「封神演義-仙界伝(TVアニメ動画)」

総合得点
63.5
感想・評価
92
棚に入れた
568
ランキング
4336
★★★★☆ 3.4 (92)
物語
3.5
作画
3.2
声優
3.4
音楽
3.4
キャラ
3.6

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ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

藤崎版の先入観に拘らなければ、90年代末の準名作の一つ

「藤崎竜原作の封神演義」とは別作品のアニメ版封神演義。全26話。
※作品データベース様より転載ちょい加筆

【良い点】
藤崎版のキャラデザ諸々をベースに、2クールで納められる範囲に再構成というかほぼ別作品に構成した脚本。
「仙界伝」と銘打ってはいるがどちらかといえば人界側、姫家(周)と殷王家の悲劇、殷周戦争のドラマを重視、そこに絞って丁寧に描いている。
妲己という悪い女仙人に操られ荒廃していく殷、若き仙人太公望が悲劇に見舞われつつも義をもって立ち上がる姫家を支えて…
という基本路線を2クールで上手く纏めており、殷周戦争物として見ると非常に分かり易く完成度が高い。

一方で藤崎版の見せ場である崑崙十二仙や金鰲十天君などの仙界側の宝貝戦争を思い切って全削除、姫昌の息子である雷震子を準主人公格に据えて、徹底的に「妲己(仙人界)に翻弄される人間界のドラマ」に絞った。
悪ではないのにすれ違い戦わねばならぬ運命に翻弄される殷王家の兄弟や、黄飛虎と聞仲の譲れぬ信念、滅びゆく紂王の悲哀に引き込まれる。
殷王家と周の易姓革命の悲劇的ドラマは圧巻、妲己に翻弄され最期を遂げる伯邑考や、息子の肉を食わされ悲嘆に暮れるも太公望と出逢い易姓革命を決意する姫昌など名場面多々。

本作屈指の名場面として、遠く離れた父と胡弓を奏でる二重奏のシーン。
儚く切ない、このシーンは原作(原典や藤崎版)にも無い。

藤崎版では勝ち逃げする妲己三姉妹とちゃんと決着着けたのも好印象。

仙界側のメインを太公望と雷震子ら5人に絞り、各々の性格や関わりなどをテンポよく描写。
ナタクと母の関係など主要キャラの個別ドラマもおろそかにせず尺を割いている。
藤崎版と口調や性格が微妙に変わっているのも、分かり易くて(藤崎版に拘らなければ)良い。

キャラデザは1999年当時のアニメとしてはそこまで悪くはない。
バトルは要所要所で熱さがあり、当時なら出来が良い方。黄飛虎と聞仲の殺陣も気迫感じる。
大規模な宝貝戦だった四聖戦は藤崎版より良かった。

OP主題歌が名曲。

【悪い点】
キャラデザが安定しない。

殷滅亡〜妲己打倒の21話までがピーク、以降太公望が崑崙に戻ってからの仙界側の話が中途半端。
元始天尊が黒幕なのはおそらく安能版に準拠したと思われるが尺が足りない。
終盤の太公望が仙界と人界の行く末を超然と見る感じの締めも余韻はあるが、朝歌滅亡・妲己封神以降は蛇足感が否めない。

【総合評価】9~8点
「藤崎竜の漫画版封神演義のアニメ化」としては論外だが、「藤崎版を借りた人界側の物語」としては非常に良い。
当時(今なお)原作ファンから酷評されているが、漫画版に拘らなければ90年代の良作の一つ。
評価は「非常に良い」。21話で終わっていれば「最高」だった。

僅か2クールで漫画版封神演義をやり切るのは土台不可能な事は、後年の覇穹の致命的大失敗を見れば明らか。
覇穹も「取捨選択」が必要だった。
仙界伝が雷震子を主役に据えての人界側重視だったんだから、覇穹は伯邑考や姫昌たち人間側をカットして宝貝合戦に絞れば良かったんじゃないか。

投稿 : 2023/02/26
閲覧 : 124
サンキュー:

2

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