「ふしぎ遊戯(TVアニメ動画)」

総合得点
70.7
感想・評価
245
棚に入れた
1730
ランキング
1509
★★★★☆ 3.8 (245)
物語
3.9
作画
3.5
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

中華風異世界の壮大なラブロマンス冒険譚。通してみると粗は多いが、90年代の名作の一つ

女子中学生が本の中の古代中国風異世界で、四神や二十八宿を冠するイケメンたちと恋したり冒険をする。
TVアニメが全52話、OVAが全13話。(うち、永光伝全4話は未見なので、永光伝除いた61話のレビュー)
※作品データベース様より転載

【良い点】
メジャーな十二星座や十二支ではない、マイナーな二十八宿を題材に、壮大なラブストーリーが展開。
四神四陣営それぞれに七星士、魅力的キャラ豊富。
ヒロインが本の中に入り、外(我々の世界)の朗読者が読み解いていく、メタフィクション的な物語の構造も魅力。
作中の現実→本の世界→の物語を見ている視聴者…不思議な感覚。お兄ちゃんと友人はある意味主人公だった。
予告や語り口調で物語に没入させてくれる、EDの入り方が上手いなど、1話1話、次の物語が見たくなる抜群の構成力。
中華風ファンタジーの世界観構築が素晴らしく、大筋の展開は単純な割には全52話(更にOVAも)飽きさせないパワーがある。

ストーリー展開がRPG的で、目的意識が常に分かり易い。
異世界転移ファンタジーとしては「行きて帰りし物語」の王道がしっかりしているのも良い。
美朱(みあか)ちゃんは朱雀の巫女である前に、高校受験を控えた普通の女の子である。
作中頻繁に受験への不安持ち出すシーンも、ラストの展開や結末も、「行きて帰りし物語」の王道を崩さない意思表示と取れる。
異世界で冒険と恋をした少女が成長し、帰ってくる物語として完成度が高い。

ヒロインと相手男子が、悲劇的宿命やあの手この手数々の困難や試練で愛を試され揺さぶられる、それでも愛は勝つ物語は圧巻。
相手男子の方がヒロインめいて囚われたり洗脳NTR展開だったり、幻術でやっぱりNTRの危機だったり、ハラハラさせる。
誤解から感情拗れたライバル女子や彼女を野望のため弄ぶ敵男子も絡み、女性向け作品らしいドロドロの修羅場も目が離せない。
イケメンたくさんの逆ハーレムだけど、本格的にラブコメするのは三人くらい、各々真摯な交流掘り下げがあるので納得感ある。
死を厭わぬ苛烈な愛は、中国古典的なロマンス感じる。

敵陣営も切ないドラマがあり、分厚いキャラ層で感情移入させられる。
青龍陣営は悪役ゆえに屈折した切なさ滲ませる良キャラ多く、唯様に恋心抱くが相手にされてない角宿(すぼし)
心宿(なかご)を一途に愛し殉じる房宿(そい)など、陰のロマンスも良かった。

シリアスとコミカルの配分が絶妙。辛いシリアスやドロドロな愛憎劇な長編の割には、非常に見やすい。
シリアスの最中にも隙あらばコメディーするノリが楽しい上に、彼女たちが困難に負けず前向きに想い合う強さでもある。
頻繁なコメディーは掛け合いによるキャラの魅力や関係の良さに結び付き、本作全般の魅力にも繋がっている。
次第に犠牲者が出るシリアスさ、特に初期から美朱(みあか)支え続けた女性口調の柳宿(ぬりこ)の死亡シーンは中盤の山場。

ヒロイン(というより主人公)の美朱ちゃんが可愛い。強く魅力的なヒロインだった。
超能天気で破天荒娘っぷりがハンパ無く、やる事なす事いちいちおもしれー女。
特に初期はアホの娘ぷりが目立つが次第に成長、朱雀の巫女として、鬼宿や星宿に愛されるのも納得の名ヒロインに。
精神的な強さ、覚悟の決まりっぷりがハンパ無く、愛する者の為に躊躇なく命を投げ出す事もしばしば…

異能が豊富で能力バトル要素も少女漫画にしては見応えがある。

キャラデザは90年代少女漫画アニメでも上位の可愛さ&イケメン揃い。
ラッキースケベやHなシーンが多いのもおいしい。厭らしいエロではなく、素直に肌をさらす健康的なH感。

OPやEDなど楽曲もかなり良い。特にEDは入り方が絶妙で続きが見たくなる。
OP映像もカッコイイ、サビで鬼宿(たまほめ)と星宿(ほとほり)の演武が交差するシーンのカッコ良さは毎度シビれる。

声優陣は緑川光氏のイケメンボイスが堪能できる。恋のライバルで子安武人氏との共演もおいしい。

御当地アニメ要素としては、岩手県盛岡市をかなり詳細に描写。
盛岡駅や開運橋など再現度高かった。(昔縁があったので分かる)

【悪い点】
キャラの見せ場に格差がある。話数が多い割には全員の見せ場や掘り下げが用意されていなかった。
ラブロマンスに絡まないキャラは仕方がないが、特に張宿(ちりこ)は大した見せ場がないまま雑に散った。ショタ可愛いのに勿体無い。
一応敵に体乗っ取られて自害して一番厄介な敵倒す活躍はあるんだけど、それまで大した交流掘り下げが無い。
その他死亡組の半数くらいは張宿程ではないが見せ場が物足りず。
それでいてOVAでは霊体?で復活、なら死なせなくてよかったような…

仕方がないかもだけど、青龍陣営の扱いが雑。
目立っていた角宿(すぼし)にしろ最後まで哀れで多少の救済はあっても良かろうにと。
ユイちゃんと心宿とか、もう少しくらい交流あってもよかったような。

ラブストーリーはともかく、四神召喚合戦な本筋ストーリが中盤以降冗長気味。
仲間探しで状況目まぐるしく変化する前半(20数話辺り)が一番面白く、中盤以降も面白いんだけど、やや停滞感が。
本筋が進まずドロドロした修羅場繰り返すため、若干辟易。

続編のOVAはやや蛇足感。
鬼宿が転生した魏(たか)とか、「ぼくの地球を守って」路線の?前世彼氏でロマンチック感はあるけれど
ヒロインに都合良すぎると思った。魏にも固有の人生があるはずで、そこを掘り下げていない。
視聴者目線では新参な魏に鬼宿が負けた印象なのもイマイチ。同一の魂とはいえ別人格だろうし?
50話以上かけて愛を確かめ合ったのに、釈然としない。

ついでに難癖だけど、キャラ名が若干覚えづらかった。鬼宿で「たまほめ」とか主要は覚えてもキャラ数が多いので…

【総合評価】9~8点
中華風異世界ファンタジーでラブコメの金字塔と見てよさそうな名作。
抜群の魅力があり絶賛されるのも納得。
評価は最高に値しそうだけど、惜しい点も多い。自分が少女漫画の楽しみ方理解できてないせいでもある、最高に近い「とても良い」

投稿 : 2023/03/18
閲覧 : 145
サンキュー:

4

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