「チェンソーマン(TVアニメ動画)」

総合得点
79.6
感想・評価
663
棚に入れた
2006
ランキング
499
★★★★☆ 3.8 (663)
物語
3.7
作画
4.0
声優
3.6
音楽
3.8
キャラ
3.8

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ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

悪魔も、規制も、製作委員会も全部まとめてブッタ斬る!!!

原作コミックは11巻(第一部・完)まで購読中。

【物語 4.0点】
ダークヒーロー物。
当面の大目標となる“銃の悪魔”を始め、悪魔は人間の恐怖心を根拠に力を発揮する。
よってヒーローは、正義心で悪魔を糾弾する人間では不適任。
むしろデビル・メイ・クライ。悪魔も泣き出すくらいイカれた奴じゃないと務まらない。

その観点から、悪魔を倒すため、代償を払い悪魔と契約するデビルハンターという設定は合理性がある。
その上で“チェンソーマン”と化す主人公デンジ。
底辺よりマシなデビルハンターの暮らし、メシ、女、マキマさん。
己が欲望のために悪魔を狩る姿を見ていると、悪魔の方が段々可哀想と倒錯して来ますw

デンジと悪魔の戦いを通じて、人の剥き出しの欲望、恐怖をぶちまける。
原作の志向性をアニメでも好表現。

ただ1クール目はウォーミング・アップ。
デンジが如何に欲望に忠実か、軽く自己紹介しましたといった所。
私が好きなレゼ編はこの先にあるので、評点は及第点+αにとどめます。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・MAPPA

CGも交えて構築した広大な空間にキャラクターを躍動させる映像は相変わらず圧巻。
特に{netabare} 12話のサムライソード再戦{/netabare} 辺りはハリウッドのアメコミ映画にも引けを取らないリッチさ。


グロ過剰じゃないか?と思う方もいるかもしれません。
ですが私は上述の剥き出しの人間を表現するにはグロは不可欠だと思っているので、
規制せず良くやってくれたと拍手を送りたいです。

ただ、グロ上等とイキって飯時に鑑賞していた私も、
{netabare} 姫野のゲロチュー{/netabare} からは3日間逃げ回った末に食間にビビりながら見ましたw
ここは流石のMAPPAもモザイクかけて来ましたね。
ですが、ED映像では悪ノリしてしっかりトラウマを固定化させてくれました。
全くどうしてくれるんだよ(含み笑いw)


【キャラ 4.5点】
ダークヒーロー・デンジとは対照的な公安の先輩・早川アキ。
復讐心に正義心も残して生き急ぐ姿には儚さすら感じます。
そりゃ{netabare} 最悪の死に方を見せろと未来の悪魔に契約を許されるわけです。{/netabare}
デンジ&パワー。二人の欲望モンスターとルームメイトになるなんて幸薄すぎですw


デンジの戦う原動力たる欲望の多くを占めるヒロイン・マキマさん。
戦法や人の操縦術も含めて、悪魔より怖いお方なので、
マキマさんの飼い犬になるのはデンジだけで十分です。

追い詰められ錯乱した私がすがるのは新世代ヒロイン?魔人・パワーちゃん。
ここは私如きが語るより、第1回チェンソーマン・キャラクター人気投票・第1位に輝いた際のコメントが秀逸なので、僭越ながら引用させて頂きます。

“虚言癖でも差別主義者でも糞を流さなくても、人気さえあればヒロインだ!みんなの応援で完全証明!!”


【声優 4.5点】
主人公デンジ役には本作が初主演となる戸屋 菊之助さんを抜擢。
奇をてらった新人起用ではなく、
煩悩に塗れたデンジのキャラクターにちゃんとハマっているのが驚き。

マキマ役の楠木 ともりさん。
オーディション時、意中の役はパワーだったとのこと。
ですがこのマキマさんの背筋の凍るような静かな演技も良いですね。

パワー役にはファイルーズあいさん。
キャスト本人のキャラクターも相まって、
これはこれで、放送前から楽しみな配役&放送後も好印象。
これからもインテリには程遠い虚言で笑わせて頂きたいですw


岸辺役の津田 健次郎さん。
私は原作で岸辺隊長のセリフ読んでいる時も、
モロにツダケンのネットリボイスで脳内再生していたので嬉しかったです。
私も日々積み重ねて頭のネジを緩めていきたいですw


総じてキャラクター提供よりもありのままの自然さを重視したキャスティング&ディレクション。
劇場アニメでよく、ナチュラルな演技を求めて声優ではなく俳優・タレントを起用しましたとの弁明を耳にしますが、
本シリーズを通じて、自然な芝居くらいアニメ声優にもできると証明して頂きたいです。


【音楽 4.5点】
劇伴担当は牛尾 憲輔氏ら。
バトルで電子爆音の暴風が吹き荒れたかと思えば、静謐さが重要なシーンでは自重して無音になる。
緩急自在な音響で作品を下支え。

特に{netabare} 早川アキが姫野の煙草をくゆらせるカットでBGMを流さなかったの{/netabare} は好判断でした。
『チェンソーマン』は喫煙も自主規制せず、意味のある表現として息づかせた作品としても語り継ぎたいです。

OP主題歌は米津 玄師さんの「KICK BACK」
“あれが欲しいこれが欲しい”“楽して生きていたい”と頭のネジを緩めて煩悩を垂れ流す。
相変わらず迷いのないタイアップ対応。
売れる曲を作ることを邪道と思わず、野心を隠さない希少なアーティストです。

EDは全12話別々のアーティスト&EDアニメーションによる週替り。
毎週アクの強い個性派による楽曲提供で胃もたれしそうになりますw

中でも私の脳天に刺さったのは、第3話のマキシマム・ザ・ホルモン「刃渡り2億センチ」
激しく変化する曲調の全容を早く知りたいので、フルの完成を電ノコを長~~くして待ってます。


【付記】
放送前、リスクを分散する製作委員会方式を取らず、MAPPAが100%出資するとの方針発表にも度肝を抜かれた本作。
その真意の一端が示された対談記事も興味深かったです(※①)

要約すると……
従来アニメは“ガワのビジネスに引っ張られる”産業であり続けた。
(パチンコやスマホゲーム業界が伸長すれば、アニメ制作会社はメディアミックスの一端を担い食い扶持を繋ぐ)
現状を打破して、アニメを制作する側が主導権を握って、
グローバルにコンテンツをビジネス展開するには、
リスクを取って勝負に出る経営判断が必要。
こうした志向もあっての、今回の100%出資判断。
……といった具合。

洋画でもトレンドのダークヒーロー物で打った今回のMAPPAの勝負手。
1クール終わった段階では世界に突き抜けるまではいかない印象。
大成するかは、今後の人気エピソードの成否次第といった所でしょうか。

クールジャパン(死語?(苦笑))の一翼を担うゲーム業界なんかでは、
ゲームメーカーが自社の知的財産(IP)を自らの資本力で世界展開し利益を享受。
幹部が長者番付にランクインしたりもする。

アニメ制作会社も、そういう夢のある段階に登るチャレンジを続けて欲しいと願います。


①アニメ『チェンソーマン』異例となる「100%出資」の理由は? FIREBUG佐藤詳悟
×MAPPA大塚学が語り合う“アニメビジネスの未来”
https://realsound.jp/tech/2022/10/post-1141127_5.html

投稿 : 2023/01/25
閲覧 : 557
サンキュー:

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