やまげん さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
アート作品
4つの作品からなる短編映画なので、当然、ストーリーの重厚さや奥深さなどはない。
4つの作品にはそれぞれ、テーマがあるのではないかと思われる(違うかもしれないが)。
{netabare}【オープニング】
タイトルはついていなかったが、オープニングのアニメーションは、音楽と映像の連携が見事で、すごく良かった。
女の子が空中を漂いながら次々と見た目が変わっていく様子は、この作品の可能性や拡がりを感じさせた。
【九十九】
テーマは、色彩(と感じた)。
和傘や着物の帯など、色鮮やかで見ていて楽しかった。
職人らしき男が来ていた着物の柄も、相当細かかった。あの見た目で、実はおしゃれさんらしい。
4つの作品の中では、もっともストーリーに独自性があったと思う。物語としてもおもしろかった。
【火要鎮】
テーマは、狂気と炎の表現(と感じた)。
火事を起こしたお若の狂気と、炎の恐ろしさがリンクしているように感じた。
炎の表現は、浮世絵っぽかった。
【GAMBO】
テーマは、戦闘(肉弾戦)かな。
殴る、絞めるなどの原始的な戦闘シーンの表現を突き詰めたというような感じ。人間同士の戦闘シーンではないので、戦術性などはないが、あえてそれを省いて、原始的な戦闘の極致を描きたかったのかもしれない。
【武器よさらば】
テーマは、戦闘(近未来戦)かな。
バトルスーツ対多脚戦車という近未来戦の戦闘を、戦術面も含めてリアルに描くという心意気を感じた。
タイトルがヘミングウェイの小説と同じだけど、小説も映画も見たことがないので、どんな意図があってこのタイトルをつけたのかは不明。
小説とは関係なく、初めから武器を一切もたずに多脚戦車と接触していれば、何も攻撃されず仲間も死なずに済んだのにというオチに絡めたタイトルだったのかもしれないが。{/netabare}
どの作品も、単に作画がきれいとかいう次元の話ではなく、映像で新しい表現を目指したという感じがして、芸術作品だなと思った