てとてと さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
真実だけがミステリーじゃない。1期より2期が素晴らしい
「スパイラル〜推理の絆〜」や「絶縁のテンペスト」の作者によるミステリー小説、のアニメ版。
※作品データベース様より加筆修正して2期までの感想。
【良い点】
怪異と現実が交差していく幻想的な作風。
背景作画や楽曲そしてキャラクターも良く、本作特有の雰囲気を醸している。
1期は2話のヌシ様の疑問を言いくるめる話が一番面白かった。「氷菓」っぽい路線。ヌシ様が面倒くさくて可愛い…
大半を占める鋼人七瀬編も、ネットの想像力が具現化した怪異に対して虚構で対抗する、という構図や展開は興味惹かれた。
ネット書き込みが御都合な理由を、敵ボスと九郎の異能設定で説明している点も抜かりが無い。
2期の方が1期よりも圧倒的に面白さが増しており、ドラマの導入からの起承転結が抜群に上手かった。
導入が上手く、各エピソードの初回時点でゲストキャラの魅力伝わる。
本格派ミステリーの真実の探求ではなく、虚構を想像力と口八丁で「でっちあげる」変化球的な面白味抜群。
シリアスでありつつ、軽快で小気味良く進行、魅力的キャラや奇怪にして見事な虚構推理に引き込まれる。
ヒロイン・岩永琴子の強烈な個性と魅力。2020冬のヒロインでは随一の存在感。
人ならざる怪異たちに「お姫(ひい)様」と慕われる謎めいた美少女、怪異や虚構を操る知恵者としての側面もさることながら「良い性格してる」
九郎先輩へのヤンデレじみた執着も、外連味たっぷりな言動や行動がいちいち面白く飽きさせない。
計算高く飄々とした、いい性格してる一方で、恋愛絡みで地団駄踏む事も多くそこが非常に可愛らしい。
2期では「品性」に欠けるお下劣な性格も大変可愛らしかった。鬼頭氏演じる品性に欠けるキャラは後々「品性ぇ…」と言われそう。
(英雄王ちゃんとか、不良ゴルファーちゃん)
コミカルな側面の裏で、特に2期は人間の業や自己満足による救済を許さぬ苛烈さも魅力だった。
決して人間の味方ではない、調停者。
美談を断罪する、ある意味地獄少女よりも怖い。
ゲストキャラの魅力も高く、短いやりとりでちゃんと個性出せている。
1期は常識人枠な婦警さんの紗季さんも琴子に振り回されつつも良キャラ。
2期は各エピソードのゲストキャラが悉く良かった。
不幸男性と雪女のラブコメ感は同時期天使様に負けてなかったり。
【悪い点】
1期の大半を占める鋼人七瀬編が冗長で飽きてくる。1クールアニメに不向きな題材っぽい。
結局のところ話の構図自体は単純なのと、延々と想像やネット上のレスバだけで話を盛り上げるのは限界を感じた。
また良い点と裏腹で、ネット民の書き込みが御都合の域を出ず、琴子の誘導の巧みさも視聴者目線だと地味に見えてしまう。
九郎と七瀬の泥試合も間を持たせるには地味すぎる。
琴子の虚構打消しの策も緻密なのは分かるが、地味でカタルシスが無い。敵の立花さんは最後まで画面の向こうなのもマイナス。
絶縁のテンペストの左門さんがテンパっていくシーンみたいな感じの、心理戦の面白味が全然無かった。
悪い点ではないが、会話劇主体なのでやや地味ではある。
琴子と九郎の掘り下げや交流が進展せず。
終始一方通行で終わったのはある意味清々しいけれど、もうちょっとラブコメ要素とか見たかった。
OPで石破ラブラブ天驚拳撃ってるけど、本編でベストパートナー感が希薄なのはOP詐欺。
【総合評価】8~9点
岩永琴子という強烈なヒロインに牽引されつつ、虚実織り交ぜて人の業を暴く。
1期も悪くはないが、明らかに2期の方が面白かった。
評価は「とても良い」