てとてと さんの感想・評価

3.6
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

シリアスと日常のバランスが良いウェブトーン原作アニメ

ウェブトゥーン(韓国の電子コミック)のダークファンタジーというか異能超人バトル系。
人間より長命で強大な存在ノブレスと、それと敵対する改造人間が超人バトルする。
※作品データベース様より転載

【良い点】
厨二病ぽいダークファンタジー路線のバトルアニメだが、話の構図やキャラクターの関係性などが分かり易い。
闇世界の住人が田代たち一般人の学生と混じっての学園物としての側面も見やすい。
キャラ間の掛け合いがコミカルで楽しく雰囲気が良好。
シリアスとコメディーの配分も良く、コミカルな日常回や掛け合いが、シリアスにおいて日常やキャラ関係の大事さ強調する等、上手い。
改造人間の組織ユニオン、貴族たちの思惑や人物の掘り下げが進行する程に面白味が増していく。
5話と6話はかなり良回、7話のコメディー回も楽しかった。

バトルは良い意味での俺強い系、カタルシスが分かり易い。
敵味方の力関係が明快で番狂わせはほぼ無く、非道な敵に虐げられる→超強い味方がスカッと無双、意外性は乏しいが痛快ではある。

個々のキャラクターの魅力が安定している。
寡黙系のライジェル様が人間文化に疎くてラーメンが伸びるのをジッと待ってる持ちネタ一つで笑わせに来たり。
ライジェルの側近の理事長ことフランケンシュタインが苦労人だったり、やはり寡黙系なヒロインのセーラも次第に面白みが見えるなど。
一般人代表な田代も学園物主人公を張れそうな男気見せたり、改造人間・貴族双方に悪い奴は殆どいない。(悪は改造人間の隊長だけか)
クズと思われた貴族の弟もちゃんと改心、ヤンデレ?な女ロードも本当は優しくてデレる、ロードに諫言する老忠臣に若き忠臣たちなど
各立場のキャラほぼ全員好感持てる。レジスの兄貴分な貴族はカッコよかった。

真の高貴さとは?というテーマが分かり易い。
ノブレスの誇りと人間賛歌のバランスのとれた視点も良い。

【悪い点】
異能超人バトルが単調であまり変わり映えがしない。
貴族の固有武器とかあるが、ただ強い方が圧勝する、単純。
分かり易いのは良さでもあるが、バトル物としてはイマイチ工夫や外連味に欠ける。
この点において「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」などに比して地味なマイナー作品の域を出られない感。

改造人間の組織ユニオンが何やりたかったのか説明不足。
中盤以降、改造人間たちの見せ場が殆ど無い。田代たち一般人も。

終盤の話自体は綺麗に纏まってはいるが、誤解からの内輪の騒動でスケールは小さい。
次世代に託す想いや若き貴族たちの結束など美しくはあるが、どうにも身内だけのドラマに思える面が。
悪がいないのは清々しくはあるが、早い段階から予定調和が見えていて盛り上がりには欠けた。
敵味方のパワーバランスの固定もあり、ハラハラ感が殆ど無かった。

【総合評価】6～7点
自分が知る限りの韓国由来のアニメ(あまり多くは無いが)の中では、これが一番良かったかも。地味な良作。
評価はとても良いにはちょっと物足りない「良い」
もし続編くれば応援したい作品ではある。