
制作は「異世界はスマートフォンと共に」のスタッフが独立した新興会社の模様、
いせすまで見せた通りの、なろう系原作アニメの持ち味を正しく理解して良い仕事をしてくれている。
(原作本来の良さを活かしたとは言ってない)
この手のタイプで、よりブラッシュアップされた作品か。
こういう原作から佳作アニメが生み出されるのは、ちょっと複雑な気分。
否定寄りの感想が多くなってしまったけれど、内容自体はむしろ良い方だと思う。過去作に比して、洗練を感じる。
評価は普通寄りの「良い」