Witch さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.5
作画 : 2.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
(最終)「ツンデレ悪役令嬢モノ」として悪くなかったが、最後は「ヤミ鍋」でも食わされた気分
【レビューNo.44】((最終レビュー)初回登録:2023/3/25)
ラノベ原作の2023年作品。全12話
(ストーリー)
ある日ゲーム世界の「王太子」に、現実世界の自分達の声が届くという奇妙な現象に巻き込まれた
遠藤くんと小林さん。
「このままではバッドエンドを迎えてしまう、ツンデレ悪役令嬢『リーゼロッテ』を救いたい!」
愛するキャラを救うべく、「神の声」として(王太子を通じて)ゲーム世界を変えることができる
のか!2人の挑戦が今幕を開ける!!
(評 価)
前回の中間レビューで分類した3パートについて評価。
Ⅰ.ゲーム世界:日常パート → 視聴者の目線を狙い通りに誘導できるか
・『「神の声」を通じて物語が変化していく様を楽しむ作品ですよ』を狙い通り実践できたかと
いえば正直評価しずらい感じですかね。
(そもそも実況の意図としては、「『王太子』に自然な感じでヒロインを愛してもらいたい」
ということで、過度な干渉を控え最低限のサポートに徹してたようなので)
物語としてそこそこ上手く誘導してた感はありましたが、「『神の声』がこの作品の絶対的な
面白さ」という優位性に繋がっているかといえば、そこまでじゃないかなっと。
・ゲーム内シナリオについては王道展開ながらも結構奮闘してたかなっと。
{netabare}物語上「王太子」×「リーゼロッテ」を終盤まで進めすぎる訳にはいかないので、「フィーネ」
を便利屋として上手く活用していたという印象。「×バル」の恋模様や「×リーゼロッテ」と
の義理の姉妹関係等、本編とは別に面白く物語を展開していたように思います。この手にキャ
ラだとおとなしいタイプが多いが、「結構物言いははっきりしてる」タイプだったので、かな
り使い勝手のいいキャラとしてコメディ展開には重宝してた感じですね。
リーゼロッテの「ツンデレ芸」だけでなく、この辺りあまり飽きを感じさせず終盤まで繋いだ
という印象ですね。{/netabare}
Ⅱ.ゲーム世界:バッドエンド回避パート → しっかり見せ場を作れるか
「ゲームではどのルートを選んでも王太子の寵愛を得られずに絶望した末に『古の魔女』に取り込
まれて破滅を迎えてしまう」というバットエンド回避が元々の目的でした。そこはⅠパートは上手
く立ち回った感がありましたが、肝心のクライマックスがなんとも・・・
{netabare}・結局絶望したわけでもないのに、『古の魔女』に取り込まれてしまうのだが?!
王太子たちがリーゼロッテを救い出すシーンは、テンプレながらもそれなりによかったと思いま
すが、結局「『実況』でそれまでのお膳立てをしたおかげで、ハッピーエンドを引き寄せた」と
いう解釈でいいのか?クライマックスでは実況の出番がほとんどなかったわけだが・・・
・で、以降これまでの種明かしが始まります。まあこういうことを投げっぱなしで終わる作品が多
い中で、誠実に全ての謎を解明してくれたことは評価しますが、その内容がなんとも・・・
神さま夫婦の痴情の縺れがそもそもの発端のようですが、正直聞かなきゃよかったなっと( ゚д゚){/netabare}
Ⅲ.現実世界:2人の恋愛パート → どう扱っていくのか
・前回レビューでは「あまり手を入れないのがベスト」としたのだが、途中までは本編の邪魔になら
ないように、上手くスパイスとして活用できていたように思います。
{netabare}・で、クライマックスですが、現実世界に逃げていた神さま(夫)がこちらの世界で最後の悪あがきに
出て、最後はもうカオス状態でしたね。互いにゲーム世界⇔現実世界へ干渉できるようになって、
「視聴者置いてけぼり状態」の中での(見せ場のはずの)遠藤くんの告白やら、遠藤くんと小林さん
がゲーム世界の結婚式に参列等、なんか「ヤミ鍋」でも食わされているような気分でした。
遠藤くんと小林さんが両想いになってきれいに終わるはずが、それどころじゃなかったなっとw{/netabare}
リーゼロッテ、フィーネ辺りはしっかりキャラ立ちしてたので「ツンデレ悪役令嬢モノ」としてはそれ
なりに面白かったかなっと。しかし穿った見方をすれば{netabare}「ツンデレ悪役令嬢モノ」としては、内容が足
りず、「実況で水増し」したようにも感じられ、更にクライマックスはカオス状態で全てがぶち壊しと
いう、かなり予想外の結果となってしまいましたね。
(前回レビューで
>「この設定にこんな深い狙いが!」予想を上回る仕掛けがあれば「神作」
と書いてましたが、ちょっと「コレジャナイ」ものが来ちゃいましたかねw){/netabare}
(2023/3/27追記)
「ヤミ鍋」という点について補足しておくと
{netabare}・遠藤くんの告白自体はよかったのですが、そのあとすぐにクオンがカットインしてきたので余韻も
なにもなかったなっと。それに両想いになってからの2人の関係性の変化等の描写が一切ないのも
雑に感じたかな。(「ちゃんと2人をくっつけたぞ」という実績だけ作ったみたいな?!)
・全てに決着がつき「神の声」が切れ切れになっていく演出がよく、これでゲーム世界とお別れだと
いう名残惜しさを出しておいて、あっさりとゲーム世界へ召喚されるという構成がチグハグ。
それに「ゲーム世界の結婚式に参列出来たら素敵」という発想が「小学生が考えたの?」と思って
しまう位安直すぎる。
・そもそも「現実」と「ゲーム」の2つの世界でそれぞれがやれることを頑張るから、この作品の意
義があるわけで、その壁超えちゃったら「他の異世界モノと何が違うの?」って感じかな。
やはり現実パートの締めくくりとして、遠藤くんと小林さんのその後の変化について描いて終わる
べきかなと思ってしまった。
(それをあのごった煮で見せられたから、なんだかなあって感じですね。){/netabare}
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過去レビュー(2023/1/28 4話分)
【4話視聴】舞台裏に思いを巡らせば結構面白いんじゃないか?!
{netabare}
(評 価)
・パート別の考察
本作品の格子はおよそ下記の3点ですかね。
Ⅰ.ゲーム世界:日常パート → 視聴者の目線を狙い通りに誘導できるか
個人的にはこのパートはある意味チュートリアルかなっと。従来のようなゲームの世界観に没入
してゲームキャラ達の奮闘を楽しむ作品ではなく、ひとつ上の目線から見て
『「神の声」を通じて物語が変化していく様を楽しむ作品ですよ』
というのをしっかり認識させることができるかどうかがポイントかと。
だからゲーム内ストーリーは王道のテンプレ展開で問題なし。
いや、むしろ余計なことをするとややこしくなるからw
テンプレストーリーが「神の声」でどう面白くなるのかをいかに印象付けできるか。
・「神の声」がうるさく作品に集中できない!
まあ一定数こんな声は出るでしょう。これを最小限に食い止められれば制作陣の勝利。
逆に多くの視聴者にそう思われてしまったら、企画倒れで終わる作品。
Ⅱ.ゲーム世界:バッドエンド回避パート → しっかり見せ場を作れるか
結局ここが全てですね。
・狙い通り「神の声」で作品が面白く終われば「名作」
・「この設定にこんな深い狙いが!」予想を上回る仕掛けがあれば「神作」
・そうでなければ凡作
Ⅲ.現実世界:2人の恋愛パート → どう扱っていくのか
おかしな話だが、個人的には「極力触れない」がベストだと考える。1クールという尺だとここに
手を入れ過ぎると本編とのバランスがおかしくなってしまう可能性が高そう。ただ2人の関係に全
く触れないのは逆に不自然なので、今の「遠藤くんが小林さんに思いを寄せている」位がちょうど
いいのかな。ⅠⅡをしっかり描いた上で
・現実パートをスパイスとして上手く活用できれば「名作」
・2人の恋愛模様まで面白く仕上げられれば「神作」
・余計な尺を使ってⅠⅡⅢが共倒れになれば「かなりの駄作」
・全体像の考察
個人的には、まず「Ⅱのパート」をどう描くかというここをしっかり固めた上で
→ そのために「Ⅰのパート」でどう視聴者を食い付かせ、終盤まで繋ぎ留めるか
→ その残りの尺で「Ⅲのパート」をどう活用していくか
という設計図がきちんできているかどうかだと思います。それがないと
「ただ設定を詰め込んだ(薄味のストーリーをなぞっただけの)いつものなろう作品」
で終わってしまう可能性が高いでしょう。で、この設計図ですが
・そもそも原作がきちんとできているのか
・原作ではできている。でもアニメ化の過程でスタッフが理解できているのか
本作が盛大にコケたら、是非その辺りを原作既読勢に語っていただきたいものです。
(視聴者が気にするのもアレですが)作画等を見るにこのアニメも「低予算」の部類なんでしょう。
この作品では「神の声」の前→後の変化を楽しむ作品なので、どうしてもリーゼロッテのツンデレ演出
は過剰にせざるを得ないでしょうね。
・分かりやすいツン → 神の声 → それを聞いた王太子のフォロー → 分かりやすいデレ
本来ならデレの部分は最小限に留めるところですが、作品の性質上フルオープンの方がいいでしょう。
この落差が大きさがこの作品の「味」だと感じるか、「過剰で違和感」と意見が分かれるかも。
例えば予算があればもっといろいろな作画や演出で効果的に魅せられたのかもしれませんが、ちょい
ちょい作画が怪しいところもありますが、現状やれることはやってるって感じはしますね。
以降どの位しっかり設計されているのか、その舞台裏に注目すればまた違った楽しみ方ができそうな
作品かなっと。{/netabare}