なっぱ𖧷𓈒𓂂 さんの感想・評価
4.3
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
2009年時点で大地震がきた場合の災害シミュレーションがこれ程できていたとは。
予備知識なしの初鑑賞。
ずっとずっと何年も観たいリストに入れてたものの、
あらすじや題材的にも涙無しでは観られない
悲しいお話なんだろうなと気が進まなかった作品です。
今日は気持ち的に大丈夫そうだったので
覚悟を決めていよいよ、一気見です。
OPが流れた直後に表示される注意書きに
{netabare}[リアリティを追求し〜]という言葉が毎話入り、{/netabare}
この物語をただのファンタジーだと捉えてはいけない
という製作者さんたちの気持ちが伝わりますね。
今の時代に観るからこそ注意書きの内容を
当たり前の事じゃないの?などと思えますが、
当時はなかなか想像できない人が多い時代ですよね。
内容についてですが、
1つも不要なものがない素晴らしい作品でした。
{netabare}入りは未来ちゃんのイライラに付き合わされて
私まで嫌な思いになるのですがこれがある事により
未来ちゃんが如何に大成長したかが伝わるんですよね。
最初は未来ちゃん大嫌いだったはずなのに最後には
本当によく頑張ったねと抱きしめてあげたくなる。
そんな未来ちゃんの事を「お姉ちゃん、お姉ちゃん」と
ずっと大好きなままでいてくれた弟の悠貴くん。
前半の方で倒れてきた何かが悠貴くんの頭に当たり
未来ちゃんの呼び掛けに反応せず、
お茶目に意識のないふりをするシーンがあります。
その時は何も思わなかったのですが、
直後に2人の面倒をみてくれている真理さんが
「コブになってる」と言っていたのに
病院へ行かずそのまま放置したことに対して
脳出血とか大丈夫なのかな?とモヤモヤしてました。
コブになるほど強打してるのに、、と。
これは普段から私が病院通いであることや
医療系のニュースをよく見ているせいで
病気に繋がりやすい事に敏感なのかもしれません。
悠貴くんの死因は説明されないまま終わりましたが
おそらくここが大元だと考えています。
その時はなんともないんですよね、
時間が経ってから頭痛や熱や嘔吐という症状が出たけど
またしても病院には連れていかなかった。
医療に関して少しでも知ってる人がここにはいなくて、
悠貴くん自身も不調を我慢し伝えなかった。
そしてついに倒れてしまい、
病院へ運ばれるも手遅れで命を落とす。
悠貴くんが亡くなった事を
未来ちゃんの夢オチのように描かれた時は
もしかしたら手術で間に合ったのかな?
という思いも僅かにはありましたが、
サッカーの後に悠貴くんが未来ちゃんへ言った
「点滴」という言葉でおかしいなと。
私がその時点で考えていた
頭打った→脳出血(?)→倒れた→
この後に点滴だけで元気になるわけがない。
百歩譲ってこれがただのアニメなら
大人の力が働いたんだな〜とスルーしますが、
なんせこの作品は[リアリティを追求]して作られた。
医療部分だけリアリティを出さない訳がない、と。
そして悠貴くんの死を
私が確信したシーンはそのすぐ後に来ます。
寝床に残された悠貴くんのリュックを持って
真理さんが2人を探すときに
「未来ちゃーん! 未来ちゃーん!」と
連続して名前を呼んでるのですが、
真理さんは未来ちゃんの名前しか呼ばなかったんです。
もうこれは悠貴くんが生きてるにしては
おそろしく違和感しかありません。
2人に平等に優しく接してきた真理さんが
悠貴くんを呼ばずに未来ちゃんの名前しか呼ばない
なんてことがあるとは思えないんですよね。
それ以降も悠貴くんは登場し続けているけど、
真理さんの家族が見つかるまで悠貴くんのリュックは
未来ちゃんがずっとからってます。
真理さんの家族が見つかり真理さんの元を去った時は、
幻覚の悠貴くんが幻覚のリュックをからってて
未来ちゃんは自分がリュックを持つ必要がないから
現物のリュックは真理さんのところに忘れてますよね。
家族(まずはお母さん)と会う直前まで
悠貴くんの死を受け入れられない未来ちゃんを見てると
まだ真理さんといた時に出会った飴をくれた
おばあちゃんを思い出してとても苦しくなります。
未来ちゃんの幻覚悠貴くんへの態度や対応は
もっと優しくしてあげれば良かったという
もっとああしてあげれば良かったという
後悔や心残りからくるものだったのでしょうか。
そして真理さん、ありがとう。
大人に幻滅していた未来ちゃんに
手を差し伸べてくれて本当にありがとう。{/netabare}
この作品からは災害時に"しちゃいけないこと"を
とても学ぶことが出来ると思います。
作中でセリフに無駄がなくて良かったです。
心の声が多すぎたり独り言が多すぎるという
アニメならではのセリフの使い方ではなく
無言もセリフとして使っているような、、
こういったところも、まさにリアリティ。
泣いちゃう内容なんだろうな、
覚悟してれば少しは泣かずに観られるかもな、
なんて思ってましたが後半は"泣く"ではなくて
"号泣"がところどころに待ち構えてました。
こうだろうな〜と予想して分かっていても"号泣"。
良いお話、、と言っていいのか複雑な心境ですが
アニメとして作品として言うならば良いお話でした。