Witch さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
野球漫画的な要素を取り入れた、ある意味挑戦的なサッカーアニメ/2023/7/30原作読みかけ分追記
【レビューNo.38】 (初回登録:2023/3/8)
コミック原作の2022年作品。全24話
超人気作で長期シリーズになるだろうからあまりレビューを書く気になれなかったのだが、今期
の「ブルーロック」を観て「個人的にはこっちのレビューを書きたいかな」って思ったので。
(ストーリー)
愛媛の中学サッカー部のFW・青井葦人(アシト)は、「東京シティ・エスペリオンFC」ユースチーム
監督の福田達也に見いだされ、ユースのセレクションを受けることになる。晴れてセレクションを
突破したアシトだったが、彼を待っていたのは今まで田舎の弱小チームでやっていたサッカーとは
まるで別次元の世界だった・・・
(評 価)
・NHKの後ろ盾があるのはやはり大きい
NHKは長期放送枠として「MAJOR 2nd」を抱えていますが、作者の体調不良で原作が長期休載
という事態に。でアニメの方も続編が不透明な状況でしたので、NHKも思い切って「アオアシ」
に舵を切ったのかなっていうのが個人的な印象ですね。(知らんけどw)
(「MAJOR 2nd」の方は、体調と相談しつつも2022/10から連載を再開した模様)
アオアシ制作陣としても、バックにNHKがついたのは大きいと思います。
・資金面で大きなアドバンテージがある
・(恐らく長期枠が約束されていると思われるので)原作の面白さを忠実に再現することが可能
(あと幅広い層に視聴してもらいやすい点もメリットですかね)
今作を視聴した感想は、作画や演出等アニメとして十分魅力的な出来映えで、本作品の面白さを
ガッツリ2クールで表現してくれたかなっと。この恵まれた環境にきちんと応えている制作陣の
仕事ぶりは評価に値すると思います。
・個人戦術に主眼をおいた、ある意味野球漫画的な作品
サッカーは野球と違い攻守の時間が分かれていないので、どうしても個人技やパスワーク等常に
ボールがどう動いているかというシーンを要求されがちになりますが、この作品は「戦術」を見
せることに他のサッカーアニメと一線を画した面白さがあるのかなっと。
「戦術」といっても「個人戦術」と「チーム戦術」の違いから始まり、本作では特に「個人戦術」
(選手達がフィールド上で自ら思考して最良手を探り、試合状況に合わせて自分のプレーを変えて
いくこと)に重きをおいているようです。
なのでボールを持っていない選手の今の動きにはどういう意図があるとか、解説を挟んでいかない
と視聴者にはその面白さが伝わらないため、ところどころ流れを切らざる得ない部分があり、従来
のサッカーアニメを見慣れた方からすると試合のテンポの悪さを感じてしまう部分はあるかも。
個人的にはある意味「野球漫画の『配球』的なもの」を見せられている感覚でしたね。
なので「動と静」がはっきりしている野球なら問題ないが、常に「動」であるサッカーにこの手法
を取り入れているのはかなり挑戦的だなっと。そこにサッカーアニメの新たなる魅力を感じられる
方には凄くハマる作品だと思います。個人的にはストライクな作品でしたね。
・ヒロインの使い方が抜群に上手い
本作には2人のヒロインが登場します。
・一条花(ハナ):サッカーはそれほど詳しくないが、アシトのプレーに魅了され「ファン1号」に
・海堂杏里(お嬢):将来の夢は監督という位でサッカーへの造詣が深い
(あとおまけに女性記者)
上述の戦術解説を選手やチーム指導者に語らせるだけでなく、お嬢たちも解説の一翼を担いつつ
・お嬢(+女性記者)から見た「『選手』アシトの魅力」
・ハナの普段からしっかり人を見てる「『人間』アシトの魅力」
それぞれのヒロインの視点で語る「『アシト』というキャラの魅せ方」が本当に上手かった!!
単に主人公が落ち込んでいる時に勇気付ける相棒枠や恋愛要員枠とかに収まっていないところに好感
が持てましたね。
(恋愛の方はまだ明確な形ではなくこれからって感じですがw)
原作のサッカーへの造詣の深さもさることながら、一つのシーンを見ても
「アニメとしていかに面白く魅せるか」
という制作陣の熱意が感じられる良作だったと思います。やはり天下のNHKだけあって予算がしっかり
ついてるんだろうなと、俗っぽいことを考えてしまいました(笑)
恐らく原作によほどのことがない限り、2期どころか最後まで面倒見てもらえる可能性も高いと思われる
ので、続編に期待しちゃいますね。
(2023/7/30追記)
原作読みかけ。
これも図書館に原作が置いてあったんだよなあ。図書館にマジ感謝m(_ _*)m
ちょうどアニメ化最後あたりの12巻から置いてあったので、アニメ化部分はほぼすっ飛ばしてますが、
以降の話を半分くらい読んだ感じですかね。
・更に面白くなるか否か
{netabare}個人的な見解ですが、話は更に面白くなります。アニメではアシトらが「Aチーム昇格」したところで
終わりますが、ステージが上がるということはそれだけ求められるサッカーのレベルが上がるという
ことですから、特に(個人)戦術に主眼をおいた本作では、その辺りがより深く掘り下げられますの
で、更にサッカーの奥深さを知ることになります。{/netabare}
・ちょっと驚いたこと
{netabare}「エゴ」の話が出てきます。「エゴ」いえば「ブルーロック」の専売特許かと思っていたので、本作
で「エゴ」の話が出てきたのはちょっと驚きました。
私の知ってるサッカー漫画は「チームワーク」一辺倒だったので、最近はそういう流れなのかなあ
ってちょっと考えさせられましたね。
(「蒼き伝説シュート!」の「ボールを持ったら観客すべてが自分を見ていると思え。」
は幾分そういう概念を含んでるのかもしれないが){/netabare}
・「ジュニア版」について
今回のメインテーマが「ジュニア版」の話ですね。図書館にあったのが「ジュニア版」の方で、これ
には「アオアシ・サッカー教室」として
「『中村憲剛』が教えるアオアシの見方・楽しみ方」
という特別企画がついているのですが、これがメッチャ面白いです!!(8ページもの)
これは漫画のシーンに元日本代表・中村憲剛の解説を加えたものですが、技術・戦術の話の他に
・J2→J1に昇格したときに受けた衝撃
・監督と選手の関わりについて
等、自身の経験に基づいて幅広く語っておられるのでサッカー好きには堪らないって感じですね。
この「ジュニア版」が刊行されたのが2022/3~で「通常版」は27巻まで刊行されていたのですが、
この特別企画欲しさに更に「ジュニア版」を買い直した方も結構おられるとかw
一度地元の図書館に「ジュニア版」が置いてないか調べるだけの価値はあると思いますね。
(2023/9/30)
お気に入りへ追加。
「ブルーロック」のレビュー書いていたら、本作はお気に入りでいいかと思ったので格上げ。