てとてと さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 2.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
狭いセカイ系バトルで主眼は成長群像劇?通してみれば悪い作品じゃないけれど、24話アニメとしては厳しい
「プラネット・ウィズ」と同じ原作者で、終了12年越しの待望の?アニメ化。
地球壊そうとする破天荒なヒロインに、人間不信な主人公が感銘受けて忠誠誓いつつ、世界の敵?的なモノ相手に、仲間たちも集まってバトルする。
(できるだけ好意的レビュー)
【良い点】
ヒロインが地球壊したがり、かつその可能性を持つという破天荒な設定や世界観は魅力的。
そんなヒロインに心惹かれていく主人公との歪だが純粋な関係も魅力。
凡百のラブコメには無い、独特な尊さを感じた。
話の構造は多分、エヴァとかぼくらのとかのセカイ系バトル物で、何か謎だけど地球が危ない、謎の泥人形襲ってくるから戦う(迎撃戦闘の流れがエヴァかぼくらのぽい)で分かり易い。
地球の命運掛ける割には地味で小規模な戦闘なのも、より卑近なご当地ヒーローなノリで悪くは無かった。
異能バトル系としては、地味な異能の使い方がユニークで、その点は面白かった。
地球の命運云々はあまり重要ではなく、作品の見所は多分、そういう舞台環境を通しての若者たちの群像劇や成長ドラマ。
十二人の指輪の騎士それぞれに喋る小動物のパートナーがおり、キャラ数が多い割には各々の個性や関係性が丁寧に描かれていて、群像劇としては良質。
プラネットウィズ同様、子供から青年から老人までの世代を超えた想いや関係性を丁寧に描いている。
全24話と余裕のある尺(な割に大きな流れの単調さ)を、各キャラのドラマに振っており、キャラドラマに着目すれば良い作品。
地味で泥臭い戦闘の中で、キャラが結構退場していく。
強キャラも儚く死ぬ展開で緊張感や悲壮感、それに負けない前向きさや成長ドラマも良かった。
シリアスとコミカルの配分も良い、適度な悲壮感維持しつつ、キャラが揃ってくる程に気の置けない仲間たちの掛け合いの雰囲気が良くなっていく。
ここら辺の雰囲気やキャラの描き方は一種独特の魅力があり、話の単調さやバトルの拙さを差し引いても24話見て良かったと思わせる。
終盤~ラストのSF要素は難解だけど、多くの仲間との出会いと別れを通して成長し、未来への希望を見出す良き物語だと思った。
「スクライド」ぽい青春殴り合いや、「半分の月がのぼる空」を少し彷彿とさせつつより希望がある良いラスト。
【悪い点】
作画が酷い。
女の子のキャラデザは悪くないけれど硬質気味。
バトルシーンが著しく拙く、地味で盛り上がらない上にシュールな可笑しさ感じる。
異能バトルの発想は悪くなかっただけに、演出が良ければ大分印象違った可能性。
ストーリーも、泥人形は確かに常人には脅威だろうけど、地球の危機とは程遠い規模の敵と地味なバトルが延々続き飽きがち。
使途とかぼくらのの敵に比べると無個性なのも地味で飽きる。
とにかく全体の流れが単調で、2クール視聴は相当に根気を要してしまう。
群像劇として見ても、かなり善戦はしていたがやはりキャラが多過ぎる。
テンポは良い反面、各キャラに感情移入するかは微妙だった。
キャラクター的にはヒロインと主人公の性格が、良くも悪くも浮世離れしていて共感しづらい。
特に主人公は成長の過程や結果が理屈っぽい印象。
通してみれば魅力は感じるが、途中経過が共感できず。
【総合評価】3点
「もし可能ならば、この漫画(や小説)は面白いからアニメ化してほしい!」的な話題では常連候補の一角で、ある意味鳴り物入りのアニメ化だったが、遺憾ながら成功せず。
捨て難い魅力のある作品ながら、アニメ的には厳しい。
作画は確かに拙いけれど、原作からしてアニメ化に不向きだった気がする。
評価は悪いは付けたくない、良いは無理で「普通」