えりりん908 さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
SFマカロニウェスタン?
20年以上前にアニメ化された作品のリメイクらしいですね。
過去作の再登場、最近よく見かけます。
この作品も、当時からのファンがいる、いわゆる名作なのかな?と。
で、たぶん、コメディ寄りのSFアクションだろうと思って{netabare}観始めましたが、
ギャグっぽい軽い風味なのは最初の方だけで、
話が進むにつれて、登場人物の背負うもの、
新たに登場するキャラクターのクセの強さやアクドサに、
どんどん世界観が重くなって来るように感じられて。
そもそも、主人公のバッシュが幼かった頃、双子の兄弟「ナイヴス」と、
崩壊する宇宙船か何かから脱出する冒頭のシーン、
脱出後のナイヴスの寒気すら覚える悪辣な言葉・・・
その意味を考えたら、軽いお話には、なれるはずもないんです。
バッシュは徹底的な非暴力主義、不戦主義の人なんですけど、
ナイヴスのせいで莫大な賞金を懸けられたお尋ね者ですし。
ガンアクションが見せ場のひとつになっている、
そういうSF作品で、
双子の兄弟を追っていく宿命をかかえた心優しい主人公。
「人間台風」などと物騒な二つ名をつけられて、
そこかしこで行き交う人々に賞金首として狙われて。
きっと徹底的に不戦を貫いているのって、
双子の兄弟を、最後の最後で粛清するための伏線なのかなと、
勝手にそんな情景のカタルシスを思い描いたりして。
悪役の、巨大な十字架(実は機関砲)を担いで現れるニコラスが、
マカロニウェスタンの「やっぱり実は悪者だった!」って感じに、
危険な匂いぷんぷんさせていて、カッコいい!
この自称葬儀屋ニコラスが出て来たおかげで、
ストーリーがダークでバイオレンスな方向に舵を切りそうで、
オープニングのスタイリッシュな雰囲気にどんどん寄って来ていて、
期待感は、最初よりずっと上がって来ています。
これからの展開、注目して{/netabare}観続けます。
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後半の展開{netabare}が、もの凄いことになっちゃいました・・・
バッシュとナイブスの決戦になる、というのは、
想像通りだったんだけど、二人ともヒトではなく、インデペンデンツという
人口生命体で、
それはこのNO MANS LANDと言う砂漠の惑星で、
エネルギーとして費消されるプラントと言う名の亜生命体に魂宿した、
世界にふたりだけの存在。
ナイブスは同胞であるプランツの楽園をつくろうとしていて、
それはヒトを滅ぼすことになり、
バッシュは自らのアイデンティティを「ヒト」または「ヒトの同胞」と認識している感はあるから、
それで人間を殺せない。
そういう設定の中で、二人の決戦は都市をまるごとひとつ飲み込んで展開されます。
これがちょっと壮絶すぎる!
SFバトルの真骨頂、と言う感じで、
生命とか、自己認識とか、収縮された高エネルギー体とか、
一挙に解決させようとして、観ているこちらが啞然としちゃいました。
悪くはない。
というより、かなり「いい」
でもそこにやはり、セカイ系の滓のようなもの、
感じない訳にはいかなかったから・・・
作画の凄さももちろんいいのだけど、
ちょっと最後の方、
正直言って、みていてつらかった。
2年後の後日談、メリルが相変わらずお嬢ちゃんっぽかったのは、
いただけませんでした。
2年のあいだに、もっとスレていて欲しかった。
ともあれ、原作は全然知らないけど、
12話で奇麗に、作画もいいまま終わらせられて、
そこは今のご時世{/netabare}、評価したいところ、です。