てとてと さんの感想・評価

4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

等身大の中学生たちの珠玉のジュブナイル。90年代少女漫画アニメの傑作

※作品データベース様より転載

【良い点】
少女漫画版中学生日記的な作風、巧みな心理描写で等身大でまだ幼い思春期の少女や少年たちを温かい目で描いている。
主人公(女の子)だけでなく男女問わず友達皆が等身大の個性と抜群の魅力あり、時にケンカしたり時にラブコメしたりで成長する。
出番に差はあるものの、地味なキャラでも一人一人を大切に掘り下げており、群像劇として抜群。
等身大故に悲しかったり憤る事もあれど、概ね明るく優しい作風で非常に見やすい。
甘酸っぱいラブコメ、男女双方の友情劇や成長劇いずれも素晴らしい。
回が進むと、初期と比べて、ゆっくりだが着実に成長してるんだなと分かる。
「ないしょのつぼみ」程ではないが性教育要素もあり、これも青春成長劇に無理なく展開。
3クールで主要キャラの成長劇を余さず描いた上で、番外で更に掘り下げる完璧な構成だった。全47話良回しかない。

キャラデザは素朴だけどむしろそこが可愛い。サッカーシーンがよく動くなど、総合的な作画もかなり綺麗。
また楽曲も素晴らしい。
OP「水色時代」はメロディーも歌詞も完璧な上、歌に合わせて字幕を水色に揺らす演出に引き込まれる。
挿入歌やBGMによるラブコメの盛り上げも素晴らしい。

主人公の優ちゃんの等身大?なキャラ造形が素晴らしい。
二次元ヒロインとして申し分なく可愛い上で、他作品にいそうにない、リアルな女の子感ハンパ無い。(実際リアルかは知らんけど)
明るく優しい良い子だけど優柔不断な八方美人で浅慮、この性格故に善意から自分も友達も傷付ける過ちが多い…
その未熟さは性別問わず共感したくなるし、友達も含めて真剣にぶつかりながら双方優しいタッチで成長に繋げる良回多数。
正直に口に出す故に誤解されがちだが実は情に厚いタカちゃんとのユウジョウが全編通して良かった。
優ちゃんとは正反対なタイプ、誤解や衝突でハラハラさせつつ、最後はふたりとも互いに欠けているモノを学び成長したり。
回が進むほどにタカちゃんの魅力増す。
ラブコメ面でも回は少ないが、遠距離恋愛のラブコメ感は抜群で優ちゃんにヒケを取らず。

優ちゃんの恋のライバル、後輩でサッカー部マネージャーな久我山ちゃんが非常にあざと可愛かった。
性格的にも、キャラデザ的にも、声(若かりし坂本真綾氏)的にもドストライク。
(視聴者目線では)圧倒的に優ちゃんより可愛く、これは強敵だろうな…と。

男子のキャラも非常に良い。メイン男子のヒロシとの甘酸っぱいラブコメ感も素晴らしいが、
お調子者で典型的な「ちょっと男子〜」なはしも、負けヒロイン(男子)だけどヒロシにヒケを取らない可愛げあったみやうー等々。
中学生の等身大青春劇としてはしもの役割は大きかったし、ラブコメ面でのみやうーも。
男の子のキャラも良いためか少女漫画に留まらない共感を呼ぶ。

魅力的キャラ層が厚いが、大人も魅力的なのが良い。
やや考えが古く厳しいけれど、娘を温かく導くお父さんとの交流回は軒並み素晴らしい。
お父さんはダメな面もちゃんと描かれていて、それがむしろ魅力に繋がっているキャラ造形の上手さ。
28話「笑わない代ばば」のような、嫌われていた教師が実は生徒への優しさあり、優ちゃんたちがそれを知り…な良回も。
両親や教師とのドラマか軒並み素晴らしい。大人目線だと、優ちゃんたちの可愛さがひとしおに感じられる。
教育的な要素を嫌味なく青春劇に盛り込めている。

【悪い点】
特に無し。

強いて言えばキャラの見せ場に差がある。
とはいえ少ない見せ場で抜群の魅力出せているキャラが多いので、高評価の裏返し。

みやうーは負け男子でやや気の毒ではあった。
めっちゃ良い子なだけに。

【総合評価】10～9点
不朽の名作。「あずきちゃん」にヒケを取らない。
放映地域の狭さ故か知名度で落ちる感あるのは勿体無い。
評価は文句なしの「最高」