Witch さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
かなりの良作ですが不備もございます。下記(取説)を参考にご視聴下さい m(_ _)m /20230319原作読了分追記
【レビューNo.35】 (初回登録:2023/2/26)
ラノベ原作の2013年作品。全12話
ネットで見つけたOP曲が衝撃的でやたらかっこよかったのと、タイトルもセンス溢れる
感じで琴線に触れたので視聴してみようかなっと。
(ちなみに「ファンタジア大賞」受賞時の原タイトルは「日曜の人達」だったのですが、
発刊にあたり現タイトルに変更されたようです。原タイトルなら興味を引かなかったと
思うので、やっぱタイトルって重要ですね。)
(イントロダクション)
・神様は月曜に世界を作った。
・神様は火曜に整頓と混沌を極めた。
・神様は水曜に細々とした数値をいじくった。
・神様は木曜に時間が流れるのを許した。
・神様は金曜に世の隅々まで見た。
・神様は土曜に休んだ。
・そして神様は日曜に・・・世界を捨てた
「あの世はもはや満杯だ。この世もすぐに行き詰まる。ああ失敗した」
(ストーリー)
神に見捨てられ、「人間が死なず、新たに生まれることもない世界」
心臓が停止しても人は動き続け、すぐにこの世は「生ける死者」で溢れかえった。
だが世界を見捨てた神様は最後に、死者を埋葬するための存在「墓守」を地上に遣わした。
墓守は死者を土に埋め「埋葬」することで、死者を完全に機能停止させることが出来た。
そして辺境の村に住む墓守の少女・アイは村の人々とともに幸福な日々を送っていた。
しかし、ある訪問者の登場により村の平穏は破られる。
「人食い玩具(ハンプニー・ハンバート)」を名乗る青年は村人を虐殺し、彼の手によって一日
にして村は壊滅状態となった。アイは村を出て行く彼に無理やり同行し、ハンプニーの動機を
見極めようとする。そしてアイはハンプニーを追うなかで、秘められた真実に迫っていく……。
これは荒廃した世界の中で「世界を救うこと」を夢見る少女・アイとその仲間たちの旅物語。
(取り扱い説明書)
・作品として中だるみや迷走っぽい部分が発生します
いわゆる「終末もの」に属する作品であり、上述のように深みがあり魅力的な世界観が描かれ
ていますが、物語は途中でおかしな方向に進みます。1クールアニメの宿命でもあるのですが
・アイ達が村から旅立ちいろいろな世界を見て回るストーリーになる
・原作ラノベ全9巻中5巻までをアニメ化(それに恐らく当時は原作も未完だった?)
ということで、構成上始めは大きな主題に沿って物語が進んでいきますが、途中から話を膨ら
ませていく展開になり、そこで1クールが終わってしまうのでやむを得ない部分があります。
{netabare}(「終末期漂う世界での死生観」→まさかの学園モノや旅仲間が育児放棄で失踪?!などw
それに旅立ってから「墓守」の仕事してないんだよなw){/netabare}
それでも4巻をほぼカット等(Wikiより)制作陣も頑張って、最後はこのアニメにふさわしいラスト
で締め括るよう配慮がなされています。
・主人公アイは世間知らずなお子ちゃまです
アイは12歳の少女で、Key作品にいそうなキャラデザが愛らしいです。
(困ったことがあると「うぐぅ」とか「あうーっ」とかいいそうなw)
彼女は前墓守である母から一応この世界のことは聞いていますが、村の外の世界は何も知らない
世間知らずなお子ちゃまです。なので彼女は時として「稚拙な理想主義」を唱えるちょっと痛々
しい存在に思えてしまうことがあります。でも温かい目で見守って上げてください。
彼女もいろいろな現実を突きつけられ、自分の夢である「世界を救う」とは具体的にどういうこ
となのか日々悩み続けます。そして彼女の真っ直ぐさは時に人を傷つけたりもしますが、誰かの
背中を押す勇気にもなります。
原作未続なので推測ですが、物語の構成からするとむしろ「知らなかった世界を見たり、人々と
の出会いを経て自分の夢を具現化していく彼女の成長物語」が真のテーマのような気もしますね。
(アニメでは尺的に描くのは無理ですが)
・神様の謎のアフターサービス等説明不足な点があります
この世界は「神に捨てられた」といいつつも「強く願えばその願いを叶えてくれる」という神様
の謎のアフターサービスが存在する模様です。
例えば上述の「死ねないから死にたい」→「墓守」を地上に遣わし、死を叶えるとか。
(その願いの叶え方が斜め上っぽいところがあるのだがw
ハンプニー曰く「あいつはどこかズレてるが、本気で人の願いを叶えようとしてる」)
そのガバガバ設定のおかげで、異能力に目覚めたり超常現象が起きたりと少しカオスなところが
あります。特に重要人物の生死については
{netabare}・何故不死身の男は死んだのか?/死んだはずの少年は何故生きているのか?{/netabare}
等上述背景を踏まえ、考察しないとよく分からないところがあります。
(この辺りも(wikiより)登場人物の心理描写等いろいろ端折ってるらしく、その影響っぽい)
・それでも始めと最後が神回なので許してあげましょう
とはいえ、「人が死ななくなり、生者と死者とが共存する歪な世界」で描かれる「死生観」など
哲学的な要素もあり本筋の物語は大変面白いです。それに感動モノとして3話,12話は神回なので
多少の粗があっても、個人的にはそれで許してしまえる作品ですね。
(4-6話も「死生観」にまつわるエピソードで、アイが最初にぶつかる壁なので個人的には好き)
作画はかなり綺麗で最初に触れたようにOP曲が神曲なので、まずはOP曲を聴いて3話まで視聴
していただけたらと思います。3話まででも短編として十分見応えある作品となっています。
(そもそも本作自体が3話短編(恐らく原作1巻分)×4本っぽい構成になっている)
(追 記)
図書館を検索したら原作ありました!(ウチの図書館スゲーなw)
これから借りて原作もチェックしようかなっと。読み終わったらまた更新したいですね。
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(2023/3/19追記)
原作読了 。
8巻あとがきで「アニメ化」の話が記述されていたので、
「ならもう少し待って、全9巻を2クールで完全アニメ化すればよかったのでは?」
ってことも考えられますが、結論から言うとここでアニメ化を終了しておいて正解だったかなっと。
率直にいうとアニメ化以降のエピソードが面白くない。推測ですが原作者が明確なビジョンを持って
いたのは2巻までで、以降は発刊が決まってから考えていったのかなっと。アニメ化された後半部分
(3-5巻)は「アリス」や「ディ」がしっかりキャラ立ちしてたのでまだよかったのですが、以降は
なんとも・・・
(上述したが)4巻のエピソードほぼカットも納得ですかね。(なので9話が浮いた感じにはなったが)
アイも成長についても期待外れだったかな。
特大ネタバレ→{netabare}
・アイは世界を救う夢をあきらめ、挙句に死者になってしまうというトンデモ展開にw{/netabare}
尺の都合上いろいろ省略された部分を回収できたのは収穫ですが、本作がデビュー作ということも
あり、巻が進むほど原作者の力量不足が目立つ、ちょっと残念な結果に終わったという印象ですね。
まあそういう目で本作を振り返ると、アニメ制作陣はかなり頑張ってたかなって感じましたね。
あと電子書籍には「特別付録」として、文庫には入っていない後日譚が追加されてるとのこと。