剣道部 さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
2クール以上をかけて、丁寧に作れば、名作になった可能性もあるだけに、、、
[文量→大盛り・内容→酷評系]
【総括】
作画等、アニメ自体のクオリティはとても高く、異世界転生の生かし方も好きでした。キャラクターもよく、テーマ性も良いです。
ただとにかく、早急すぎます。原作知らない私でも、「ガッツリ原作切ったんだな~」て思いました(苦笑)
序盤は、☆5すらあるかなと期待し、中盤までは確実に☆4。でも、終盤で一気に評価を落とし、結果は☆3に。期待の裏返しとも言えますが、最終話でのガッカリ感は、近年でもトップレベル。最終話は☆1をつけました。
シリーズ構成ダメダメだな、誰だよ?と思ってググれば、まさかの渡航さん。「俺ガイル」の原作者だし、シリーズ構成でも、原案から手掛けた「ガーリッシュナンバー」はお気に入り棚。
う~ん、監督の問題かな? それとも、原作付きは弱いの?
心理描写を丁寧に重ね、彼女らの魔法革命をじっくり魅せていけば、間違いなく面白くなったと思うだけに、残念で仕方がないです(涙)
《以下ネタバレ》
【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
総括に書いた通りだけど、中盤まではとても良かったんです。
序盤はとにかく、アニスフィア王女のキャラクターの魅力が良かったですね。魔法の才能がないからこその、魔学。ドラゴンの力を得るのはちょっと早すぎというか、もう少し紆余曲折あっての、「実質的な魔法使い」になれば良かったけど、
明るく真っ直ぐで型破りなお転婆王女様が、ちゃんと表現されてました。イリアとの掛け合いもよく、会話にセンスも感じました。
序盤~中盤にかけ、転生者である意味があまり見出だせませんでしたが、終盤に、「自分が転生したせいで、大好きな父母から、本当の子供を奪ってしまったのではないか」「自分が転生者だから魔法の才能がなく、アル君をはじめ、多くの人の人生を滅茶苦茶にしてしまったのではないか」という苦悩は素晴らしく、「魔法使いになりたい」「でも、王女であることは捨てきれない」という、彼女のアイデンティティの形成に繋がっています。
転生したことを、知識や能力に生かすよりも、その生い立ちの苦悩に生かしている作品は多くなく、内容的な深まりを感じました。
『かげきしょうじょ』の「渡辺さらさ」、『ガーリッシュナンバー』の「烏丸千歳」と、「影ある陽キャ(深みのある陽キャ)」を演じさせたら、千本木 彩花さんは抜群ですね。千本木さんの声質って、ちょっと不安定というか、揺れる感じがするで、こういう二面性のあるキャラクターにはハマるな~って感じがします(私は、千本木さんのファンです♪)。
アルガルド王子も良かったと思います。他の兄弟が優秀で悩んで暴走する王子というのは定番ですが、アニスフィアが「女」で「魔法の才能がない」から、「王位継承権を放棄した」という、ある意味で「真っ当な理由がある」ため、表立っては批判できず、でも、「姉上はただ自由に自分の為に生きている」と感じ、悩む日々。
アニスフィアもアルガルドも、互いを大切に思い、国を良くしたいと思うからこそ、敵対していくってのは良かったと思います。
まあ、この話にしても、本来ここまでで12話使っても良いくらいなのに、早すぎるというのは感じましたが。
ただ、このアルガルドの件が終わってからは、とにかく、雑。
めちゃくちゃ複雑で重い話なのに、数話でサクサク進めちゃうから、残念な感じになるんですよね。サブキャラも置いてきぼりだし、「アルガルド、戻せば?」とか、「王家の親戚貴族から、養子を迎えれば?」とか、「いっそ、王様がもう一人子ども作れば?」とか、色んな解決方法も潰さないうちに、視野が狭くなって突き進んじゃう感じが、ちょっと痛く感じました。
最後のキスなんかは、マジでいらないな~。あれは、最悪の悪手。
ガチ百合展開にしなくても、ユフィリアの「友情か尊敬か恋愛か」という微妙な感情は充分に表現できていたし、それで良かったのに。なんか、あのキス(からのベッド押し倒し)で、ユフィリアの決意ある行動の意味すら、安っぽくなってしまった。
当然、原作由来だろうが、最終話まで来てるんだから、切るとこは切らないと。もし、ガチ百合が既定ルートなら、最初からそういう作りにした方が良かったとも思うし。
そして、本来、最も大事である、2人の「魔法革命」は、まさかのダイジェスト。あれはヤバい。
本作の原作は知らないが、本来は、アルガルドの話までで、1クール。王位継承権(ユフィリアの精霊化)と魔法革命で1クールは欲しいところ(3クールにしても良いくらい)。
その分、心理描写を丁寧に行っていけば、それぞれの行動に意味も生まれるし、百合にしたとしても、丁寧に心の変化を追えば、いくらかの説得力や意味は生まれたはず。
大人の事情で1クールしか出来ないなら、アルガルド編までで切っちゃうか、最悪、アルガルド編までをコンパクトにまとめて、精霊化や魔法革命を長めにし、ユフィリアとアニスフィアの2人の物語として再編集した方が、本作の構成よりは、まだ良かったと思いました。
{/netabare}