てとてと さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ペルソナぽい青春劇のマイナーアニメ。ゴチャついている面はあれど良作
トレーディングカードゲーム原作で、音楽芸能業界と、裏で異能バトルする世界観での青春群像劇&ラブコメ。
カードゲームせず世界観流用するタイプのアニメ(牙 -KIBA-とか、ゼクスみたいな)。
OVAと、実写映画は未視聴。カードゲームも知らない。
※作品データベース様より転載
【良い点】
マッドハウスの作画、梶浦由記氏担当の楽曲の良さ。
背景作画が綺麗というか、00年代初頭当時の街の雰囲気や、OPの芸術的な雰囲気などに魅力感じる。
主人公の持ち歌が物語上で効果的に使われている。
主人公がスランプな時の歌声が、素人の自分でも下手に聴こえるなど分かり易い。
音楽業界と修羅場ラブコメ群像劇を絡めて異能の暗闘を描く、一見複雑ではあるが丁寧に描かれていて引き込まれる作り。
音楽少年な主人公・上倉多響太の青春劇の雰囲気が良い。
響太が音楽業界に足を踏み入れていく過程で、裏では異能の者達が勢力争いを繰り広げる不穏な気配が進行していく。この不穏さが良い。
勢力関係は複雑ながら、各キャラの思惑や心情は割と丁寧に掘り下げられていて決して分かり難くはない。
要するに響太好きなのは私よ!ルミコちゃんは親友の依子ちゃんを助けなきゃ!が基本、利害関係が分かり易い。
ストーリーの大筋も、4話以降はメインヒロインの依子がサラスバディなる存在に覚醒?乗っ取られ?たのを、
響太がひたむきに依子を追い続ける、他ヒロインズは修羅場る、そこに虻戸の陰謀やルミコの想いなど、丁寧に進行。
響太視点で少しずつ判明していく「マインドブレイカー」なる力など、飽きさせない。
キャラクターも主人公の響太は状況に翻弄されつつも終始一貫して依子への愛を貫く好青年、ヒロインたちも軒並み可愛い。
響太を積極的に獲りに来るカナエ、アスミ、キリコがいずれもアグレッシブで各々が群像劇の主役だった感じ。
幼い身で苦しい立場に立たされ、依子お姉ちゃんを救おうと苦悩するルミコちゃんも巫女可愛かった。
異能者たちの暗闘やら響太の苦悩で、音楽デビュー度々躓きながらも一貫して響太に親身に接してくれるバンド仲間ふたりも凄く良い奴らだった。
また地味ながら響太の両親や、4話で親身に進路指導してくれる先生など、モブの大人が魅力あるのも良い。
歪んだ虻戸以外は皆真っ直ぐに青春群像劇していて意外とシンプルな愛の物語に纏まっている。
主に芸能関係の才能と、それを操る異能の力に翻弄されつつも、素直に愛を貫く物語だった。
悪役の虻戸の歪な在り方も分かり易いアンチテーゼ、対する響太や少女たちの一途な愛が打ち破る、分かり易いし、痛快。
修羅場してたアスミとキリコが終盤和解して共闘するので爽やか。唐突ではない、互いに本気でぶつかって納得した結果。
最終話はベタながら主人公ヒロインの王道展開であるし、3年後のエピローグの顛末も希望を感じさせて後味良い。
【悪い点】
勢力関係が複雑で分かりづらい。阿頼耶識だのダークロアだのゴチャゴチャしている。更に阿頼耶識内でも派閥抗争してたり。
ヒロインたちは表の顔と、裏でバトルする顔の二面性あり、視聴者目線では実質キャラ数が2倍いる感じ。
カナエは早期から分かり易いが、他は(ああ、この子とこの子が同一キャラだったか)と把握するのに手間取る。
※自分はバンダイチャンネルの見放題で視聴して、下のあらすじ解説読んでかなり助かった。
文章で分かり易く補足を受けての視聴で楽しみ易くなったけれど、それが無い状態で、当時の週一視聴だと、把握が難しいと思った。
しっかり視聴すれば面白いんだけど、かなり集中して視聴しないと楽しみにくいのが評価を下げる要因なのでは。
なお、各陣営の思惑やらの世界観設定に関しては、本作の主眼は青春劇なので、別にどうでもいい。
主要キャラのキャラ描画は丁寧ではあるけれど、1クールで詰め込んでいて余裕は無い。
ストーリーも中盤以降は単純で、面白味は各キャラの動きを追っていく中で出てくるので、キャラ追いきれない場合は苦しい可能性。
メインヒロインの依子ちゃんが序盤以降殆ど別人格のサラスバディーになっちゃうので影が薄い。
終盤に依子がサラスバディーと対話する展開も、殆ど寝てたので唐突に感じる。
できれば2クールで見たかった。
異能バトルは微妙。
【総合評価】7~8点
一見ゴチャついているけれど、よく見ると良質な青春恋愛群像劇。
アニメーションの作りもキャラクターも水準以上で、丁寧に追っていけば思いのほか面白い作品だった。
不評だけど意外な拾い物。
評価は良いか迷うが「とても良い」
2023年から振り返って、こういうタイプの作品は貴重だと思った。
2002年のテレビ東京系の深夜アニメで、放送局が三大都市圏しか無いためか、マイナー作品。
この当時のテレ東系深夜アニメは、地方民アニオタが見逃しがちなタイトル多数ある。
勿体ない。