「平家物語(TVアニメ動画)」

総合得点
77.5
感想・評価
350
棚に入れた
1100
ランキング
619
★★★★☆ 3.9 (350)
物語
3.9
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.8
キャラ
3.8

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ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

古典名作をアニメに落とし込めている良作

平家物語をホームドラマ路線の大河風にした感じ。
平家の人々の栄枯盛衰を、琵琶法師を少女化?したオリキャラ視点で綴る、叙事詩・群像劇。全11話。
※作品データベース様より転載

【良い点】
義務教育を受けた日本人ならば、全篇読んだ事は無くとも大まかな内容と流れは知っているであろう名作を題材に、
まるで女性脚本家によるホームドラマ路線のNHK大河ドラマめいて親しみやすくかみ砕いて描かれている、大変見やすい。
悠木碧氏が好演する琵琶法師の少女びわ(異能持ち、何故か成長しない、座敷童ぽい?何故か平家の中枢とタメ口な立場)の存在が、
演出と相まって軍記物よりも幻想文学めいた独特な風情ありつつ、不思議少女がタメ口で接する事で
平家の面々も親しみやすく内面を掘り下げられている。
(なんで拾われた下賤の?少女が平家と対等なの?)と最初は気になるが、すぐに慣れてアニメの雰囲気に引き込まれる。
ここは実写の大河ドラマだと難しい、アニメならではの許される点か。
びわという傍観者ポジションの語り部を非常に上手く活かしていた。
びわも視聴者も、結末を知っている傍観者なのは同じであり、故に情緒的に感情移入させられる。

ストーリーはダイジェスト感はあるものの要所を抑えている、全11話と短いが故に密度が濃くテンポも良い。
びわと重盛の憂いで序盤から無常感ありつつ、重盛が没してから坂を転げるように終末に向かう、終始飽きさせず。
序盤からのホームドラマで平家に感情移入させられつつ、終盤からラストの諸行無常感に浸れる構成は見事。
切ない物語ながら、救いと希望も垣間見せる結末も後味が良い。
平資盛は落ち延びているという伝承を採用しており、彼が魅力的に描かれている故にここも後味が良い。

平安時代舞台の古典を現代的アニメに落とし込んだ作画や演出も素晴らしい。
アニメとして見やすいし、心情描写や軍記物としての山場などもダイナミックに伝わってくる。
要所の山場で琵琶と共に悠木碧氏の平家物語朗読も大変良かった。
ラップ調のOPも、通してみると作風に合っているとわかる。

また、名前を本名呼び(後鳥羽上皇様とか)は、エンタメ作品の分かり易さ重視なので良し。

主に平重盛とその子供たちを中心に、ホームドラマ大河として良好な雰囲気。
兄弟たちは気弱だったり傲慢だが根は優しかったり、各々の個性ありつつ魅力的に描かれる。
重盛やその子たちの苦悩や関係性などを丁寧に掘り下げていた。
特に平資盛と平清経兄弟は他作品では地味な脇役が殆どだけど、本作ではしっかり存在感示した。
びわ同様の未来視の異能故に平家の行く末を知りつつも残り少ない命を賭して驕れる父清盛を諫める重盛と、
同じ異能持ちながら傍観者でしかないびわとの交流劇は特に良かった。
メインヒロイン格な徳子が運命に翻弄されながらも美しく生き抜いたドラマも胸を打った。

【悪い点】
軍記物・大河ドラマとして見るとダイジェスト感が否めず。
とはいえ本作のコンセプト上、軍記物の側面は重視しなくてもよさげ。

重盛ファミリー以外のキャラの出番や掘り下げは物足りず。
平家物語というか、視聴者の日本史の知識頼みな面はある。

【総合評価】8~9点
古典的名作を巧みに調理した良作。2021秋上位。
全面的に良い意味で女性脚本らしい持ち味出ていた。山田尚子監督、吉田玲子氏お見事。
評価は「とても良い」

投稿 : 2023/03/25
閲覧 : 132
サンキュー:

12

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