てとてと さんの感想・評価
3.1
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
女の子のなろう異世界転生系の(アニメ的に)先駆者?光る面もあるが、ギスギス不快要素が強め
なろう系の異世界転生系、通称「のうきん」全12話。「老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます」と同じ作者。
「えんどろ〜!」路線の女の子なのが特徴。
※作品データベース様より転載
【良い点】
2019年時点、アニメでありそうで無かった、転生強えー系を女の子に置き換えた着眼点。
男だと鼻もちならない諸々が、可愛い女の子ならまぁ許せるか…?となりやすい。
マイルはチート能力持ちつつも隠して隠しきれずに仲間たちに訝しまれるが、まずい事はちゃんと自覚している為「私また何かやっちゃいました?」的な白々しさは感じさせないのは良かった。
作画は低予算でキャラデザも安っぽいものの、そこそこの可愛さは出せていて及第点。
2回ほどお風呂回などサービスシーンもある。
コメディーは中身オタクなヒロイン・マイルがサブカルネタ繰り出すのが主流。
センスはともかく、元ネタ知っているとクスリとするところも無くは無い。
2話の「あばれはっちゃく」みたいな昭和番組もあれば、最終話の「いやぁ、古竜は強敵でしたね」(スーパーロボット大戦Kのミストさん)みたいなゲームスラングもあるなど、稀に(おぉ…)となる。
最終話は「ダイの大冒険」の大魔王様ネタ「今のはメラゾーマではないメラだ」もあり、再アニメ化決定でタイムリーだった。
マイルたちのパーティ「赤き誓い」がザンネンっぷりを見せつつも成長、次第に良きパーティになっていく感じ。
全編通して良き仲間として信頼関係が構築されている感は良かった。
個別回では9話のワイバーン討伐回が一番面白かった。
サブカルネタのキレも比較的良かったし、体を張った人間砲台などコメディーとしての持ち味も発揮。
11話から最終12話はシリアス展開、かなり唐突な感はあれど、12話の展開は王道的で普通に熱かった。
ベタではあっても、今までの仲間として共に冒険してきた積み重ねが生きている。
終盤明かされるこの世界の危機や秘密云々も結構気になる終わり方。
後半盛り返している為、1クール通して見ると印象が好転している。
過酷なシリアスを「そういうのいいから」とあえて軽く流すノリこそが本作の魅力ともいえそう。
4〜6話のきついシリアスを軽く流したのが釈然としなかったが、終盤のマイルのシリアスを仲間たちが「そういうのいいから」と軽く流し受け入れてくれる流れに繋がっていると見れば、あながち悪くはなかった。
なぁなぁの関係ではなく、本音で自分の在り方を認めてくれる信頼関係、アニメ作品でも意外と少ない要素を描けているのは高評価。
【悪い点】
半端なシリアスや悪意が多くて思いの他楽しくない。
仲間たち、特にレーナ関連が不愉快な展開で冷水浴びせられた感じ。
そのシリアスも処理が雑で十分に留飲が下がらず、またマイル達が軽く流してしまうのでかなり印象悪かった。
マイルの事情も悲惨で、本作をどういう楽しみ方すればよいのか戸惑う。
その後もシャレにならない悪党が多く、無邪気に女の子たちの冒険や交流を楽しむのに水を差している。
赤き誓いの面々も含めてキャラに若干の毒を感じる、マイルが中々心を許せる仲間と認められない展開が続き、楽しくない。
…ここら辺は徐々に好転して最終話の良き王道に繋がるので通して見れば悪くはないけれど。
個々のキャラにいまいち萌え的な魅力感じない。
キャラの関係性もマイルとその他だけで、赤き誓い同士の横の交流も乏しく、キャラアニメとしての層が薄い。
ここら辺が「えんどろ〜!」に大きく劣る点。次作の「ろうきん」はこの点が改善されている。
コメディーも専らマイルのパロディー頼み、マイル以外誰にも通じてない一人芝居で滑っている。
ネタが分からない視聴者にはサッパリ面白くあるまい。
コメディーのセンスが微妙。
戦闘の雑さは作風上特に気にならない。
【総合評価】3~2点
「えんどろ〜!」みたいな優しい世界の癒し系萌えコメディーを期待していると全くの期待外れ。
なんだけど、粗い部分は多けれど、最後まで見てまぁまぁ良かったかな…とは思えた。
前半の評価下げる諸要素も、後半以降の持ち味発揮に繋がるため、評価が悩ましいところ。
評価はギリギリ「普通」