てとてと さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
70年代の女子スポコンで悪くない面もあるけれど微妙に惜しい
「サインはV」の原作者が担当した、オリジナルの女子バレースポコンアニメ。全23話。
バレーボールワールドカップの日本初開催に合わせて企画された模様。
※作品データベース様より転載
【良い点】
「アタックNo.1」路線の女子スポコン物の王道に則っていて悪くはない内容。
廃部の危機からの立て直しや部員集めなど展開のテンポは良く、全23話と短い尺でコンパクトに纏まっていて見やすい。
部員が練習中死亡している初期設定の重さの割にはストレス展開は控え目、概ね清々しく見られる。
一条明日香の初期の尖りっぷりや女子バスケ部主将のイジワルなどは若干あるも、過剰な陰湿さはあんまり無い。
チーム間の雰囲気も尖っていた明日香が次第に馴染んでいき概ね良好、交流掘り下げが乏しい割には各キャラの個性はある。
ライバルたちもスポーツマンシップあり清々しい。
主人公の聖美々が「バレーが好きだから」な情熱が一貫していたのも清々しい。堀江美都子氏の主題歌も良曲で分かり易い。
個別回では4話の素人の漁師たちと対戦する話は、勝ち負けよりも楽しくやるのが大事だと示す良回。
粗暴だが気のいい番長や、美々の祖母などの応援してくれる周囲の人々の雰囲気も良かった。
原コーチが人格者で中々のイケメン。要所で相手チーム攻略の助言するなど、存在感あった。
指導は厳しいが性格は温厚で、この手の古い女子スポコン物にしては精神的なキツさがあまり無かったのは良い。
生徒の自主性を重んじ、最低限の助言のみで美々たちのメンタルケアしながら導いていく。
バレーに勝つよりも、バレーを通しての生徒の成長が大事という姿勢、教育者としても一流だった。
かつてのライバルとの対決を通してのテーマも分かり易い。(勝つために生徒を機械のように動かすのはダメ)
概ね地味なバレー物だが、美々の逆トンボレシーブとか、相手チームの蛇踊りアタック等々のトンデモ要素も少しあり。
スパイク受け損なって吹っ飛ばされる描写が多く、テニヌ的な可笑しみも。
作画は美々のキャラデザが可愛くて好み、バレーシーンも止め絵が多いがまぁまぁ。
声優は小山茉美氏の清純派ヒロインボイスが堪能できる。
【悪い点】
美々と明日香ついでに原コーチ以外の掘り下げがほぼ皆無、良いチームではあったが個々人の印象が弱すぎる。
チーム5人の交流が殆ど無く、キャラドラマ面が非常に薄い。
美々も典型的な優等生で面白みに欠け、明日香もやる気出すのが唐突、悲しき過去掘り下げも美々との交流は関係ない。
ライバルもありがちで特に印象に残らず。
あまり不快な展開が無いのは良いが、あまりドラマチックな展開も無い。
淡々とバレーして淡々と試合していた感じ。
試合展開も単調でワンパターン気味。(相手の戦術に翻弄される→コーチが見抜いて助言→精神的に復活して逆襲)
あまりカタルシスが無い。
心理描写や駆け引き要素も雑。
逆トンボレシーブも初見は驚くが以降それだけ、飽きてくる。
決勝戦がまるで盛り上がらずアッサリ終了。最強ライバルが地味過ぎる。
蛇踊りアタックとか途中のチームの方がまだ面白かった。
【総合評価】5~4点
この手の古いタイプな女子スポコン物としては悪くはないんだけど、固有の魅力や外連味に欠け、好意的に見て佳作止まり。
大ボリュームでキャラやバレーの魅力に溢れるアタックNo.1に大きく見劣りする。
2023年から振り返って、地味な本作が廃れたのは是非も無しと納得。
ただ、内容の薄さは見やすさでもあり、女子スポコン物の入門としては良いかも。あと小山茉美氏のファンならば…
評価は良いに近い「普通」