Witch さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
惜しい作品なのであえて辛口 →各要素はいいが全体像が・・・
【レビューNo.29】(初回登録:2023/2/8)
オリジナルアニメで2016年作品。全13話。
視聴理由は、ここのレビューで
「これは「天体のメソッド」「Dimension W」を手がけたStudio 3Hzによる新作オリジナルアニメ」
という一文に「B級の掘り出しモノ」っぽさを感じ、興味をそそられたからですね。
(ストーリー)
「ピュアイリュージョン」・・・それは現世(うつしよ)と別の時間が流れる異なる空間。
そこにはどんな願いも叶えてくれるという「ミミの欠片」が存在する。それを集めるため「パピカ」
は謎の組織「フリップフラップ」に所属し活動しているが、彼女一人の力ではピュアイリュージョン
にはたどり着けない。そして彼女は出会う。その力をもつ女子中学生「ココナ」に。
しかし他にも「ミミの欠片」を狙う別組織も存在して・・・
パピカ×ココナが現世とピュアイリュージョンを「flip-flap」するSF冒険活劇物語。
(評 価)
率直にいうと評価の難しい作品ですね。ストーリーも一言でいうと上述通りなんですが、正直作品
を的確に表しているといい難く、他のレビューでも「最後まで観てください」とあったのですが、
私の中でも評価が二転三転し、最後まで観ないと評価できない作品というのには納得ですね。
・各要素はよくできている
{netabare}「ピュアイリュージョン」という「なんでも設定ありな空間」を確保しておいて
・1-3話の「不思議な国のアリス」等のオマージュからのクリエイター魂溢れる尖った世界観等。
・4-6話の「まどマギ」っぽいテイストやら、先輩の記憶の世界で展開される秀逸なストーリー。
・魔法少女っぽいスタイルの変身からのバトルシーンは単なるパクリではなく、自作品のものと
してちゃんと昇華できていた。
・「ミミの欠片」を巡るストーリーもしっかりしており、9話以降のストーリー重視の展開もかな
り面白い。
なので、個人的にはそこそこ評価できる作品かなとは思います。{/netabare}
・クリエイター志向もネタ切れ?!
{netabare}ただ全体で見ると、初めからしっかりと設計してこういう作品を作ったというより、
「クリエイター志向の尖った作品にするぞ!」
→「ネタ切れで普通のストーリーアニメにせざる得なくなった」
って、臭いがプンプンするんですよね。
それが如実に出た例が1-3話→8話のぶっ飛び世界観なんですが、同じぶっ飛びでも前者はクリエイタ
ーとしてしっかり意図を感じるんですが、8話は「スク水×未来都市×合体ロボ」という「なんかカ
オスな組み合わせしとけばいいやろ」みたいなやっつけ感が凄いんですよ。8話自体は単体で見ると
これはこれでいいんですね。でもこのテイストで作品が終始展開されていれば「こういう作品」で
アリなんですけど、1-3話の流れからすると一気に「アイデア枯渇」って感じに見えてしまいますね。
で、9話以降はクリエイティブな尖ったものはなく、普通のストーリーアニメに終始となんだがなあ
・・・って感じですね。
さらに10話でココナが人間不信に陥るのですが、1話かけてそういうエピソードを一気に3つ重ねて
くるんでなんか極端なんですよ。全体像との整合性があればこの演出でもOKなんですけど、全体の
バランスからするとこれも浮いて見えるんですね。こういうのが中途半端に入ってくるから、余計
思い付き感が際立ってしまい作品全体に歪さを感じてしまうのかな。
ただこの辺り「7,8話で脚本家がコロコロ変わった」という話が出てきたので、むしろ「ネタ切れ」
というよりその影響で「方向転換」という色合いが強いのかも。{/netabare}
・「綾奈ゆにこ」とかいう謎の脚本家w
{netabare}あと気になったのは6話までに3回入浴シーン(6話は幼女化して入浴)があるのもそんなにいるんかと。
それにパピカ×ココナの百合描写が妙に多いもの(これも前半に集中)作品の方向性としてそこまで
いるんかって感じですね。これもwikiによると、6話までの脚本・綾奈ゆにこは
「好きなジャンルとして百合作品を挙げており・・・」
ってことで、「お前の趣味駄々洩れかよ!!」って突っ込みたくなりますね(笑)。
(この方は普段の言動でもぶっ飛んで何をいっているのか分からないところがあるみたいで、若い
彼女の感性と他のスタッフが噛み合わず今回の途中交代劇に繋がったのではって推察している方
もおられるようですね。まあ真相は分からんけどw)
これもネットネタですが「この人の脚本は理屈よりも感情を優先してるように感じる」言われてみ
ればなるほどって感じはありますね。1-6話も好き嫌いははっきり分かれそうですが、この方の実力
の一端は垣間見れるのではないかと。(刺さる人にはしっかり刺さるタイプかな){/netabare}
ある意味ここのレビュー状況が的を得ており、「クリエイター志向」「百合展開」他には「哲学的
考察」「ココナの成長物語」等フックはいろいろあるので、レビューしている人の評価は(琴線に触れ)
軒並み高い。でも全体的な人気は?というと作品の完成度としてやはり大衆受けする作品ではない。
(私も途中切りするか迷ったので、そういう層が多くても不思議ではない)
上述でも触れたように各要素はよくできていると思うので、チームとしてしっかりスクラムを組み全体
像をきちんと練り上げていれば、かなりの名作に成り得た作品だったかも。