「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件(TVアニメ動画)」

総合得点
70.9
感想・評価
318
棚に入れた
1016
ランキング
1450
★★★★☆ 3.4 (318)
物語
3.3
作画
3.3
声優
3.6
音楽
3.4
キャラ
3.5

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ネタバレ

ナルユキ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4
物語 : 1.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.0 状態:途中で断念した

テンプラに塩……じゃなかった、テンプレに何か足さなければ新作とは言えない(23年当時)

冒頭は静かな静まりだ。雨が降りしきる中で傘をさし歩いている主人公・藤宮周(ふじみや あまね)。そんな何気ない日常の中で「公園」の中で傘もささずにブランコに乗っているクラスメイトに出会うところから物語が始まる。
原作はあの『小説家になろう』にて連載されていた作品。あちらでは珍しい【現代ラブストーリー】でのヒット作であり、巷では“ラブコメなろう”とも呼ばれているそうな。

【ココが面白い?:懐かしきギャルゲー展開】
周は雨にあたっていたクラスメイト・椎名真昼(しいな まひる)に自分の傘を渡してしまったために風邪をひく。「雨に濡れたら風邪をひく」というある意味リアリティに欠けた展開かつ、主人公の傍には「男友達」がいて、ヒロインは憧れの存在で────と、キャラデザどころか色々な要素がどこかで見たことがある。
というよりも、ギャルゲーだ(苦笑) 00年代に大量に作られたノベルゲーを見ているかのような展開や作品の雰囲気、キャラクターデザインなど様々な要素の既視感の大元は平成初期のギャルゲーにあると、そう感じさせる。
椎名は偶然にも周と同じマンションで「隣の部屋」に住んでいる。そして2人とも都合よく独り暮らしであり、互いの部屋への往来は登下校よりも遥かに簡単だ。そんな妙な偶然が発覚したところで高熱でフラフラな周を椎名が過剰に心配し、傘のお礼としておかゆを作ってくれたりと看病してくれる。もうテンプレ過ぎてこちらが眩暈を覚えてしまいそうだ(笑)
椎名はその美貌と雰囲気から“天使様”というこれまた有りがちなあだ名で呼ばれており、学校ではその名に相応しい愛想の良さで男子の憧れにもなっている。そんな彼女が周だけに見せるツンとした態度、だが、看病はしてくれるデレ────ツンデレヒロインというベタさもさることながら、ラノベ作品主人公にありがちな「モノローグ」の多さも懐かしささえ感じる。

【でもココがひどい:主人公の態度】
風邪が治っても真昼は続けて周の世話を焼いてくれる。毎日のように夕飯をおすそ分けしてくれたり、壊滅的な汚部屋の掃除もしてくれる。傘を渡したら家政婦がやってきた。そんな感じだ。
そんな中で2人は徐々に距離を縮めていくというベタな展開はこちらの期待通りだなという一種の安心感が得られそうなものの、この作品は主人公である周の人物像にやや大きな問題がある。序盤に限るのかもしれないが、彼はツンな態度でも甲斐甲斐しくお世話をする真昼に対していちいち癪に障る言い回しをすることが多かった。
{netabare}例えばスーパーに行った際にヒロインがそこにいると、彼はこんなことを言う。

『言っておくがたまたまだ。尾行してるわけじゃないからな』

ろくに挨拶もせずに自分が「尾行してた」ことを疑われる可能性を排除するための第一声だ。どこの世界にスーパーでクラスメイトと会ったら「自分を尾行してる」と勘違いする人がいるだろうか。{/netabare}
看病してくれて接点を持ったヒロインなのに『明日からは関係ない』と言い放ったりもする。周の口は視聴者が「そうは言わないだろ」「そうは思わないだろ」というようなセリフにまみれており、いちいち癪に障る。
日頃の学校生活にこれといった「目標」が無いというのも彼がいまいち魅力に欠ける要因であろう。真昼に世話をされなければ壊滅的だった私生活も疎かにしてまで何かに夢中な素振りはない。精々、独り暮らしの条件として学校の成績を上位にキープするための自宅学習しかしておらず、ハッキリ書いてつまらない人間である。

【総評】
使っているサブスクの関係上、4話以降は有料になるのだが、わざわざお金を支払ってまで続きを観ようとは思えなかった作品だ。
正直に書いてストーリーは「単純」以外の何物でも言い表せない。“天使様”とあだ名がついたヒロインに傘を貸したら、お礼にあらゆる私生活をお世話されるようになる男子高校生のお話、これだけだ。他作品への既視感を抜きにしても平凡過ぎる展開。ラブコメなろうというよりは『浦島太郎』に近いかも知れない。
作画はそれなりのクオリティではあるものの、アップ以外はやや手を抜いている部分が多い。キャラクターデザインに関しても「どこかで見たことのある」感が凄まじいどころか、懐かしささえ感じるレベルだ。
その懐かしさの反面、主人公・周のキャラクター性がいまいち安定していない。このテの作品なら主人公には多くのオタク男子が自分に置き換えやすい無個性な(後に彼らの理想として女子を守る芯の強さを見せる展開付)草食系男子を置くのがセオリーであるのだが、本作の周は若干俺様系が入っているのか、ヒロインに対する言葉遣いが初絡みの女子に対するものにまるで聴こえない。小さな頃から周が真昼を引っ張っていた幼馴染みの関係であれば『お前』『すまん』『おい』『はぁ?』と言った言葉を使うのにそこまで違和感は無いのだが。それでいて作ってもらったお粥は『食べます。食べさせてください』、汚部屋への指摘は『ごもっともでございます』と低姿勢なのでますますよくわからない主人公になっている。
杜撰な私生活をお世話してくれる天使様だけでなく、もう少し何か要素を足してあげてもいいのではないかと思う。『その着せ替え人形は恋をする』や『月刊少女野崎くん』なども男性主人公に夢やワーカホリック的な要素が盛り込まれてそのまま見どころになっている。それが無い本作はただ「主人公とヒロインがくっつくか」どうかしか注目点がなく、ラブストーリーなのにそこが気にならない視聴者はお断りだ、と突っぱねるような甘い作風は人を選ぶにしてもかなり博打を打ってしまっているのだ。

投稿 : 2024/06/10
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