鸐 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
タイトルなし
この映画を見終わった後に湧いた疑問。
雨が告げるのではないのか?
団地が雨を告げているのか?
では雨が指し示すのはいったい何だろう?
作中では団地が漂流する直前と、沈み始めたあとに雨は降ってきた。
雨と聞いて連想するのは監督の卒業制作rain town。
あちらのテーマは「雨」「記憶」だったが・・・
こちらは記憶というより「思い出」といったほうが近いかもしれない。
カメラの存在や、柱に刻まれた名前などもまた、思い出を連想させるものだろう。
団地は漂流してくる思い出の地によって、どんどん削られていくがこれは大人になるにつれて過去の記憶だったり思い出が削られていくことの暗示なのだろうか。
団地=思い出とするなら、団地にこだわる夏芽は団地という場所ではなく思い出にすがっていたのだということになる。
では、たどり着いた場所は一体なんだろうか。
のっぽくんは帰る場所と言っていたが、のっぽくんは団地の思い出とかではなく、普通に幽霊なのか?
幽霊団地と呼ばれていることもあっていてもおかしくはないし、のっぽくんが去ってからも団地は子供たちと一緒だった。ことからのっぽくんと団地はきっと別物なのだろうと思う。
のっぽくんもまた団地の思い出にすがっていたひとりということなのだろうか。
話を戻すと、団地の記憶が雨を告げるのなら、なぜ作中の雨はあのタイミングで降ったのかということになる。航祐と夏芽が喧嘩していたタイミングではあるが、必ずしも団地に関わる話だったろうか?
のっぽくんは二人が笑いあう顔が好きと言っていた。のっぽ君と絡めるならのっぽくんの感情に対応して雨は降っていたのだろうか。
仮定に仮定を重ねてそういうことにするのであれば、雨を降らせているのはのっぽくんということになるが、それだと航祐も夏芽もその場にいるのに団地が告げるのはよくわからない。
ここは雨を告げるを雨を降らせると言い換えて、
「漂流団地はのっぽくんの戸惑いを察知して雨を降らす。」という解釈にするのが、落としどころな気がする。
現実か夢かという話に対し、現実であるという見方がこの作品で強く描かれているが、危険な行い・浅はかな考えを含めて子供のできる範囲で物語が展開されていくのは、やはり子供の想像力の限界なのかもしれない。
作中でものっぽくんが引き込んだ原因と言われているし、きっとのっぽくんが作り出した空間なんだろうな。