ハニワピンコ さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
最高の、初体験
(レディープレイヤーワンではない)
公開前のアレコレを作品の力でねじ伏せて大逆転勝利を収めた、名作バスケ漫画を現代に甦らせたリスタート作品であり、ファーストの名に相応しい最初で最後の最高な体験をさせてくれた作品
正直自分は公開前のPVや声優云々はそもそも漫画でしか読んだ事ないのであまり気になってなかったのだが、制作スタッフのインタビューの件で少し期待値は下がった状態で公開1週間後に全く世間の評価も調べず極力聞かず見て初見で感じたのは、試合が動いているを感じてすごい、音楽がすごい、一番好きなキャラの宮城を掘って進めていきながら本編の試合を進めていくという構成に驚いた。の3つかな
全編通してあの名試合を3DCGの動きのある画で見せてきたり、音楽やカットインやコマ割り構図などの拘った演出で堪能出来るという経験は確かに素晴らしいのだけれど、それに宮城の深掘りが合わさって展開される構成な以上、原作にあった要素が削られている故の残念さはあったかな
確かに宮城の過去の話は良かった。でもそれが山王戦というメインの要素である試合を更に面白くしたかと言われれば、原作のエピソードで構成された方が面白いとは思ってしまう
特にやっぱり宮城フォーカスによって特に流川と赤木のエピソードが弱まり、流川の沢北マッチアップは2回のパスからの自力抜きの説明が弱くて流川の凄さがあまり見られなかった。赤木も魚住のやつを削ったからあの役割変化が見れなかったというか河田とのマッチアップが完全に放置されてた
宮城は確かに切り込み隊長のみならず湘北の司令塔として機能した事で、他の花形選手が活躍することが出来たという勝利に最も貢献していながらあまりそれが描かれていなかったという問題から端を発して作られた本作は、山王戦に至るまでの想いや、自分のポジションでどの様な役回りをしてどうしていくという事を描写して宮城リョータを見せてくる作品であり、そしてその後まで、本編では描かれなかった部分が多く描かれる。それが原作の中でも屈指の名試合をこう消化して描くのかと、驚いたし、凄いと思ったし、少し残念だと思ったのも事実
それでもやっぱり好きなのは、前述した要素は所詮は小さい要素に過ぎなくて、全体として最高の試合を最高の映像と最高の音楽と演出で見せてくれたのは事実であるということ
試合前のロッカーから見せて、入場のあの演出も良かったし、試合開始後すぐに5人の活躍と役割を見せることで引き込ませるという映画としても上手い作りで最初から熱くなれたし、あのラストの演出を映画館で体験して記憶に残らない訳がない。その凄さで一気にこの作品の評価を塗り替えた。塗り替えさせられた
ファーストと銘打たれた25年以上経っての再始動、何故今敢えて再始動をしたのか、最初で最後の最高の体験の末に、その真価を是非見届けてほしい