「奏光のストレイン(TVアニメ動画)」

総合得点
60.1
感想・評価
100
棚に入れた
516
ランキング
6020
★★★★☆ 3.5 (100)
物語
3.5
作画
3.4
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.5

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ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

女の子主人公のロボットアニメでは屈指の良作

小公女をベースにしたハードSFロボットアニメ。
女の子主人公なロボットアニメでWOWOWアニメの名作の一つ。
※作品データベース様より転載


【良い点】
1話から劇的で、以降も練られた設定や人物描写に無駄が無い洗練された脚本で全13話の完成度が高い。
1話で全滅エンドからの再起は2008秋「喰霊-零-」に先駆けていて、内容も遜色無いというか、凌駕している。
以降も特に6話までのテンポが良く波乱万丈、グイグイ引き込まれる。
7話で一旦クールダウンするも既に十二分にドラマに引き込まれた後、その後もセーラの正体バレや兄ラルフの執念からの真相など飽きさせず。
1話以降要所で死別もありハラハラ感も維持。
ハードSFでイジメられたり死別などシリアスだが、セーラの不屈さや仲間の助けなどで雰囲気が暗くないのも見やすい。

ロボットアニメとしても主役機ストレインのカッコ良さ、3DCGでヌルヌル動く戦闘シーンが申し分ない。
一見単調に見えるが戦術が凝っていたり、亜光速戦闘独特の設定を巧みに活かしたり、単純明快な格闘戦でも見応え抜群。
設定が巧み故に、他作品なら雑に見える戦闘でも説得力があるのが上手い。
戦闘の尺も非戦闘回とバランスが良い。

話を進めつつ、極自然に主人公セーラの置かれた状況や目的意識、主要キャラの関係を丁寧に描写。
例えば2話以降のモブからのイジメも、セーラの不屈の在り方やロッティとの絡み、そしてカギとなる人形エミリーとの出逢いに自然に結び付けている。
7話ラヴィニアが全裸で走り回るギャグ回でさえ、自然な流れ(冷静に見ると強引だが…)で次の重要な新展開に繋げる等。
意地悪く見ると御都合主義ではあるが、話のテンポが良くまず気にならない。

人物描写も4話の敵襲撃時にジェイク教官が女性クルー庇って逃げ遅れる→副指令デュファルジュが絶叫し雪辱を誓う
一連のシーンで、個別エピソードが無くても男性ふたりの人となりや関係性が察せられる。
この他にもこういったさりげないシーンによる人物描写が非常に丁寧、キャラクターに厚みを感じる。
セーラと、ロッティを筆頭に空間機甲科との交流の雰囲気も良い。
敵側もエミリィ除けば主要キャラ3人しかいないが、最低限のやりとりで性格や関係性が分かり易い。

世界観や諸設定も抜群に練られていて、物語に無駄なく活かされている。
ボトムズめいた銀河を二分する大戦争だけど、話のスケールはセーラの乗る艦リベルタッドと兄ラルフの追撃戦に終始していて分かり易い。
大スケールなのに話がこじんまりしている点が、殆ど気にならない。
「トップをねらえ!」めいた亜光速によるウラシマ効果を巧みに活かし、矛盾が少ないのも見事。
設定・世界観が独り歩きすることなく、あくまでセーラの為の物語の舞台装置としてのSF設定に徹している。
11話の真相は強引ではあるが、SFとしてのハッタリは十分、終盤に向けての盛り上がりは見事だった。
細かい視点だと、両陣営の兵器体系に見る思想の違い(主人公側は有人高性能機、敵側は無人機。マーキュリオンというエネルギー源の運用思想など)
をキャラのやり取りや映像の演出でしっかりと見せる、SF作品として良質だと感じさせる。
メタ的には、敵側の主要人物数が絞られて話がすっきりしているのと、兄さん以外の敵が無人機なので戦闘の構図も分かり易い。

ヒロインは不屈の根性女セーラが可愛い。
「クロスアンジュ」の先輩ぽいがアンジュより性格にクセが少なく好感持てる。
ロッティとの確執からのユウジョウ!も良かった。
お人形エミリィともう一人の喋るエミリィも可憐でよし。

キャラデザは古いと言われるがセーラは正統派の金髪美少女で自分好み。スタイルもスレンダー美少女で好き。
特に幼女セーラちゃんの可憐な可愛さは2006年度でも上位だと思う。時折あるおっぱいシーンもエロい。
楽曲もOP・ED共に美しい良曲、特に最終話をEDのシーンで締めるラストは余韻があり感動的。
声優陣は川澄綾子・ゆかな両氏の掛け合いが良い。

【悪い点】
前半のイジメがやや不快。

7話から終盤に入る前まで、ややクールダウン。
とはいえ無駄な回は無いので話自体は良く出来ている。

セーラとロッティ以外の空間機甲科の面々はあまり掘り下げられず。
ヤンレズなラヴィニアがやべー女なのが印象に残るくらい。
また、セーラは不屈で魅力的なヒロインではあるが内向的で、キャラクターとしておもしれー女感ではクロスアンジュより地味な感。
キャラ描写は丁寧だが、ややインパクトには欠ける。

セーラは不屈で目的意識が一貫しているが、中盤以降の展開が受動的で御都合主義な感も。
とはいえ脚本が上手いのであまり気にはならない。

ラルフ兄さんの闇落ちの経緯がちょっと強引かなと。
理屈や心情は分かるんだけど、セーラとの兄妹のドラマとしては掘り下げ不足だった。
セーラのストイックさもあってか、話は凄く盛り上がる!程ではなかった感も。

【総合評価】9~8点
1クールのハードSFロボットアニメの傑作。
練られたSF設定は全てキャラドラマと物語の為にある、お手本のようなアニメだった。
悪い点も強いて難癖付ければ…で許容範囲、非の打ちどころが非常に少ない。
自分の評価は最高か迷うくらい高いけれど、最高にはやや惜しい「とても良い」

WOWOWノンスクランブルには隠れた名作良作が多い、本作も特筆すべきWOWOWアニメの一つである。
2006年度は超激戦区だけど、マイベスト10にギリギリ食い込んでくる位にお気に入り。
女の子が主役なロボットアニメという括りで見ても、トップクラスだと思う。
(トップを狙えやクロスアンジュより、ストレインの方が好み)

投稿 : 2023/02/20
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サンキュー:

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