ナルユキ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ズレ始めた尺
フジテレビが『土曜プレミアム』で劇場版を初放送した後の反応は散々であった。
「鈍行各駅停車」「無限CM編」とも揶揄された頻発して挟まれるコマーシャル、その内容が鬼滅関連の物も少なくなかっただけに、本編が佳境に入る最中に登場人物が様々な商品・コンテンツとのコラボを発表し雰囲気ぶちこわしという事態も見られた({netabare}煉獄さんが死んだ後のCMでパワプロくんのアプリで野球を始めるから「異世界転生」とか言われてたよね笑{/netabare})。
そんなわけでこのテレビアニメ版、中々大きな存在意義がある。放送当時も不評だったCM挿入はきちんと設けられたOPとED、アイキャッチの後で適量流すようになり、新規カットや新規BGM、そして新規エピソードが追加され公式曰く、劇場版を観ている人も観ていない人も楽しめるよう再編集されているそうな。
【総評】
基本的なストーリーは劇場版と変わらないが、その前日譚となる第1話はなんとも微妙────いやハッキリ書いて余計な脚色だ。
{netabare}前日譚は煉獄が無限列車に乗り込むまでの話をやり、なぜ彼が冒頭で大量の弁当を持ち込んでいたのかという「理由付け」がされている。なんでもかんでも「これはどうしてこうなったんだ?劇中で説明しろ」と言う方には大変喜ばしい回答になっているのだが、私にはどうでもよかった。
むしろ冒頭で煉獄杏寿郎というキャラを印象付けつつの「ギャグ」シーンだった筈の牛鍋弁当11人前に弁当屋との絆を描いたエピソードを付けられてしまうと大きく意味合いが変わってしまう。そういう意味で折角、井上喜久子さんや水瀬いのりが起用されたオリジナルキャラクターも出る新規エピソードだが「観る必要がない」と書いてもそこまで過言ではないだろう。{/netabare}
第2~7話は劇場版の再編集。新規カットやBGMも加わるが、その変化は間違い探しレベルである。私も生粋の鬼滅ファンというわけではないのでどこがどう変わっているのか、自分の目だけでは全く気づくことが出来なかった。煉獄vs猗窩座で猗窩座が森の中までふっ飛ばされるも、お返しに煉獄を土手に叩きつける所が新規カットかな?
正直、アニメオリジナルを1話作る余裕があるなら無限列車編の〆を炭治郞の煉獄家訪問まで伸ばす方向性でアレンジして欲しかった。その話はカットではなく次作の『遊郭編』の第1話に盛り込まれたが、遊郭編では宇随天元という新たな『柱』の活躍と新たな舞台を描くわけで、その大事な始まりにまで煉獄杏寿郎の後ろ髪に引かれてしまうというのは煉獄という強烈なキャラクターが遊郭編そのものを食ってしまっているようであまりよろしくない。初作の立志編が無限列車に乗り込むところまで描いたのだから尚更だ。
遊郭編も視聴済みだが本作からどうも1話ずつズレているような違和感を覚えてしまっている。刀鍛冶の里編では上手く調律を取ってくれるのだろうか。高いクオリティとエモーショナルな鬼退治を描く鬼滅の刃には私もどっぷりとハマり夢中になっているのだが、続編の展開には毎度、一抹の不安も抱いている。