かける さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
愛を探していた女の子は旅の果てにアガペーに至る
突然の書き出しだが、愛にはいくつか種類があると言われている。一説によると6種類、最近では7種類という説もあるらしい。
ヒロインは愛を知らない女の子。ある日、親に捨てられた少女を拾い、とあるマンションの一室で少女と自分、二人だけの幸せのお城を作ろうとする。その企みは上手く行かず、愛ゆえに運命に翻弄され、最後にはマンションの屋上から、少女と共に身を投げる。
ヒロインは少女との同棲生活を送る傍ら、この物語の登場人物と出会っていく。彼らはみな偏った愛の持ち主たち。ある者は少年を性的な欲望のまま汚し、ある者は追い詰められることに快感を覚え、ある者は家族の絆を押しつける。アニメの視聴者はヒロインとともに、さまざまな愛の形を見てまわることになる。
物語の最終盤、マンションの屋上から身を投げる瞬間まで、ヒロインにとっての愛とは、自分自身のためのものだった。それが、少女と屋上から身を投げたあとの刹那、ヒロインは自分の中にこれまで感じたことのない、新しい愛が芽生えていることに気付く。
それは利己的な愛ではなく、利他的な愛。自己犠牲を厭わない、相手の幸せを願う愛。さすがに神の愛なんて大それたものではない。それでも「甘いものでビン(自分)を満たす」幸せではなく、自分の体を盾にして少女を庇う=ビンを割ることをヒロインが選択した最後の瞬間に、私たちはアガペーを感じずにはいられない。テーマソングのsweet hurtを使った演出も素晴らしく、最高の最終話だったと断言する。
この作品はガワだけ見ると可愛いヒロインが少女を拉致するわ、人は殺すわ、登場人物も歪んだ奴ばかりのキチガイ百合アニメということになるが、愛を知らなかったヒロインが、アガペーに目覚めるまでを描いた愛の物語であり、描き方にクセはあるが、王道の純愛の物語だと高く評価している。
最後に落とすようだが、ヒロインと少女の名字はどうにかならなかったのか。牛かよ…。