てとてと さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
童話ベースのディストピアメルヘン。不人気だけど、2019年度上位の物語性あり
作品データベース様より転載ちょい修正
【良い点】
切ない世界観設定とそれを生かしたストーリー。基本設定は目新しくは無いが、ドラマの作り方が秀逸。
各童話ごとに「想区」という世界があり、その世界で生きる人々は物語の決められた役割に従い生きていく。
メルヘンと思いきやディストピアな世界観で繰り広げられるドラマが良い。
ループする閉ざされた箱庭世界で、主人公組やゲストキャラたちの葛藤がちゃんと描かれている。
物語の基本路線を崩すことは理に反し許されぬ。
主人公たちが童話のあるべき形に「調律」してしまえば、主人公たちとの交流の記憶が全て無かったことになる切なさ。
しかしそれでも、時に運命に従い、時に抗う、想区で生きている登場人物たちの想いは本物である。
消されるな、この想い(ちょっとゼーガペインっぽく)
哲学的な問題提起も感じさせる、侮れないドラマ性がある。
キャラクターもメインヒロインのレイナがポンコツさと決める時は決めるシリアスさなど良い感じ。
レイナはアラジン回も含めて背負っている辛い過去や使命など、ヒロイン度高かった。
他仲間たちも良きパーティ。
ゲストは白雪姫があざとい可愛さ。白雪姫回はコメディー的にも楽しかった。
主要キャラとゲストキャラ双方のドラマが良質で、交流による掘り下げが上手い。
8話の鬼ヶ島での兄妹、9話のレイナとアラジンの切ない悲恋は非常に良かった。
命を懸けて恋するレイナを救ったアラジンの想いは、世界がリセットされてもレイナの心に残っている。
想区の物語は繰り返す、それでもそこで生きている者達の想いは消えない…
作画は良質ではない面もあるがキャラデザは可愛く、童話的な世界描写もまずまず。
声優陣もレイナ役の上田麗奈氏や白雪姫の悠木碧氏などの好演が光る。
また主題歌も歌詞が美しく、本作のテーマが分かり易くかつ情緒的に伝わる良曲。
2019年度のアニソンでは屈指。
【悪い点】
戦闘シーンが雑。
童話の主役たちの力借りて?変身バトルするのは面白いギミックだが、効果的に生かされていたかは微妙。
エクスが女の子になるのはむしろ良かったが、せっかく得た童話主人公の力を戦闘に生かしてほしかった。
根幹に関わるメインストーリーが十分解決していない。
結局エクスやレイナは何者なのか?とか、敵のやりたかった事が何なのか等が分かりづらい。
個々の話は良いが、全編を貫く大きなストーリーの結末が見たかったところ。
(物語4.5→0.5減)
悪い点とは限らないが、後味が悪い話が多い。
そこが本作の持ち味ともいえるけれど。
【総合評価】8~9点
あまり注目度高く無いが、2019年度でも上位に入るドラマ性があった。もっと評価されていいと思う枠。
特に8話は少し涙ぐんでしまう程良かった。
評価は「とても良い」
自分的に非常に好みな内容だった。