蒼い✨️ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
男祭り。
【概要】
アニメーション制作:ジェノスタジオ
2018年10月8日 - 12月24日に放映された全12話のTVアニメ。
放送上の都合で入れられなかったエピソードを原作の限定版第17巻と第19巻と第23巻のDVDに収録。
原作は『週刊ヤングジャンプ』にて連載されていた漫画作品。
著者は、野田サトル。
監督は、難波日登志。
【あらすじ】
20世紀のはじめ頃に、アイヌの莫大な埋蔵金を求めて北海道を旅する、
日露戦争の英雄で元日本兵の杉元佐一(不死身の杉元)とアイヌの少女のアシㇼパ。
埋蔵金の場所を知るには24人の脱獄囚の身体に掘られた刺青(刺青人皮)を集めて、
暗号を解かないといけない。
アイヌの金塊を狙うのは、北海道征服の軍資金を必要とする鶴見中尉ら第七師団。
箱館戦争で死んでいなかった土方歳三などの「蝦夷共和国」の再興を目指す一味。
もあり、刺青人皮の争奪戦は三つ巴になっていた。
杉元とアシㇼパは、刺青の脱獄囚である白石由竹やアイヌのキロランケを、
同行者に加える。キロランケはアシㇼパの父親・ウイルクの古い友人であり、
仲間7人を殺害してアイヌの金塊を独占して隠し、捕まって網走監獄に投獄されて、
金塊の隠し場所の暗号を刺青にして囚人たちに彫った、
「のっぺらぼう」の正体こそがウイルクだと言う。
鶴見中尉は、でたらめの暗号の偽物の刺青人皮で撹乱を狙っていて、
杉元は自分たちに真贋を見分ける方法がわからなければ、
のっぺらぼうに直接会いに行くしか無い。
アイヌを殺したのっぺらぼうが本当にアシㇼパの父親なのか?
と、様々なことを確かめるべく網走監獄へと向かう杉元たちだった。
【感想】
この作品って男の筋肉とか汗とか怪しい吐息とかが豊富ですよね。
女キャラのサービスシーンは別にないけど男キャラのサービスシーンだらけの、
そのホモっぽいオス汁成分が可笑しみでありながら、
マッチョイズムが作品の最大の魅力であると自分は思うのです。
男女の色恋沙汰よりも男同士の痴情のもつれみたいな話が本当に多いですよね。
あと、ギャグも昭和末期や平成初期のバラエティの流れをくむコントっぽさがあって良いかな?
男だらけのあやしい世界>>>>戦闘描写>>>>アイヌ文化がどうたら?
個人的には面白い順番は、こんな感じ。
2期になって登場人物の人間関係が変化したり、血生臭い殺し合いがあったりして、
より激烈になって面白いと言えば面白いのですが、アニメでのカット部分が、
原作の面白いエピソードだらけで、カットの影響による辻褄合わせが多い気になるかな。
・白石が脱獄王と呼ばれるようになったエピソード。
・勝新太郎じゃなくてお兄さんの若山富三郎、そして仲代達矢がモデルの同性愛コンビの話。
TV放映では飛ばされつつもここは順当にOVAでやりましたが、
・強盗殺人犯の悪党夫婦の話。(カットされて他のエピソードと違いOVA化もされず)
・原作で一番笑った、姉畑支遁先生のヤバい話。(3期放送直前の単行本のDVDでお目見え)
え?これ放送していいの?のギリギリな不健全さが、この作品の魅力であって、
TV放映分だけじゃ不完全きわまりない。
ので、この作品を評価するには必ずOVAとセットで見なければならないとは思います。
まあ、本筋も『え?ここで終わるの?』とインパクトの強いヒキで、
話の続きが気になる切り方であったりで、面白いものではありますが。
話は変わりますが、
現代日本ではない舞台のアニメを作るにあたって、民族や文化の考証をしてそれっぽく見せるのは、
大変な労力を要する仕事であって、アニメの中でアイヌ文化を再現するのは、
単純に原作漫画をコピーすれば良いというものではなくて、
アニメのスタッフがアイヌについて元から詳しいわけではなくて、描くための勉強が必要。
アイヌ考証や小物設定や美術監督らスタッフの作品作りの中での役割は非常に大きなものでして、
アニメづくりの本質とは名前のあがらない数多の裏方の仕事の集合体であること。
アニメの良し悪しを「監督のセンス」の一言のみで語るのに懐疑的である理由に、
そういったスタッフらの仕事を埋もれさせてはいけないという思いが私にはあるからですね。
あと、出版社サイドやアイヌ協会?らのチェックも細かいみたいですね。
アイヌの集落の男を皆殺しにして、女達は生かして妻役にして、
自分たちがアイヌに成りすまして集落を乗っ取った犯罪者たちの話なんか、
OVA化もされずに丸々無かったことにされていますからね。
どこに忖度したかはさておいて、完全に封印しなければいけない話があったりして、
辻褄合わせで前後のエピソードの調整が必要になったりでアニメを作るのも大変だなと。
女にだらしなくて借金を返さないことでネットではクズとして有名な天才歌人の石川啄木など、
原作の本当にヤバい部分をアニメ化できなかった残念さを差し引いても、
面白さのあるアニメではありましたが、放送上の限界って本当につまらないな!
と、この2期を見ていて思ったことでした。
これにて、感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。