なばてあ さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
カメラオブスクーラ、ハリネズミ、カニ
のっけから私事で恐縮なのだけれど、じつは骨折で入院していて、なんとか退院にこぎ着けたその日、病院を出たその足で劇場に駆け込んで見た。
世評のとおり。ファンが欲しがるすべての要素をちゃんと、しっかり、かんぺきに賄いつつ、ファンが望むだけの興奮をちゃんと練り上げてきた。なにをかいわんや。
もともとこのアニメシリーズは、ストーリー上もイメージ上もメタ構造が際だっていたけど、それがいっそう加速したのがこの劇場版だと思う。複数のレイヤーが折り重なっていて、自分の感性が隣接するレイヤーに移行するたびに新鮮な喜びに触れられる。
わたしがいちばん感動したのは{netabare}アカネちゃんとアンチくんが再会する{/netabare}シーン。作画もよかった。あの{netabare}アカネちゃんの手がアンチくんの髪をくしゅくしゅする{/netabare}動きは絶品で、こういう手描きの愉悦がまだまだ残っているのが幸せなことだなあとひとりごちる。
それと、どうしても言いたいのは「世の中には人として守らなきゃいけない物が三つある」の「三番目」のこと。ようやくあきらかになったその「三番目」が、ほんとうに深くて、なんて素敵な定言命令なのだろうと思った。そして、この「三番目」がただのギャグとして流されませんようにと、真摯に祈らざるをえない。
衝撃:★★★★
独創:★★★☆
洗練:★★★★
機微:★★★★☆
余韻:★★★★★