Witch さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
1クールアニメをどう構成するか →制作陣の取捨選択の英断を評価
【レビューNo.33】(初回登録:2023/2/18)
コミック原作の2014年作品。全13話。
同原作者の名作の呼び声高い「エルフェンリート」を観る前に、昔観た本作のレビューを片付けて
おこうかなっと。
(ストーリー)
子供の頃に事故で死なせてしまった幼馴染の少女・クロネコのことが忘れられず、今も彼女と交わ
した「宇宙人の存在を証明する」という約束を果たすべく、天文台で夜空を見上げつづける高校生
・村上良太。そんな彼の元にクロネコと瓜二つの転校生・黒羽寧子が現れる。しかし実は彼女は、
ある研究所が作り出した「魔法使い」と呼ばれる超能力者で、他の仲間たちと研究所から逃げ出し
てきたのだった。彼女たちは「鎮死剤」を毎日服用しないと死んでしまう。その上研究所は彼女た
ちを回収すべく次々と刺客を差し向けてきて・・・
これは過酷な運命に抗い、必死で生きようとする彼女たちの物語。
(評 価)
・1ー11話 いろいろ詰め込みもバランス・テンポがいい
ジャンル的にはSFファンタジー(ダーク要素あり)で
{netabare}・寧子=クロネコなのか、良太とのピュアラブストーリー
・他の逃げ出した魔女たちと合流。彼女たちとの友情やハーレム要素(エロネタもあるよw)
・「魔法使い」を製造している研究所やその背後にいる宇宙人らしき存在といったSF要素
・研究所からの追手との異能力バトルモノ
・上述バトルや「鎮死剤」の残量といった命の危機にさらされながらも、懸命に生きる彼女たち
のかけがえのない日常{/netabare}
って感じで、結構いろいろな要素が詰め込まれているのですが、バランス・テンポが素晴らしく
(それに話の根幹は割と単純なので)ストレスを感じることなく、あっという間に観れちゃう感じ
ですね。それにシリアスとコメディのバランスも絶妙で退屈を感じさせないし。
まあエロネタはこんなにいらんやろって感じなんですが(笑)
・「鎮死剤」他練り込まれた仕掛け
この「鎮死剤」というのがこの物語を面白くしている仕掛け。{netabare}(薬の残量という)リミットがある
からこそ、何気ない日常でも楽しい思い出をたくさん作りたいという彼女たちのささやかな願いに
共感できるような作りになっています。
それに他の設定や能力の強み・弱み等を生かしたストーリー展開も巧みで、これで泣ける話を作る
とか原作者の卓越したセンスを感じますね。設定や能力を出落ちで終わらせずフル活用する手腕は
本当に見事。そのギミックを楽しむだけでもこの作品を視聴する価値ありですね。
(この原作者ってこういうの考えるのがめっちゃ好きなんだろうなw)
いろいろな要素な中でもアニメでは
「過酷な運命に翻弄されながらも、精一杯生きる彼女たちのかけがえのない日々」
をテーマの主題に置いているフシがあり、それに沿ってヒロインたちや彼女のために奔走する良太
も魅力あるキャラとして描かれています。{/netabare}
・12-13話 駆け足展開も個人的には評価
この辺りは物語のクライマックスとして、ラスボス(真のラスボスではないが)との決戦で締め括ると
定番の流れですが、原作勢からみるとかなり端折ったダイジェスト展開に不満の声が多いようです。
でも個人的は不満はあまりなかったですね。上述テーマがしっかり描かれていたので、正直最終決戦
の内容より最後の結末(ハッピーエンドか否か)が描かれていればいいかなって感じだったかな。
(黒幕っぽい宇宙人とかも謎のまま終わったが、まあいいかってwこの時点では原作も未完だったし)
雑な点は否めないが全体バランスを考慮した上で、限りある尺の中で作品が破綻しないよう最低限の
仕事はしてくれてると感じるので個人的にはOKかな。
原作既読ならまた違った感想になったのかもしれないですが、もともと1クールでやるには無理があった
のだろうって感じなので、その辺はテーマを絞って最も万人受けする構成を選択した制作陣を評価して
いいのかなと思います。
1クールアニメとして構成をどうするのか(制作陣の取捨選択)は永遠のテーマですね。
全体を通してキャラが魅力的で仕掛けの巧さ等見どころがあり、ダークな要素を扱いつつもバランスや
テンポもよく視聴しやすかったので、1クールアニメとしては合格点じゃないでしょうか。
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(2023/3/11追記)
【レビューNo.39】「エルフェンリート」のレビューアップ。
「エルフェンリート」を視聴してですが、「極黒のブリュンヒルデ」は同作と同じジャンルながらも
「脱・エルフェンリート」をかなり意識してるように思いましたね。
(まあ当たり前といえば当たり前ですが)
「魔法使い」の起源を始め、ストーリーの明快さ、テンポ感、ラブコメ要素の高さ等ある意味対極的
な試みがなされている感じですね。「エルフェンリート」が「不気味な『静』」であるなら、本作は
「限りある生を輝かせる『動』」って感じで、ヒロインたちを前面に押し出してるのも納得かな。