Witch さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
異世界モノの「入門書」としてオススメ →人気作となった理由は理解できる
【レビューNo.42】(初回登録:2023/3/21)
ラノベ原作で2018年作品。全24.5話(24話外伝+閑話)。
人気作という噂は耳にしていたが、異世界モノってそんなに好きじゃないのでずっと放置。
(「ハァーッ! 今度は『スライム』に転生かよ」ってタイトル切りしてた感じですがw)
昨年ABEMA一気見放送してたのをたまたま視聴したら、ハマったって感じですね。
個人的に異世界モノについては、リアルで視聴してる作品以外はレビューを書く気はなかったの
ですが、本作だけは「レビューする意義はあるかな」って思い、書いてみることに。
(ストーリー)
通り魔に刺されて死亡した主人公は、異世界の洞窟でスライムとして転生する。
異世界で「リムル=テンペスト」の名を得た彼は、暴風竜ヴェルドラを始めとする仲間を増やし
つつ、魔物の町を作り始める。その町にはひと癖あるようないろいろな奴らがやってきて・・・
(評 価)
・2クールで本作の魅力を丁寧かつ一気に描いている
本作も源流は「なろう」作品ですね。
本来「なろう」といえば、1クールでめっちゃ端折ったり、中途半端なところでブン投げられ
て終わるといった雑な扱いが多いが、転スラ制作陣はかなり「勝算」があったんでしょうね。
最初から「2クールでしっかり作品を育てていく」という意気込みが功を奏した感じですね。
(この連続2クールというのがいいんですよね。最近は制作スケジュール都合等で分割2クー
ルや間隔を狭めての1期2期作品が多くなってきましたが、やはり期間が空くとどうしても熱
量が下がっちゃうのと、本当の面白さの前に1回終わるので正当に評価されにくい。)
まずは導入部を丁寧に描き、視聴者に作品に対する愛着を持たせ、最初の面白さのピークまで
を一気に描き切り、「『転スラ』とはこんなに面白い作品だ!」というのをしっかり提示する。
こういう作品はやはり強いですね。
(最近では「転剣」が1期1クールで早々に2期決定でしたが、連続2クールにしてたらもっと
評価が上がっていたと思いますね・・・2期の内容は知らんけどw)
・「なろう」といいつつ、中身はほぼ「ジャンプ作品」
最初に浮かんだ感想がコレですね。「友情・努力・勝利」が「ジャンプ3原則」でしたっけ。
本作は「ONE PIECE」「Dr.Stone」「ワールドトリガー」等のジャンプ作品のアニメ成功例
を見事なまでに踏襲しているなっと。
・正義感に満ち、仲間思いの熱い主人公
・(努力かは微妙だが)地道にスキル習得に励みレベルアップ →それなりの実力者に成長
・強敵との熱いバトル →その後頼もしい仲間して加わる
・さらに強い敵と対峙 →新たな仲間と力を合わせ勝利! →さらに頼もしい仲間が
→ こうして仲間と共に更なる成長のスパイラルへ
・そしてキリのいい(目標の)達成感を視聴者と共有
こういう王道展開を地道に描いていき、主人公以外のキャラもしっかり育てていく。そして
(細かい設定や世界観等は置いといて)格子となるストーリー自体は明快に!
特に主人公以外のキャラというのが重要で、本作やジャンプ成功アニメを観ると、例外なく
サブキャラたちが自分の強みを生かし、皆活き活きと躍動しているんだよね。
(これが主力クラスだけでなく、結構小物レベルのキャラに至るまで)
そういう細部までしっかり描いてくれる作品は、やはり魅力的に映りますね。
そしてそういうことが出来るのは、やはり上述「2クールアニメ」の特権ですね。
(上述ジャンプ作品も1期は2クール(以上)で、始めにしっかり面白さを伝えている)
・上述テンプレをしっかり自作品に落とし込む
この作品はある意味「異世界・テンプレ」に「ジャンプ・テンプレ」掛け合わせたようなシロ
モノですね。それっぽい作品は結構ありそうですが、ここまでしっかり「『ジャンプ』してる」
作品となると意外と他に思いつかないんだよな。
そして本作のポイントは、6-8話の先輩女性転生者「シズさん」とのエピソードですね。
{netabare}シズさんとの死別~思いを受け継ぐ感動話を織り込みながら、「捕食」という衝撃的な方法で
人型への変身能力を得てビジュアルを変えていくという。
(さすがにずっとスライムの姿のままでは・・・って感じだったのをここで解決)
このビジュアルの変化で、物語の転換点になることを強く印象付けるとともに、(シズさんとの
やりとりが)他の異世界モノ作品との差別化を図る上手い展開だったと思います。{/netabare}
いうても原作が糞だとどうにもならない訳で、やはり原作のポテンシャルは高かったんでしょう。
そしてそれに応えるように、作画や演出等制作陣の「作品を面白くする」という熱意がしっかり
感じられた良作だと思います。
このように異世界モノでありながらも、しっかり「『ジャンプ』してる」点が馴染みやすいと感
じたので、「異世界モノの『入門書』」としてオススメする次第ですね。
問題点としてはある意味丁寧すぎて、途中までは少々退屈に感じてしまう点ですかね。それでも
「シズさん」とのエピソードを抜けた辺りからは加速度的に面白くなっていくので、気長にお付
き合い頂ければ幸いです。それと最後の方のエピソードは長期化が決定していたのか、あまり盛
り上がるラストではなかったですね。
(原作未読なので推測になるが、「アニメとしての締め」より「原作準拠」を選択した感じかな)
作品の方は2期以降も続くようで、完全に「勝ち組」ルートに乗った感じですね。
(正直少々食傷気味にもなってきましたが・・・)