タック二階堂 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「天然しあわせインフルエンサー」が都会っ子たちを変える。
詳細は公式サイトでも見てください。
講談社『月刊アフタヌーン』連載中の高松美咲さんによる漫画のアニメ化作品です。制作は、前期「Buddy Daddies」でスマッシュヒットを放ったP.A.WORKSです。
P.Aは一時期、なんか低迷というか、いまいちな作品が多かった印象。個人的には嫌いじゃないけど「Fairy gone」あたりから微妙になっていて、「神様になった日」がどん底だった感じ。
ただ、「白い砂のアクアトープ」で少し盛り返して、「パリピ孔明」で復活。その勢いのまま「アキバ冥途戦争」「Buddy Daddies」とヒットを飛ばしているという状況ですね。
で、満を持して人気原作「スキップとローファー」を今期は担当します。漫画原作のアニメを制作するのは「パリピ孔明」に続いて2作目となりますね。
んで、初回。
=====初回視聴後、所感です。
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石川の田舎町から、偏差値の高い高校を求めて上京した岩倉美津未(CV:黒沢ともよさん)。お勉強はできるけれども、いわゆる天然。そんな美津未は、入学式を電車に乗り間違えて遅刻。
そんな美津未の様子を心配した背の高い金髪イケメン男子・志摩聡介が声をかけてきて、一緒に学校へ行くことになる。
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という初回の始まりでした。
ギャグと通常のテンションのバランスが非常に良く、キャラデザも現時点ではイモっぽいけど、磨けば光りそうな美津未という女の子を絶妙に描いています。パッと見、少女漫画のような感じではありますが、美津未の病んだ顔とかドロドロして面白いし、ホント全体的にバランス感覚が非常に優れた作品という印象を受けました。
とにかく黒沢ともよさんの演技も含めて、美津未というキャラが非常に好感が持てるのはいいですね。陰キャというわけではないけれど、垢抜けた東京の高校生たちの中にあって、すごく素朴で、言い方は悪いけどイモっぽい。なんか、応援したくなるキャラです。
作画は言うまでもないP.Aの上質なもの。今期の大本命が、文句なしのスタートを決めてくれました。これは大きな期待が持てそうです。
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=====第2話視聴後、追記です。
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2話も完璧でした。
黒沢ともよさんの演技も相まって、本当に美津未がピュアで可愛いですね。邪気がまったくないから愛せるキャラなんですよね。ヘンテコだけど。
ヘンテコだけど、いろいろと感情の機微があるのをしっかりと描いているのも好感。カラオケに誘われたとき、江頭ミカにコソッと釘を刺されたところとか。「聞きたくなかったなぁ」というセリフが非常に良かったですね。
なんか、もう本作が今期では頭2つぐらい抜きん出ちゃったかなという印象です。
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=====第3話視聴後、追記です。
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3話も完璧でしたね。
生徒会に入りたいと思った美津未は、生徒会室に行きます。ドアの前には、クラスでも陰キャで浮いてしまっている久留米誠(CV:潘めぐみさん)が立っていました。久留米はクラスで浮いてしまっているがために、所属するコミュニティを求めて生徒会室を訪れたわけですが、そこに“裏番”という別名を付けられてしまった美津未、さらにチャラ男風の志摩、ギャル美少女の結月が現れ、ドギマギしてしまいます。
といった入り。
構成、演出が素晴らしいですよね。クラスからアブれてしまった久留米だけど、美津未からすれば東京の女の子。見下したりするわけでもなく、非常にフラットに接するわけです。そして、それにつられて志摩、結月も普通に接する。放課後にスタマ(スタバね)に行っちゃったりするわけ。
秀逸だったのが、人見知りも相まってなかなか自分を出せない久留米に、ある意味「事情を知らない美津未がグイグイ来る」わけです。で、友達とカフェでお茶なんかしたことなかった久留米。だけど、すごく楽しかったんだろうな。帰り道、電車待ちしているとき、スマホにメッセージが来て、思わず口元がほころぶ。そして、なんだか照れくさいような嬉しいようなこそばゆい感情で、後ろ姿で思わず軽く背伸びをするんです。
いやあああああ、素晴らしい。これ、わかるよねー。
で、Bパートではクラスの子たちでリバイバル映画を観に行くんですが、そこは高偏差値校。金髪の男子とかも、ぜんぜんヤカラではないんですよね。こういうところも、しっかりとキャラを描いているなという。
ちなみに、高偏差値校なのに金髪OKなのかよという指摘は的はずれです。高偏差値校ほど校則がゆるい。制服のない学校も多いし、たとえば麻布高校などは金髪も多いそうです。校則は「授業中に出前を頼んではいけない」「鉄下駄で投稿してはいけない」というものだけだったと記憶してます。
それはさておき、だからこそというか、チャラ男っぽい男子もギャルっぽい女子も、レベルの低いいじめというものには発展しない感じなんですよね。中学までの自分への当たりに比べて、しっかりと向き合ってくれるということを感じて、久留米が徐々に心を開いていく様子。そして、無自覚だけど、それを引き出している美津未の姿にほっこりし、口元が緩んでしまう自分がいます。
こういうのを名作というのでしょうね。このままのペースで行ってほしいです。次回も楽しみ。
あ、ちなみにホリエモンの2022年イチオシ漫画は本作みたいですよ。
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=====第4話視聴後、追記です。
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いよいよ「天然しあわせインフルエンサー」としての本領発揮ですね。
今回は生徒会役員の2年生、高嶺十貴子の気持ちをラクにしてあげる回でした。
分刻みでスケジュール管理をし、ストイックな生活を送る超絶完璧主義者の高嶺先輩。そんな彼女に憧れ、美津未は一緒に行動するのですが、これがまた天然ですのでね。そんな美津未に触れたことで高嶺は肩の力が抜け、少し態度が軟化し、人当たりも柔らかくなるといったストーリーでした。
なんというか、美津未を見ていると頬が緩んでしまう自分がいます。
キャラデザは、あんな感じで気が抜けたような顔をしていますが、行動と黒沢ともよさんの演技によって、すごく可愛らしい、けどおもしれー女に描かれています。
というか、もう美津未というキャラが生まれた時点で、この作品の勝ちは確定しているんですけどね。
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=====第5話視聴後、追記です。
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今回も素晴らしかったですね。
校内球技大会に向け、バレーボールに参加する美津未。そんな美津未ですが、運動が苦手。そこで特訓をお願いしたのが江頭ミカ。渋々でしたが、志摩から頼まれ、引き受けることになります。
今回、秀逸だったのが体育館で練習しているとき。1年生が使う日だったのに、3年生男子が我が物顔で遊んでいます。そして、片隅で練習してる江頭にぶつかって。意を決して注意をした美津未を無視して遊び続ける3年生達に、同級生の男子が叱ってくれるというシーンです。
江頭は上履きの名前を見て「心の許さないノート」に2人の名前を刻みますが、美津未は助け舟を出してくれた人を「福田先輩カッコよかったよね」と。
「きっとこういうところだ。私がムカつくやつの名前2つ覚えている間に、岩倉さんは親切にしてくれた人の名前をひとつ覚えるんだ」
もともとイケてないぽっちゃりさんだった江頭。
でも、変わりたいと思って努力をして、イケてるバレー部に入り、イケてるグループに属し、無理をして生きてきた。そんな江頭が初めて接した、純粋で素直で無理をしていない美津未に対して、眩しさを感じた瞬間でした。
いや、もう。
こんなん泣かずに観てられませんよね。江頭さんの気持ちに共感性しかないです。脚本から構成、演出まで完璧。さすがP.A.WORKS。このまま走りきれば「SHIROBAKO」を超える傑作になる可能性すらあります。
これだけの作品だけに、脅威を感じるのでしょう。
ここの評価を捨て垢作ってオール★1にして、平均点を下げようとしている方がいるようですが、逆に気の毒に感じます。自分の【推しの作品】が堂々と勝負して勝てないかもしれないと思っているからなんですよね。
この作品なら、そんな工作しなくても最終的には今期の一番上にいるに違いありません。
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=====第6話視聴後、追記です。
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もうね、こんな神回しか作れない作品なんて、誇らしくないのかって感じですよ。
今回は美津未と志摩が、ちょっとしたすれ違いから気まずくなり、仲直りするというお話。そして、美津未が恋を意識するといった流れ。
梅雨の時期で雨がしとしと。それが、仲直りでパーっと晴れ間が広がるという演出もよかったですね。
いちばん感心したのは、今回の話の起点が石川にいるフミちゃんなんですよね。冒頭にフミちゃんが、恋を意識し始めたという話を美津未にして、最後に美津未が志摩に対して恋愛感情を意識するという流れ。完璧でした。
褒めるところしかないので、いちいち全部を拾っていっても仕方がないのでこのへんにしときますが、すべてにおいて高いレベルで安定して面白い。とても、きめ細かい人間描写がいきいきと描かれているので、このあたりはさすが女性作者&女性監督といったところ。
うん、文句なし。ただただ拍手。
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=====第7話視聴後、追記です。
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いわゆる「溜め回」という位置づけだと思うのですが、溜め回でも十分おもしろいという。
美津未が晴れて生徒会の書記として入閣。
2年の高嶺先輩は、次期会長候補だったのですが、なんと選挙で元サッカー部の風上先輩に破れるという波乱。
あとを引きずる高嶺先輩を慰めるべく、兼近先輩が過去の黒歴史自主制作映画を披露するという話。んで、Bパートは美津未が夏休みに実家へ帰るので、その前にお土産をゲットする目的で動物園にパンダを見に行こうと。
そして、なんと志摩くんに「2人で行かない?」と誘ってしまうという。
そして、ラストでは志摩くんの子役時代からの友人・梨々華の登場で、波乱の予感という回でした。
あ、ちなみに僕は本作があまりにも面白いので、原作を8巻まで購入しました
w 本当に原作のリスペクトが半端ないですね。映像にすることで、魅力をさらにパワーアップさせていると思います。
次回、ちょっとした動きがありそうですね。
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=====最終話視聴後、感想です。
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乱暴な言い方をすると、傑作は特に書くこと(指摘すること)がないので、どうしてもレビューが疎になってしまう傾向があるので困ります。
珍しくアニメが面白すぎて原作を最新刊まで買ってしまったということもあるので、原作を踏まえた話をすると1期は4巻まで。今んとこ8巻まで刊行しているので、今すぐにでもP.Aは2期の制作に取り掛かってもいいという状況ですね。
2期のアナウンスはないけれど、これは2期を作る可能性は非常に高い気がします。あくまで勘ですが。とりあえず講談社はお金を出せと。
1クールを通して、すべての回で完璧でした。
これは“裏覇権”と言われても納得です。
おっと書き忘れていました。
声優さんの熱演も魅力のひとつでしたね。特に美津未役の黒沢ともよさん。これまで彼女の代表作は「響け!ユーフォニアム」の久美子だと思っていたのですが、これに塗り替えられたかもしれないです。それぐらいハマリ役でした。
すべての面で素晴らしい出来の作品でした。大満足です。
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