てとてと さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.5
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
高いテーマ性を持つ家族ドラマで捨て難いが、惜しい
香港の漫画家による台湾の漫画が原作のヒューマンドラマ。1話辺り15分で全11話。
人間らしさが欠落した改造人間の子供たちが、大人社会で苦悩していく感じ。
※作品データベース様より転載
【良い点】
非人道的ながら分かり易く衝撃的な設定と、鋭いテーマ性。どこか童話的な雰囲気もある。
唯一知能が高い故に周囲の人間社会とのギャップやアイディンティティーを揺さぶられる末弟の主人公タニスの視点で
まるで野生児同然の改造人間きょうだいの悲哀が描かれる。
文明社会に適応できない様がコミカルな一方、野生児な兄姉たちと人間に拘るタニスとのやり取りは中々考えさせられる。
欠落しているが故に純粋に浮き彫りになる人間らしさや家族の尊さ、というメッセージ自体は良い。
家族きょうだいの絆、ホームドラマとして見ても捨て難い。
タニスやきょうだい達の苦悩と尊い絆は確かだった。
中国式の食事マナーなど、異文化の興味深さ。
ストーリーは好意的に見れば勧善懲悪が分かり易い。作品に込められたメッセージも分かり易い。
毎話あらすじ解説あり親切。
各きょうだいの掘り下げも短い尺で中々。
8話の心が読める故に人間不信なスイシに心を読めないネットや手紙で…というのはハートフルで良い。
設定から来る話の展開に緊張感あり、15分気になる内容はある。
終盤中々の盛り上がりもある。最終的に後味は悪くはない。
改造きょうだい達は皆キャラは立っている。
長女の植物少女アシスは可愛かった。
声優陣は杉山里穂氏の初主演作。苦悩する天才児の切々とした感情が伝わる良演技。
いかにもな早見沙織ヒロインも流石。
【悪い点】
作画や演出その他のアニメーションの出来があまり良くない点は許容範囲。
作風が陰鬱というか、気持ち悪い。
知能だけは高い11歳の世間知らずな子供が散々苦悩する展開が続く、テンポも悪く、視聴が辛い。
一握りの善人と、その他大多数の冷たい世間というベタな構図も、分かり易くはあるが雰囲気悪い。
善人代表の大家さんの善意も嘘くさく感じるなど、サブキャラに魅力が無く不快感すら感じる。
異常だけど尊い実験品家族と、正常だけど冷たい人間社会という対比にしても、人間社会の描写に違和感あるのがネック。
ここら辺は日本人の感性からかけ離れていて共感しづらい。
人間社会側の描写がしっかりしていれば印象違ったような。
キャラ間の交流掘り下げがあるようでいて、実は足りていない。
主人公含めて普通のコミュニケーションが中々成立しない、家族愛というテーマも何となくは分かるが、感動には繋がらず。
個々の話は分かりやすいが、全編通して見るとあまり話が繋がっておらず、構成が稚拙。
終盤は良かったがラストが分かりづらい。
【総合評価】3~2点
ユニークな題材で家族愛のテーマは鋭かったが、どうにも違和感や不快感が拭えない惜しい作品。
光る点が多々あり、凡百の駄作と切り捨てるには惜しい面もある。
ただ、アニメ作品としてどうにも楽しく無いので評価は「悪い」
捨て難い見所はあるので好意的に評価してあげたいが、流石に厳しい。