鬼戦車 t89 さんの感想・評価
3.1
物語 : 1.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
犯罪者を主人公にすることの難しさから逃げてしまったのは、大幅な減点です。
最終話(12話)まで観ました。
作画は最後まで良く、アクションも迫力もありましたが、脚本が悪すぎます。
ラストもノリとアクションのみで逃げ切りましたが、納得出来ない方も多いと思います。
殺し屋は、どう言い訳しても最悪の職業犯罪者です。営利殺人者を良いやつと評価して良いのでしょうか?
敵役の殺し屋は、女子供でも容赦なく殺す人物でしたが、主人公達も命令があれば同じことをやる連中なのでは?
最初のルパン三世が殺人も躊躇しないハードボイルド路線で人気が出ず、義賊として人を殺さない宮崎ルパンで国民的キャラになったように、人殺しを受け入れるのはハードルが高いです。
ゴルゴ13が、実はマイホームパパだったら、作品世界が崩壊します。
本作品は、殺し屋と子育てという、難しいテーマを設定しながら、ミリがちゃんと育ったから良いだろ的にナァナァにしているのがご都合主義すぎて、良くありませんでした。
話の流れから、子連れ狼の様に組織の刺客から逃げまくり、戦いまくりながら、ダイゴロウ、チャンの生き様を見ろ!的な話にしたほうがまだ説得力がありました。
上手く料理出来ていれば、かなり評価されそうな良作だったので、とても残念です。
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7話まで観てのレビューです。
作画はとても良く、アクションシーンも良く動きます。ヒロインのミリも、とても可愛く描かれています。
ただ、「梨花はわたくしのもの」さんや、「てぶくろ」さんのレビューどおり、主人公達の殺し屋設定が上手く活かせれてない印象は受けます。
7話で、一騎の過去が描かれるのですが、状況的に自宅の近所で殺しをやっているような描写は、流石に無理があります。
感動回なのに、一般人を巻き込んでの騒動で何で逮捕されない?という疑問を強く感じます。
この世界は一見平和ですが、そこら中に死体が転がっていても誰も気にしないディストピアなんでしょうか?
ミリを可愛く活躍させるために平和で豊かな世界を描きたい。飢えた犯罪者予備軍として子供を描くのは避けたいと言うのは分かります。
ただ、平和な世界だと、たとえ正義の味方だとしても、殺し屋が職業として成立するのは無理があります。
この、世界観設定の不備が、今後も悪影響を与えて来そうです。
現代人の考える平和とは、行政機関がきちんと機能していて、飢えや殺人事件が無いことが前提だと思います。
一般市民の生存権を保障せず、戦争や権力奪取のための武装蜂起以外の市民間の犯罪は自力救済で、民事的問題の解決は、武装犯罪組織に依頼してね!という夜警国家的な社会は、今の感覚では平和で豊かな社会とは言えません。
7話では、赦しと癒しが描かれていますが、そうなるか?根本的に登場人物の感覚が現代人と異なってないか?と疑問しかありません。
これからどうなるのか、破綻しないで終われるのか?目が離せません。