ヘンゼル さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
物語のテーマがはっきりしている、故に面白い。
物語にはテーマ性というのが必要不可欠である。
主人公や周りのキャラの成長劇であったり、スローライフや癒しだったり、石鹸枠と呼ばれる学園異能力バトルをメインに据えたり、悲劇的で哀しい物語だったりetc……。
本作品のテーマ性ははっきりしている。
「主人公をどれだけかっこよく見せることができるか」
それ以外無い。
そのため、作者はキャラをぞんざいに扱っているのではと思って、この作品を毛嫌いしてしまう人たちもいるだろう。
それは当然である。
主人公以外は全員、脇役かスタッフなのだから。
どのキャラも主人公を映えさせるための舞台装置や小道具に過ぎず、皆がせこせこと主人公の為に舞台を整える。そのためにしか存在しない。
しかし本作品の面白さは、「主人公がその事に一切気づかない」というのがみそである。無論それは、私の嫌いなタイプのなろう系主人公、もしくは鈍感系主人公の姿そのものであり、はっきり言ってしまえば本作品の主人公に人間的な魅力は一切ない。
ただし、一度は妄想で考えた事はないだろうか。
どこからともなく颯爽と現れ、敵を倒していく。陰に潜み、人知れず悪を成敗していく。そんな厨二くさい事を。
主人公はまさしく、それを体現したキャラであり、それ以外の興味が無いため人間らしくないと誰もが口を揃えると思う。実際、私も視聴をしてみてそう感じた。ただし、それ以外にないキャラというのは、時にナイフのように鋭く、槍のようにしなやかで、斧のように一撃の破壊力が凄まじい。
この唯一無二性を持ったキャラが暴れまわるのは爽快そのものだ。
というように、本作品の良い所を述べていった訳であるが、「好き嫌いがはっきりと分かれる作品だな」とは思う。ただ本作品では、目新しく他作品にはない新鮮な体験ができるので、気になった方は是非一度視聴してみるのがいいだろう。