ウェスタンガール さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
虚実皮膜
恥ずかしながら、最近になって知った言葉である。
“きょじつひにく”と読むそうだ。
日本演劇史に燦然と輝くストーリーテラー、東洋のシェークスピアと讃えられる近松門左衛門の作劇法、芸術論を表した言葉である。
曰く「芸といふものは実と虚との皮膜の間にあるものなり」、さらに「虚にして虚にあらず、実にして実にあらず、この間に慰みがあつたものなり」と言い放つ。
痛快である。
エンターテイメントの真髄である。
要は事実と虚構との間、すなわち皮膜(皮と肉との境目のような微妙なところ)を表現してこそ、役者は観客を満足させることができると言うのだ。
そう、人と魔物の狭間にあって、一本足でバランスを取りながら、真実に片目を瞑り、虚(うそ)を構える『おひいさま』に拍手なのだ。
そこに“情”が生まれ、相容れないそれぞれが慰められてゆく様が嬉しい。
ブレインズ・ベース制作と言う事もあり、『夏目友人帳』に似た香りもする。しかし、ストーリー展開が一種独特な事もあって、前後半のバランスの悪さを感じないでもなかった。
だが幸いなことに、シーズン2が、中々魅力的なキャラと共に快調な滑り出しを見せている。
九郎くんのご苦労(?)と言うべきか、メインストーリーは若干脇に置いて、しばらくはイワナガヒメの色々な活躍を見守ってゆきたいな。