ドウ さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
人間の可能性、AIの可能性、宇宙の呼び声。
~あらすじ~
{netabare}物語の舞台はAIやインターネットが普及した2045年の宇宙空間。
地球への移住のため宇宙ステーションでリハビリを行っていた月生まれの少年「登矢」と幼馴染の「心葉」は、初めての宇宙旅行に地球からやってきた子供達とともに彗星の衝突事故に巻き込まれてしまう。
大人たちとはぐれ、ネットが切断された閉鎖空間で、仲間やAIの力を借りて生きるための行動を採る。やがて史上最高知能AIが語る、恐るべき予言と真意に辿り着く。{/netabare}
といった内容です。
宇宙もののSF作として見て、久しぶりに面白いアニメに出会えました。自分としては2019年に放送された『彼方のアストラ』以来でしょうか。
ストーリーの流れとしては、宇宙ステーションをサバイバルしながら冒険しつつ、徐々にキャラクターの秘密が明らかになっていくのですが。新たな世界を冒険している感覚で楽しかったです。
SF作という事で、ちょっと難しめの内容も含まれているかもしれませんが、そういう所抜きで「冒険もの」としてだけでも楽しめる内容かと思います。
自分が見ている感覚で言うと『彼方のアストラ』や『デジモンアドベンチャー』、『電脳コイル』などに近かった気もします。
このレビューのタイトルは「人間の可能性、AIの可能性、宇宙の呼び声。」としましたが。
観終わった後、「人間の進歩」も「AIの進歩」も大いなる宇宙の運命の流れの中で進んでいるような想像が湧きました。
そして人類はこの先待っている生きる上での困難を乗り越えていく為には、既存の人間からアップデートする必要があるようにも考えました。
まぁ例えば人類が抱えている困難を、人間を超えたニュータイプのような存在が進歩する事で乗り越えようとするシナリオは、様々な作品、特にSF的な作品で描かれてきた事でもありますね。
ただしAIの進歩も含め、科学技術の進歩は人間にとって最後は絶望だったりもして、自分はそういう方向に考えがちですが。
本作は希望を謳っていたと思います。
映像的には絵がよく動いていたし、生き生きしてましたね。
キャラクターも表情が明るく豊かでした。
本作を担当している監督の「磯 光雄」さんが、過去監督を担った『電脳コイル』もそうだったのですが。
キャラクターの少年少女を見ていて、どこか懐かしさや郷愁のようなものを感じました。
歳を重ねると、新鮮な空気って入り難くなってきますが。
この監督の描く作品は、子供の頃に特に感じていた新鮮な空気感を思い起こさせてくれるような特徴を感じます。
ここ最近は『かがみの孤城』、『すずめの戸締まり』、『THE FIRST SLAM DUNK』、そして『BLUE GIANT』など。本作も含め2022年の暮れから23年の3月辺りにかけて、結構良作揃いな映画やOVA作品に恵まれているようです。
本作も最後まで観てみて大満足な一作でした。
最後に備考として公式の用語解説をいくつか残しておきます。
抑えておくと、より内容理解に役立つと判断した基礎的なものですが、ゼロから視聴したい方はネタバレ注意です。
~公式の用語解説~
{netabare}
・ルナティック(ルナティック・セブン事件)→[AI「セブン」が陥ったとされる制御不能状態。人類史上最高知能に達したために発症したとも言われるが、詳細は明らかにされていない。制御不能と同時に、セブンが開発した製品が多数の事故を引き起こした事から、これを危険視したUN2.1がセブンを殺処分した。]
・UN2.1→[国連。AI時代に合わせてバージョンをアップしている。AIの知能上昇は人間によって抑制すべきとの考えを持つ。]
・セブンポエム→[セブンが殺処分される直前まで出力し続けた、意味不明の文章や数式の羅列。内容の解析を試みたり、人類の未来を予言する啓示と崇める集団も現れ、オカルトとして捉えられることも多い。]
・ピアコム→[ピアツーピア(Peer to Peer)という技術を基礎に普及している架空の技術。通信デバイス同士がネットを経由せず直接接続し、Bluetooth、ブロックチェーンなどの技術に近い。]{/netabare}