かしろん さんの感想・評価
3.1
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 2.0
音楽 : 2.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
純真。だがアブノーマル
-最終話まで見て-
椿明は極普通の高校2年生。
彼のクラスに転校生がやってきた。
卜部美琴と担任が紹介した彼女は、ボサッとしたショートで、ダラッと垂れた前髪のせいで目が隠れている変わった風貌。休み時間に机に突っ伏して爆睡してるかと思えば、授業中に床で笑い転げるなどかなりの変わり者だ。
ある日の夕方、椿は忘れた弁当箱を取りに教室に戻ると卜部がいつもどおりに机に突っ伏して寝ていた。
起こしてやると、いつもどおり無愛想に立ち去る彼女。
その彼女が突っ伏していた机には、一溜りのよだれが輝いていた。
アフタヌーン連載漫画原作。未読。
物語:色々と絶妙な線を捉えた一作だと思う。
見ている側からするとアブノーマルこの上ない。唾液供与に露出プレイにと実にアブノーマルだ。
だが、登場人物たちのその行動は純真さ故。唾液の供与は彼氏である椿が熱を出さないため&彼氏彼女の繋がりの証として、いきなり裸になったり水着にコートで出歩いたり下着を履かずに登校するのは自分や相手の心情を確かめ繋がりを確認するため、と、非常に純真無垢である。ただ、やってることが突飛なだけで。
その行為がアブノーマルと理解してる視聴者からすれば、
「卜部がドキドキしている時の唾液を貰った椿がそのドキドキを感受してしまうって、いやいや、普段の唾液供与で十分ドキドキでしょうがと。他にも供与の方法はあるだろうに、指先なんて神経の敏感な部分に自分の唾液を付けて舐め取らせるって。しかも、その行為は相手にしてみりゃ柔順の証みたいなわけで征服欲まで満たしちゃってるよ。」
と捉えてしまう。
その登場人物たちと視聴者の感情のギャップを楽しめるようになると面白い。
作画:キャラクターデザインが古臭い感じ。だが、それが良さに繋がっている。全体的に作画の崩れも少ない。
声優:ヒロイン卜部の声は1話見た時点で
「世の中こんだけ巧い声優が多い中、この人を選択した意味が分からない。歌も巧いわけでは無いし」
などと思ったが、2話Bパートくらいからその棒っぷりがアジに感じられてきた。
むしろ、ヘタに巧い声優を使うより、この棒っぷりを巧く生かしてこの世界での独特な存在感を醸し出すことに成功しているのではないか、とか思えてきた。
人の慣れとは恐ろしいもんだ。
音楽:OPEDもヒロイン役吉谷彩子担当。歌も巧くない加減がアジに思えてくる。
キャラ:物語に繋がるが、高校生という設定が巧い。
例えば中学生だった場合、性に目覚めるかどうかの年齢なので同テーマをやられても面白みも何もないが、性に目覚めてるはずの高校生がこれをやってることに意義がある。大学生だと変ゼミになるし。
ただ、その後使われることのなかった
「すごく嬉しいことがあると涎が大量にあふれだす」
って設定はいらなかったと思う。
リタイヤ組も多そうな作品だが、私は面白かった。シナリオ、キャラデザ、設定など絶妙な線を綱渡りしていき、うまい事心の片隅に引っ掛けられ続けた一作だった。