風紀 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
人間らしい作品
内容がありえません。
しかし、キャラクターも設定も現実から逸脱してるようで、身近にありそうなことでそこが逆に怖かったです。
この作品一番のテーマは「理想と現実のギャップ」ですね。
だれもが理想を思い描くことはあります。
それは自分自身や友人、恋人など多義に及びます。
そして、その象徴ともいえるべきものが「アイドル」です。
本人の姿は仕事の時しか知りませんが、好きになればなるほどその理想は高くなります。
この映画の主人公はそんなアイドルから女優へと転身します。
けれど、実際待っていたのは理想とはかけ離れた世界。
自分の理想と違う現実は本当につらいものです。
特に特殊な業界である芸能界の壮絶さに、主人公の精神は不安定になっていきます。
一方、理想を裏切られたファンは現実を否定し続けます。
好きな相手の理想の姿を想像するのは当たり前ですが、その想いが強いほど裏切られた時のショックはすさまじい。
案外、当たり前のような出来事ですがその感情はとてもデリケートです。
荒削りな部分もありますが、とても人間らしい物語です。
ある意味この作品が一番今敏監督らしいかもしれません。
全力で目の前の困難に立ち向かう主人公に好感は持てませんが、親近感を感じます。
カッコよくも美しくもなく、ありのままの泥臭い現実的なストーリーと演出は見る価値ありです。
ただし、一部過激な表現もあるので中学生以下にはおすすめできません。