Witch さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「キャラを丁寧に描き、シナジー効果で威力を倍増」→日常系コメディの鉄則を体現した優秀作
【レビューNo.24】(初回登録:2023/1/28)
コミック原作の2019年作品。全12話。
「【レビューNo.4】『4人はそれぞれウソをつく』」のレビューで本作に触れたので、ちゃんと
レビューしておこうと。
(ストーリー)
バカ・ヲタ・ロボ(あだ名)は幼馴染であったが、いつの間にか疎遠になっていた。
そんな3人は女子高で再会を果たす。しかしここには他にも個性あふれる面子がそろっていて・・・
再びつるむことになった3人を中心に、いろいろと残念な女子高生たちが「無駄づかい」の日々を
過ごしていく。
(評 価)
・「日常系コメディは『キャラが命』」をしっかり理解している
日常系コメディでは際立った設定や仕掛けがないため、彼女たちの会話劇が作品の中心となります。
だからこそ登場人物たちがしっかり「キャラ立ち」しているかが、作品の「生命線」となります。
この作品は本当にそこを理解しているなっと。主要キャラ3人は
・バカ:説明不要
・ヲタ:{netabare}漫画家志望でBLが大好きなヲタク{/netabare}
・ロボ:{netabare}いつも無表情で感情表現が乏しい{/netabare}
この「あだ名」が秀逸な仕掛けで、このあだ名だけでそれぞれがどんなキャラなのかが大体わかる
ようになっています。サブキャラも
{netabare}・ロリ、ヤマイ(厨ニ病)、マジメ、マジョ、りりィ(本名だが百合女子を暗示){/netabare}
とバラエティ豊かにしっかりとキャラ付けされています。
皆かわいい(除くバカ?)のに「残念女子」です。でも「残念さ」の『さじ加減』がまた絶妙です。
個性を強調するあまり過剰な設定をする作品も多いですが、この作品は全体調和を考慮し程よくバラ
ンスが取れています。バカが暴走して多少はみ出すところもありますが、ヲタやロボがきちんとフォ
ローするので作品としてしっかり収まるよう構成されています。
・10×10=100 シナジー効果で威力倍増
ストーリーとしては、序盤は主要キャラ3人が各サブキャラと絡み、サブキャラを視聴者に印象付け
ながら各々の魅力を引き出していきます。その過程が丁寧で好感が持てます。キャラが増えていくと
「主要キャラ×サブキャラ×サブキャラ」「サブキャラ×サブキャラ」
との掛け合いになっていきますが、誰かの個性のボケに対し誰かの個性できちんと受け止め、投げっ
ぱなしで終わらせない。ギャグ展開の基本ですが、これができていない作品が意外と多いです。
(特に受けが雑な作品が多い)
だからそこにシナジー効果が生まれ、「このキャラとこのキャラでこういう面白さに発展するのか」
というエピソード展開が可能となります。「10+10=20」でなく「10×10=100」となる仕掛けです。
それも序盤で視聴者にキャラに対する愛着がわくよう、丁寧にキャラを印象付けているからです。
「キャラを大事に扱いそして育てていく」基本的なことですが、それをしっかり実行しています。
あと生徒間だけでなく、担任(ワセダ)等の個性ある教員も登場して、エピソードに幅が出るような
工夫がなされています。
・意外な終盤展開
本作は彼女たちの「無駄づかい」の日々を描いていきます。4コマ漫画原作らしい小気味いいテンポ
で日常コメディが展開されていきますが、
{netabare}
11話で「ワセダ×ヲタ」でヲタの成長物語を、最終話で「バカ×ヲタ・ロボ」の友情物語が描かれて
います。最終話でのヲタのセリフ
{netabare}
「あいつ(バカ)とつるんでいるのは、もしかしたら自分より下がいるっていう安心感を得たいから
なんじゃないかって」→そして彼女は何を思うのか・・・{/netabare}{/netabare}
これらもこれまでの日常系コメディからの積み重ねがあればこそ活きる展開です。
でも最後はこの作品らしい締めで、きちんとコメディ作品として終わらせてくれます。
「【レビューNo.22】『月刊少女野崎くん』」でもレビューしたように
・王道パターンを丁寧かつ全力でやる。
・サブキャラも丁寧かつ魅力的に描き、キャラを育てていく。
・それをテンポや演出等で効果的にアニメとして面白く魅せる。
本作品もその基本を忠実に守り、しっかりとした面白さがある作品に仕上がっています。
特にこの作品はキャラが育ってきてこそ、その本領を発揮します。
だから序盤はバカのイラっとくる言動やスポットの当たるキャラの好き嫌いにより、イマイチという
感想を持つかもしれませんが、5話ぐらいまで温かい目で見守ってやってください。中盤以降期待に
応えてくれると思います。
OPは歌詞も曲もイミフな魔訶不思議な感じで、それに中毒性を感じる人も多いようですね。
EDはキャラソンで「青春のリバーブ」→「残響」という意味らしいのですがさてさて・・・
(追 伸)
この作品を観ていただければ「【レビューNo.4】『4人はそれぞれウソをつく』」のレビューで少し
辛口めいた感じだった理由が分かると思います。あの作品はあの作品なりの良さはあるんですが。