「Wind ~a breath of heart~(TVアニメ動画)」

総合得点
56.0
感想・評価
56
棚に入れた
437
ランキング
7402
★★★★☆ 3.1 (56)
物語
2.8
作画
3.0
声優
3.1
音楽
3.3
キャラ
3.1

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ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

1話辺り短い割にしっかり見せてくれるファンタジーラブコメ。主題歌がかなり良い

恋愛ゲーム原作のファンタジー要素ありのラブコメ。13分弱で全17話(うちTV未放送4話)。OVA版全3話もあり。
アニメ魂枠で「はにはに」こと「月は東に日は西に」と同時期放送。
※作品データベース様より転載。関連作品纏めてレビュー。

【良い点】
主人公がヒロインたちと日常や交流重ねつつ、少しずつ本命のミステリアスヒロインと関わる伏線張っていく手堅い構成。
1話辺り13分弱しかないが、無駄尺が少なく、必要十分なエピソードを重ねていく。ED無いのも含め、スムーズに続きが見たくなる。
OP映像が示す通り、ヒロイン格を二人に絞っているのは英断。
終盤のシリアスは唐突感はあるが、伏線しっかり張っており、(そういう事だったのか)と。
各々がささやかな異能を持っているファンタジー要素の日常ラブコメへの活かし方は2006年の「はぴねす!」より上手かった。

キャラデザは十分可愛い。背景に3Dモデルカメラワーク多用しており、過渡期の試行錯誤はあるがアニメとして申し分ない。
楽曲は笠原弘子氏が歌うOP「Feel on the wind.」が透明感ある良曲。歌詞もメロディーも素直で耳にすっと入ってくる。
メインヒロイン・みなもちゃんの心情を分かり易く歌い上げた。
このOPをもって一段階評価上げたくなる。

女の子が軒並み可愛く好感持てる。
元気で無邪気な妹のひなたちゃん最萌、あざとい妹キャラだけど過剰に媚びてない感じ。
後輩の望ちゃんもギャルっぽい見た目に反し礼儀正しく先輩慕ってくれる、金髪美少女で素直に可愛かった。
その妹わかばちゃん含めて可愛い眼鏡っ娘がふたりいるのもポイント高い。

幼馴染のメインヒロイン・みなもちゃんがしっかりと存在感示している。メインヒロインがちゃんとしてるラブコメは意外と少ない。
全17話を通して、きちんとみなもちゃんヒロインのストーリーになっていた。
幼馴染負けヒロインフラグの危機を乗り越え、短い尺で丁寧に交流と心情掘り下げており、可愛さが増していく。
望ちゃんに嫉妬するのも自然だし、6話落ちた小鳥を飛ばし踏み出す勇気、からの7話キスという流れが良い。
問い詰めシーンは名場面、ちゃんと心情の積み重ねがあるので違和感は少なかった。不遇に健気に耐えてきた事だし。
あと、メシマズヒロインだけど、主人公が厳しく指摘して改善させたのは珍しい。
他作品なら無理して食べるのが愛、というお約束に縛られなかった主人公は天晴。

異能者の街に縛られている孤高のヒロイン・彩(ひかり)ちゃんの存在感も要所でアピール。
「誰かと共に居ることが幸せだなんて、思わない方がいいですよ。そのせいで傷つくことだってあるんです…この街では…」
「一人じゃないと、辛いこともあるんです」
要所で意味深なセリフを寂しそうに呟き、終盤そういう事だったのかと。
何気にロマンス映画のストーリーも彩ちゃんの伏線になっていたり。
シリアス突入目前の8話、みなもから
「儚い蛍の命だけど、一生懸命生きているから悲しい気持ちにはならない」
と返されて、クライマックスで心が動く要因になっている構成も美しい。

【悪い点】
良い点と裏腹だけど、3D作画は過渡期の未熟さも目立つ。キャラデザも好みだけどやや表情が固かったり。
良し悪しだけど、お色気サービスがほぼ無い。

無駄尺が少ないのは、日常描写の厚みに乏しい面も。効率良く必要な描写しかない。
キャラへの思い入れは無駄と思える描写の積み重ねが大きいので、やはり尺の短さはつらい。

望ちゃんの発作やわかばちゃんの痴漢被害など、未解決の疑問や投げっぱなし要素がちらほらある。
善戦はしていたが13分では話の掘り下げに限度があった。

9話以降のシリアスが急展開で、難解な要素を詰め込み気味だったのは否めず。
街の不穏な秘密などのサスペンス要素も9話以前までは足りておらず、9話以降に活かせていない。
彩ちゃんの孤独さは随所に匂わせてはいたけれど、主人公が彼女を積極的に助けたい!と思わせる程の説得力が不足。
彩ちゃんは事情が事情だけに悪印象は少ないんたけど、可愛かったか?と言われるとキャラデザの固さも含めてイマイチ。
もう少し他キャラ含めての交流積み重ねがほしかった。
あと、秋人おじさんの方が主人公らしいのは問題。主人公が大して貢献できていない。

OVA版は作画が綺麗で話の密度も濃いけれど、TV版よりキャラ間の交流積み重ねが無いのでイマイチ置いてけぼり。
どちらかというとTV版の方が良かった。

【総合評価】6点
1話あたり13分な割には完成度が高く楽しめる内容。
好感持てるギャルゲーアニメだけど粗も多い。
評価は減点要素多いのを差し引いても贔屓目に「良い」

2006年の「はぴねす!」と共通する要素が多い(年代的にこちらが先輩か)。
異能を日常に絡めた恋愛ゲーム、重い事情背負うヒロイン、後半シリアスと構図が似ている。
事情持ちヒロインの魅力イマイチ出せていなかった点も共通。コメディー要員の友人と突っ込み役女子も共通。
はぴねす!と比較して、事情持ちヒロインの掘り下げではウィンド、話の納得度でははぴねす。
メインヒロインの扱いははぴねすより良かった。キャラデザははぴねすの方が綺麗。

投稿 : 2023/02/19
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