Witch さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
【失敗作の典型例-2】初期設定だけで練り込み不足 →ファンタジー世界のヤクザ達
【レビューNo.34】(初回登録:2023/2/22)
コミック原作の2022年作品。全12話。
交流のあるレビュアーさんが本作に触れておられ私も同じことを感じていたので、そういえばこれ
も「失敗作シリーズ」のネタに使えそうかなっと。
(ストーリー)
桜樹組の若頭である霧島透は、「桜樹組の悪魔」と恐れられ何でも暴力で片づけてしまう粗暴な男。
この事態を見かねた組長は、一人娘である八重花の「世話係」に霧島を任命したのだった。
(評 価)
・ハートフルコメディとしては悪くない
初めにフォローしておくと失敗作というにはちょっとかわいそうかなっと。小学生八重花と霧島の
交流をはじめ、キャラ描写はしっかりしていてハートフルコメディとしては悪くないです。
ただこの手の物語としてはありきたりな内容で、それだけに「ヤクザ」というパワーワードに期待
したいところですが・・・
・「ヤクザ」という肩書が欲しかっただけ
ただ作品を観ると「ヤクザ」→粗暴な人間の代名詞という「肩書」が欲しかっただけで、ストーリー
に「ヤクザである必要性」をあまり練り込んでおらず、初期設定だけの出オチ感は否めないですね。
そのため全体像もなんかアットホームな雰囲気で組員も皆優しく、ヤクザ社会の緊張感がまるでない
一種のファンタジー世界を見せられてる気分です。リアルなヤクザを追求しろといいませんが、ここ
まで歪だともうヤクザじゃなくてもいいよねって。
結局のところ本作は八重花や霧島の「個人の資質頼み」って感じで、「ヤクザ設定」はそれに説得力
を持たせる「補完材料」って感じなので、そりゃ設定を活かした独自展開は期待できないよねっと。
そもそも息抜きのような形で描いた「ヤクザの若頭と組長の娘」のイラストが反響を呼び、次はそれ
を4コマ漫画化してみたのがスタートらしいので、ヤクザ世界の練り込み等を求めるのは酷なのかも。
・そもそもアニメで見せる意義があったのか
特に作画やアニメ演出に見どころがあるわけでもなく、ハートフルな日常ストーリーが進んでいく感
じなので、(子役の熱演や霧島の演技の振り幅等)むしろ実写の方が面白く作れたようにも思えますね。
強いていうなら「八重花のロリ萌えキャラ」はアニメの方か映えるのかって位?
上述のようにキャラ描写はよくストーリーも悪くないので、ヤクザに拘らなければハートフルコメディ
として楽しめる作品だと思います。
ただ「組長の一人娘」×「若頭」という大きな看板をブチ上げたなら、「『ヤクザ設定』だからこそ、
この作品は面白い」というエッジを描いて欲しかったなっと。
(今期の某作品もですが、結局ストーリーに活かせないのなら、ファッション感覚で「ヤクザ」やら
「殺し屋」設定するんじゃねーよと・・・)
最近では「暴対法」による極道自体の弱体化をはじめ、半グレ集団や海外マフィアの台頭等ヤクザも
斜陽の一途を辿っているようで、「そんな弱体化したヤクザ世界を風刺した社会派アニメ」ってこと
なら大いに評価したいところですがw
(2023/2/26追記)
「ヤクザ世界の練り込み不足」という点について補足しておくと
・八重花の母が病院で昏睡状態 →抗争に巻き込まれた?! →単なる交通事故
・八重花が誘拐される →単に(昔の)霧島への私怨から
(組長娘に手を出す重大さを考慮していない無計画さにゲンナリ)
・組長娘八重花への影響 →学校の誰も知らない模様(こんなんアリなの?!)
(八重花に友達がいない →単に八重香の引っ込み思案な性格による →同様な子と友達に
「こういう家だから誕生日会に友達が呼べない」くだりあり →もともと友達がいなかった?
それに仲良くなった友達たちは結構家に出入りしだしたんですが・・・
霧島もPTAで若奥様にイケメンで色目を使われる始末(ギャグ展開のつもり?))
って感じで、結局昔の霧島以外悪者したくない(特に組長)というのが如実に表れていて、普段はヤクザ
設定はなかったかのようにハートフルなストーリーを展開しておいて、そのくせネタに困ると急にヤク
ザらしいことを始めたりと、なんかダブルスタンダードが鼻につくって感じで、「それはズルいよね」
ってのが個人的には拭えないんですよね。