カミタマン さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
犬も歩けば棒に当たる 久美子は歩けば秘密に出会う
2023/02/07 初投稿
同日 加筆
「リコリスリコイル」の千束の声にハートを鷲づかみされて千束役の安済知佳さんが,主要キャラを演じていると言うことなので視聴。そもそも,名作として名高い本作なのでいずれ見なければと思っていたのですが・・・
実は,よく見かけるタイトル画像のミニスカから覗く足が変になまめかしすぎるように感じちょっと避けていましたが,ちょうどいいきっかけになりました。
実際見始めるとさすが,名作と言われるだけ有って,1話アバンから見所が凝縮されていました。
中学校の吹奏楽コンクールでの久美子と麗奈の対比のインパクト
そして,この作品噂通りだだものではないと最初に感じたのは新入生勧誘の階段での演奏シーンでした。
まず選曲「暴れん坊将軍のテーマ」。すごいセンスを感じます。実際高校の新入生勧誘で演奏されそうなリアリティー!いかにもな選曲。作品的にも,作品世界にグッと引き込む力のある楽曲だと思います。1話アバンに突っ込んでくるとか神選曲過ぎますwそして作品全体,その後の選曲もかなり絶妙な選曲でしたw
そして聞いた瞬間吹奏楽に詳しくなくてもあれ?へたwと思わせる絶妙な演奏!ぴぃ~とあえて吹き間違いを入れるのはやり過ぎに感じましたが,確実に下手な演奏と感じさせるためにはやむを得なかったのかも知れません。そして,演奏している部員たちは誰一人として指揮者を見ていない!部に問題があって下手なことを示しています。
シナリオでは無く,吹奏楽の演奏そのものと作画で部の状況を示すのは,ホントにすごいと思いました。
そしてそこに久美子のセリフ「ダメだこりゃ」
ドリフの大爆笑のいかりや長介かいw
で鳥が2羽羽ばたきアバン終了w
短いアバンにこれだけ盛り込んでくるとは驚愕です!
本編に入ると,高校に入学した頃こうだったよなぁ~って場面の連続。色々キュンキュンしますw(担任の鬼軍曹みたいなおばさん先生はキャラ濃すぎwあまりに濃いので恐らくモデルがいるのではないでしょうかw)
自分は吹奏楽部ではありませんでしたが,
・部活ってこうだったよなぁ~
・ウチ学校の吹奏楽部も,こんな雰囲気だったなぁ~
・部活の時間に体育館の階段をスティックでいつも叩いていた同級生や校舎裏の堤防で金管を吹いていた同級生の顔を思わず思い出したり
高校時代を思い出して色々やばいです。
自分的には高校を卒業して何年か経過したあとに見て欲しいアニメNo.1(暫定順位)です。
この作品部活物として大変優秀なのですが,吹奏楽を野球やサッカー,バスケ,バレーボールなどスポーツに置き換えてみるとかなりテンプレートに準拠した作品のように感じます。今ひとつぱっとしない部活に,潜在スペックやモチベーションの高い新入生の主人公が入部。同時に新しい顧問が赴任して部の雰囲気が一変・・・ね?なんかいかにも有りそうですよね。
やはりこの作品の唯一無二で本当にすごいところは演奏を中心にした演出だと思います。
アバンでもそうでしたが,ストーリーに合わせた吹奏楽の演奏が秀逸でした。
出だしの多くの問題を抱えている部の状態を表す演奏。
初めての合奏ではそろっていないチューニングからの微妙な演奏。とりあえず曲にはなっているのですが残念な感じです。その後滝先生がダメな点を指摘して言語化するのですが,そこはあくまで確認です。吹奏楽に詳しくない自分でも聞いてハッキリと欠点を感じることができる演奏でした。
その後の演奏でも府大会までちゃんと段階を踏んで北宇治吹奏楽部の成長を感じさせる演奏が当てられています。
また,オーディションでもそれなりに上手い中瀬古先輩のソロと更に上手い麗奈の演奏としっかり感じられるような演奏になっています。麗奈の演奏を聴いた部員の表情が自分の感情とピタリと一致します。
このように,作画もこれらの演奏と見事にシンクロして描かれています。音のタイミングとキャラの動き。ブレスや指の動き。演奏の高揚感とシンクロする部員の表情。
恐らく先に演奏を録音して作画を合わせるというものすごく丁寧な作りをされているのだと思います。ホント驚愕しか有りません。
ところでこの演奏いったい誰がやってるのか気になります。
エンディングテロップによると
音楽制作協力:洗足学園音楽大学
演奏協力:フレッシュマン・ウィンド・アンサンブル
なるほど,音楽大学が協力していたわけですね。フレッシュマン・ウィンド・アンサンブルは洗足学園音楽大学の1年生によるブラスバンドらしいです。音楽大学の1年生!なるほど,適任ですね!たぶん同時進行でフレッシュマン・ウィンド・アンサンブルでも様々な物語が紡がれていたのでは無いかと妄想しちゃいますw
とにかく本作は吹奏楽の演奏を演出の中心に据え演奏に合わせた丁寧な作画でいわゆるエモいストーリーを描く非常に質の高い作品でした。
そして,意外に小ネタもちりばめられていたりします。自分としてはチュパカブラからユーフォーに行く流れはツボでした。「ムー」や「世紀末オカルト学園」的なネタw
ストーリー展開には欠点を感じました。
久美子が偶然重要なことを立ち聞きしてしまう,重要な場面に出くわす,意図的に盗み聞きするなど。不自然に久美子が直接関わることで物語が語られていました。無理に久美子が直接関わらなくてもいくらでも話の進め方は有るような気がするのですが・・・
後は些細な事ですが
「そして次の曲が始まるのです。」には毎回違和感を感じました。
まあ古の昔から「君は生き残ることができるか?」とか「サービス!サービス!!」とか定型文で予告編を締めくくるのはよく有る手法なのですが,予告編では無く本編の締めに持って来ると違和感を感じるのは自分だけでしょうか?
もうひとつ
一般的にサファイヤは青で,緑はエメラルドの印象なのでこれにも違和感を感じました。
(面倒くさいヤツですいません・・・^^;)
そういえば,目的の安済知佳さんの声はというと,本作の高坂麗奈はどちらかというと「リコリコ」のたきな寄りのキャラで期待していた千束のようなしゃべりは聞けなくて残念でした・・・
自分もそんな大層な視聴環境では無いのですが
本作についてはある程度音響が良い環境で視聴した方が絶対いいと思いました。(最低限低音がしっかり響くとかなり印象が違うと思います。)
そうそうもう一つ見ていてずっと思っていたことがありました。
サマータイムレンダを見た後なのでそう思うのかも知れませんが,この作品方言(って言うと怒られる?京言葉?)を使ってやって欲しかったなーってすごく思いました。